署名運動の成果と追加援助について

劇場を救うための署名運動へご理解とご協力、ありがとうございます。表紙ページでもお知らせしたとおり、昨日、署名の数が10000人を超えました。
 
まだ署名運動は続いていますが、状況にも大きな前進がありました。劇場のスポンサーである自治体(ゲラ市、アルテンブルク市、アルテンブルク近郊、テューリンゲン州)の代表者と劇場運営陣が話し合いを重ねた結果、さらに116万ユーロの追加援助が決まったのです。
 
これも予想を超えて集まっている署名が政治家の関心をひいたことが大きく影響しています。署名をして下さった皆さん、本当にありがとうございました。署名運動は6月4日(月)まで受け付けています。署名運動についてはこちらをご覧下さい。
本来足りないのは200万ユーロなのですが、追加援助によって2013年から新たに取り交わされる予定の契約で、賃金水準がいまよりは下がらないですむことになりそうです。
ドイツでは劇場の標準的な契約条件を資金的に満たせない場合、Haustarifvertragという、その劇場独自の契約を組み直すことになります。色々なやり方があるようですが、大体の場合はリストラによって劇場の機能が落ちることを避けるために、一人一人の従業員の賃金をカットすることによって資金難をカバーするやり方です。
 
いままで2回締結された我が劇場でのHTV(Haustarifvertrag)では、劇場従業員が全員納得して、リストラを避けるために自らの賃金カットを受け入れました。これによって現在の我が劇場の賃金水準は、ドイツの標準レベルに比べて7%低くなっています。
そして、2013年にもう一度HTVによって劇場の構造を維持しようとすると、賃金レベルがさらに7%さがり、標準レベルに比べて14%低くなる予定でした。
賃金は低い、でも自治体にアピールするためにも劇場の活動を縮小はしたくない、というジレンマで、恒常的なオーバーワークに追われてきたと思います。
 
今回の116万ユーロ(約1億1900万円)の追加援助によって賃金レベルがいまの「標準-7%」に留まることで、リストラに舵を切ることなく、HTVを締結する方向に行くと思いますが、これも十分ではありません。運動はまだ続きます。
 
流れとしては、政治側から見ると、2013年に一度リストラをして劇場の規模を小さくしておけば、その後に劇場を閉鎖することはよりたやすくなるわけです。それを評していまの劇場総裁は「劇場の死の始まりだ」とインタビューで述べました。
 
これはゲラのみならず、ドイツ全土で起こっている傾向で、数日前にもアイゼナハの劇場の署名運動のニュースが入ってきました。今回のゲラでの署名運動や劇場のデモ運動、市民への呼びかけを通じて、こうしたポジティブな結果に結びついたという事実は、ドイツ全土に広がっている文化予算削減に対抗している文化人にとって大きな朗報だと思います。
 
我々の劇場では、この問題が持ち上がって以来、公演の終了後にカーテンコールの時に時間を頂いて、我々の運動への参加を聴衆の皆さんにお願いしてきました。そして、その中でも言っているのですが、この運動はドイツ文化を守るためでもあるが、聴衆の皆さんの子供、そして孫の世代まで劇場で生の文化に触れる機会を残していくための戦いでもあるのです。だから、いま問題になっている次の4年間を何とかする戦いではなく、その10年後20年後にも、子供達が劇場で芸術に触れる機会を確保するための運動なのだ、と。
 
こんなに多くの劇場が中都市にも残っているのは、ヨーロッパでもドイツだけです。逆に言えば、それだけいままでは恵まれていた、と言う事でもあります。日本とは違う土壌で、そういう意味でも色々と考えさせられます。
ドイツ音楽が生まれた背景に欠かせなかった、豊かなドイツの音楽風土はこういう劇場文化に支えられています。ドイツ音楽を愛する日本人はそういう間接的な意味でもこのドイツの劇場文化の恩恵を被っているように思います。今後も出来る形で応援していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 

追加援助

劇場を救うための署名運動へご理解とご協力、ありがとうございます。昨日、署名の数が10000人を超えました。
 
まだ署名運動は続いていますが、状況にも大きな前進がありました。劇場のスポンサーである自治体(ゲラ市、アルテンブルク市、アルテンブルク近郊、テューリンゲン州)の代表者と劇場運営陣が話し合いを重ねた結果、さらに116万ユーロの追加援助が決まったのです。詳しくはこちらをご覧下さい。
 
これも予想を超えて集まっている署名が政治家の関心をひいたことが大きく影響しています。署名をして下さった皆さん、本当にありがとうございました。署名運動は6月4日(月)まで受け付けています。署名運動についてはこちらをご覧下さい。