今日は、ゲラで最後の「ブロウチェク氏の旅」本番でした。次はアルテンブルクに場所を移しての上演になります。
公演数が他のレパートリーよりかなり少ないですが、これはこの作品の知名度の低さを考えるとまぁ妥当なところなのでしょう。
もっとも、絶賛の批評がドイツ中のオペラ雑誌に出た事もあり、毎回お客さんの入りはとても良いんですけどね。残念な気はします。
あと、僕が日本ヤナーチェク友の会の会報(クリックするとジャンプ出来ます)に寄稿した文にも書いた事ですが、この作品が、非常に演奏が難しい作品でもあり、上演に関して音楽的責任を負っているフェルツ氏が今シーズン終わりを持って完全にシュトゥットガルトに仕事の場所を移すので、彼なしでの上演が難しいという事もあるかと思います。
ゲラでの最後の公演という事だったので、ベビーシッターをビルケさんに頼んで、嫁さんも見に来ました。ファンタジーたっぷりの作品、演出なのですが、劇場を知っている人にはたまらないようなギャグも沢山ちりばめられていて、これはかなり嫁さんのつぼにはまったようでした。
タイトル・ロールのブロウチェク役を歌っているアンドレアス・コンラートがまたとぼけた味でしてね。これも面白かったと思います。
15世紀の宗教戦争の場面で、革命のドタバタに乗じて泥棒をする人、と言うのが舞台に何人も出てくるんだけど、その人達が盗んで運んでいるものが、15世紀だってのに最新式の洗濯機(!)だったりして、これがまたおかしい。洗濯機にリュックサックみたいなかつぐ帯をつけて背負っているんですけどね。これがまたランドセルみたいで。
わかりにくいかも知れないけど、1枚目の写真で後ろにシルエットで移っているのがその洗濯機泥棒。2枚目は僕の演じる手の長い劇場支配人です。
今日の公演は3SATという、ドイツの大手テレビ局が取材に来て、全編を録画していきました。聞いたところでは、今ドイツ中の劇場を回って紹介する番組をやっているとか。今ゲラのプロダクションとして評判が一番高いのはこのブロウチェクですからこの舞台を紹介するのでしょう。放送日がわかったらサイト上でもお知らせしたいと思います。
ゲラでの最終公演だからか演出家のマティアス・オルダーグも見に来ていました。休憩に僕らの楽屋に来て「どうしたんだ!今日は最高だ!」と、とても上演内容に満足しているようでした。数回本番をこなすと、特にこういう作品はお互いの呼吸が合ってきて、良い緊張感が生まれてきますね。やっぱり本番を何度もやるというのは大事ですね。日本でのオペラの本番ももうちょっと回数が増えると良いんだけどね。
ところで、このマティアスは、うちの劇場の次期総裁に決まっています。数週間前に報道がありました。うちの劇場ではコンスタントに仕事をしている客演演出家で、今はシュヴェリンの劇場の座付き演出家だと思うけど、2006年の夏からはうちの総裁になります。多分オペラ・ディレクターも兼ねる事でしょう。
劇場の食堂で見かけたので「総裁就任、おめでとう・・・それともあんまりおめでたくない?」と言ったら、「うーん、俺にも良くわかんないよ、テル」みたいな話で。というのはテューリンゲン州が2008年まではともかく、そのあとの予算をさらに削るだろう事は確実視されているし、運営する側としては問題が山積でしょうから。僕は「でも、僕は喜んでるよ。」とは言いましたけどね。
マティアスのHPも紹介しておきましょう。僕の出演したプロダクションの写真もあります。この夏の日本での「フィレンツェの悲劇」も、ゲラでは彼の演出で歌ったのです。
・・・と書いてから確認したら、どうも今はコンテンツへのリンクを切っているようですね。でも一応リンクしておきましょうか。
http://matthias-oldag.de/