Intermezzoのあらすじ

もう本番が超直前ですが、お約束した「あらすじ」です。間に合うと良いんだけど・・・。昨日GPがおわるまで、日本に戻ってからの1週間は嵐のようだったのですが、その上リサイタル準備でいろいろトラブルがあったりもして・・・・って、言い訳している暇があったらあらすじに行きましょうか。
当日券もありますので、これを読んで興味を持たれた方は明日日曜日の15時に新国立劇場中劇場へ!


前にもお話ししたことがありますが、この台本は作曲のR.シュトラウス自身によるもので、彼は自分の妻パウリーネとの夫婦喧嘩を元にこれを書いたそうです。
前に日記に書きましたが、パウリーネ婦人は元歌手。「タンホイザー」のエリーザベトなどを歌うトップ歌手だったようで、R.シュトラウスに楽譜を投げつけるような激しい気性の持ち主だったようで。
オペラの主人公「クリスティーネ」はR.シュトラウス夫人のパウリーネ、その夫の宮廷楽士長「ローベルト」はリヒャルト・R.シュトラウス。名前も似せてますでしょ。若杉先生のお話だと、女性は脚韻、男性は頭韻の子音を同じにしてあると。
お話ですが、ローベルトの旅の準備のシーンから始まります。2ヶ月、ウィーンで仕事をするために我が家を離れる、まさに出発の朝。部屋には開いたトランクがたくさん。クリスティーネは忘れ物がないかと大わらわ。「あなたがいないと家の仕事は全部私任せにされて!」と怒るかと思えば、「いつもあなたは家でばかり仕事をしているから(これは作曲家としての仕事のことです)、あなたがいなくなってせいせいするわ!」と言ったりもする。
ローベルトは慣れたもので、適当にあしらったり慰めたりして、なんとか平和に旅立とうとするんですが、クリスティーネのいらいらは激しくて、さすがのローベルトも喧嘩別れの様にソリでウィーンに旅立つことになります。
クリスティーネも言っていますが、彼女にはローベルトのその泰然自若としたところが気に入らないところもあるのです。愛されているのはわかっているし、大事にもしてくれる。でも・・・
さて、クリスティーネは、ローベルトもいないし、知人とそり遊びへ出かけます。そこで、スキーを楽しむ若者と衝突。きいてみれば、このルンマー男爵、良く知っている男爵夫婦の息子だとか。自身も名家の出であることもあり「爵位」によわいクリスティーネ。すっかり意気投合して、また会いましょうと約束。
その後、男爵ではあってもお金がないルンマーのこの保養地での滞在先を世話したり、家へ招いて夕食をともにしたりすっかり仲良くなります。ところが、このルンマー男爵、自然科学を勉強するための金がないと嘆きます。クリスティーネは夫ローベルトがきっと援助してくれると言いますが、ルンマーはあったこともないローベルトへ援助を頼むのは気が引けるのかはっきりしない態度。
実はこのルンマー、頭痛持ちを装ったりして、なかなかずるい。クリスティーネの同情を引いてうまく援助を引き出そうと思っているようだけど、クリスティーネ自身には好意を持っている様ですが、結局なんとか勉強の資金を確保しようと、クリスティーネに1000マルク貸してくれという手紙を書きます。
これを読んでクリスティーネは激怒。金の貸し借りは友情を台無しにするとルンマーを叱りつけます。しかしちょうどそこへ一通の電報が。
「愛しいあなた、またオペラのチケットを2枚送ってね!その後はいつのバーで会いましょう。ミーツェ・マイヤーより」
夫の浮気の証拠だと思いこんだクリスティーネは、激昂してすぐに夫に電報を打ちます。
「ミーツェ・マイヤーを知ってるわね。あなたの不実は明白です。我々は永久に別れます!」
さて第2幕。
ローベルトは、稽古の後に大好きなトランプゲーム「スカート」を同僚や友人と楽しんでいます。このスカートというゲームはR.シュトラウスが実際に好んだゲームで、ドイツでは今でも広く楽しまれています。今回は、たまたま僕が歌っているアルテンブルクがスカート発祥の地と言うこともあり、「ドイツ・スカート連盟」で僕が買ってきたカードが舞台でも使われています。
そこにクリスティーネからの怒りの電報が届きますが、ローベルトにはなんの事やらさっぱりわかりません。でも部下の指揮者シュトローがそのミーツェ・マイヤーを知っている様子。とにかくクリスティーネと話そうと、大好きなスカートを切り上げて去ります。
かたやクリスティーネは公証人のところに行って離婚の手続きを進めようとします。でも、公証人の方はルンマー男爵との噂を聞いていますから、クリスティーネとルンマー男爵の関係が離婚の原因と思っていた。
ローベルトを良く知っている公証人はローベルトの浮気を信じようとせず、手続きを引き受けようとしません。
ローベルトは、出来ることはすべてやったのに、とにかくクリスティーネからはなしのつぶて。困り果てて雨のプラター公園で嘆いていると、同僚のシュトローがローベルトを探してやってきた。
話を聞いてみると、どうやらミーツェ・マイヤーとオペラの後にバーで会うはずだったのはシュトローの方だったと。
ミーツェ・マイヤーは電話帳で自分の恋人の名前を探して、ローベルトの姓「シュトルヒ Storch」と「シュトロー Stroh」を間違えて見てしまったらしい。
ローベルトはこれをシュトローが利用して上司である自分を陥れるつもりだったとしたらただではおかないと怒りながらも、謎が解けてほっと胸をなで下ろします。
家を出る準備をしているクリスティーネのところにローベルトからの10通目の電報が届く。あけるつもりもなかったが小間使いに即されて読んでみると、この名前のとり違いのことが書いてある!
そこへローベルトに命じられて夜行でクリスティーネの元に向かったシュトローが釈明のために到着。「わかったわ。話は聞いてやるわよ」
そして最終場面。
誤解が解けてローベルトは喜び勇んで我が家へ帰ります。
でも、ここでまたクリスティーネのあまのじゃくぶりが発揮され、「あなたはすっかり、すべてが解決されたと思っている様だけど・・・」と口説きが始まります。
ローベルトはいつもの様に適当に相手をしていますが、クリスティーネの想いは今回はいつも通りには収まらず、「いつ何が起こってもおかしくないって、これではっきりわかったわ」「あなたの召使いとして生きるのはもうこりごり」「あなたは私を理解したことがない」・・・
無実の罪で3日も眠れぬ夜を過ごした上にこれではローベルトもたまらず、いつも見せることのなかった本当の怒りをクリスティーネにぶつけます。これはにはクリスティーネもびっくり。
でも、それに惚れ直してしまった様子。
今まで、愛してくれていたし大事にもしてくれたけど、一度も怒りをぶつけられたことはなかった。子供扱いされていた様な気持ちになっていたのでしょう。ローベルトが初めて怒りをストレートにぶつけたことで、二人の気持ちはうち解けあい、クリスティーネがいつも口にすることのない真摯な愛の言葉にローベルトは少し照れながら最愛の妻を抱擁します。
2004年7月17日(土) No.328

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