L.v.Beethoven ”An die ferne Geliebte”

ベートーヴェン作曲/歌曲集「遙かなる恋人に寄せて」
この曲を歌うことは長い間僕の夢であり憧れでした。というのも大変に難しい曲で、ドイツ人も敬遠しているほどの作品なのです。
7つの曲(詩の構成としては6曲ですが、音楽的な構造からすると7曲といって差し支えないと思います)からなっている歌曲集ですが、その7つの曲が途切れることなく続くという、大変大胆な構成をもっている曲で、15分ほど、長い間奏も挟まずに歌い続けることになるのです。シューベルト以前にこんな作品が存在していたことにまず驚きを禁じ得ません。ワーグナーがずーっと後でオペラにおいて行ったような、曲と曲とが有機的につながり、どんどん展開していきます。

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G. Bizet “Carmen” Escamillo

友人としてまた人生の先輩としてつきあいは長くなってきたのに、ちっとも共演の機会がなかった指揮者の金井誠氏と初めてオペラで共演できました。演出はオルフェオで新国立劇場にデビューを飾ったばかりの岩田達宗氏。初日のカルメンが文化庁オペラ研修所の同期生で、「同じ釜の飯を食った」腰越満美さん。

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O.Nicolai Die lustige Weiber von Windsor

(ウィンザーの陽気な女房達) フルート氏役
このオペラはそれほど有名なオペラとはいえないと思います。台詞を挟んで進行するもので、僕が歌ったのは日本語ででした。1995年11月の藤沢市民オペラです。このときのアンナ役は、今や超有名な佐藤美枝子さん。僕の奥さんの役のフルート夫人は針生美智子さん。それぞれがこの年の春に行われた藤沢オペラコンクールの第三位と第一位だったのです。ちなみに僕は第二位でこのオペラにキャスティングされました。藤沢市民オペラというのは僕にとって特別な場所ですが、これについては他で書いているので割愛。

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Verdi “La traviata” Germont

1999年11月プラハ国立歌劇場「椿姫」ジェルモン役
これは僕のオペラに関するヨーロッパデビューということでもちろん忘れられない公演ですが、それ以外の意味でも忘れ得ない公演となりました。
この契約は、僕がまだベルリンにいる頃に電車で5時間半のプラハまで日帰りでオーディションに行って勝ち取った(本当にそういう感じ)ものです。

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