今日は指揮者のクリスティアン・アルミンク氏を迎えて、通し稽古でした。
クリスティアンはコンサートの仕事が間に入っていたこともあって、「フィレンツェの悲劇」の立ち稽古にはずっと来られていなくて、何と今日の通し稽古が、僕とは初めての立ち稽古でした。音楽稽古は一昨日、一度やっているんですけどね。
その2若いというのに(うちの劇場の現GMDのガブリエル・フェルツと同じ34歳)、大変手慣れた感じで、一昨日の音楽稽古もすんなりいきました。彼が音楽稽古の中でこだわっていたのは発音と言葉による表現で、まぁ僕はドイツ語圏に住んでいると言うこともあるのか、殆どダメもなく3時間で充分、作品全体を見通すことが出来ました。
そして今日の通し稽古も、極めて柔軟に対応してくれました。彼にしてみたら立ち稽古は初めてだから、そのタイミングでどんな所作があって、どの音楽の時に歌手が指揮者のとのコンタクトを取りにくいかというのは今日はじめてみたはずなんだけれども、どの場面でも僕が音楽的にちょっと難しいところはいつも僕の方を向いていてピンチ対処の準備がちゃんと出来ているのです。オペラの現場を良く知っている指揮者だな、と思いました。これからの稽古のプロセスがより楽しみになりました。
彼はパイプをやるんですね。「かっこいいね」といったら「そう、そして何よりうまい!」と言っていました。
さて、演出の方の話の続きです。
僕はこの間の日記でははっきり言わなかったんだけど、まぁわかるのは時間の問題だし、言ってしまっても問題はないと思うので、書いてしまいますが、今回僕の役には女装のシーンがあるのです。
僕の女装なんて見たくない、と言う人はいるだろうし・・・というか、僕自身あんまり見たくない・・・、はっきり言って美しいものでは全然ないのですが、カロリーネの演出コンセプト上は必要なシーンなので、涙をのんで女装しております。カロリーネには、「なに、ドイツで5年も仕事していて今まで女装がなかったの?」と言われましたが、まぁベルリンとかケルンとかで歌っている訳じゃないからね。脱がされることはあっても女装はありませんでしたね。
昨日の稽古では制作の人に稽古の写真を撮ってもらったので、自分の女装も見ましたが、これはここには載せたくないので載せません。どうしても見たい方(いるとは思えないが)本番を見に来て下さい。
まぁね、でも女装はあくまでも一部でして、他のコスチュームプレイが色々あります。最初は普通のスーツで舞台上にいるのですが、よく見ると上着の下に来ているのは黒いネットのシャツで、いかにもSMプレイという雰囲気のものを既にジャケットの下に着込んでいるわけです。
で、3人そろったところで、それぞれ好きなものに着替えるんだけど、グイドは昔の貴族の格好に変装するわけです。ビアンカはメイド、僕はネットのシャツの上に黒い皮の上着。この格好、かなりインパクトありますよ。それで手にはビアンカの首に付けた犬の首輪ですからね。
写真は、1枚目がメイドの格好をしているビアンカに犬の首輪をつけて引き回し突き倒していたぶっているシモーネ、2枚目はグイドを椅子に拘束してラップを使った「酸素欠乏プレイ」をはじめようとするところです。
こういう世界は縁がないので、この酸素欠乏何とやらというのは全然知らなかったのだけど、呼吸困難に近い状況でより性的快感が増す、という事があるそうです・・・。個人的にはそんな苦しそうな話、試す気にもならないけど。苦しいこと、好きじゃないので。