降板自体は先週にわかっていたのですが、最終的に細かいことがはっきりするまで時間がかかってしまいました。
4/30のコシ・ファン・トゥッテを演出することになっていたアニヤ・ズュンダーマン女史が、怪我の回復が思わしくなく入院を余儀なくされて、うちの劇場でのコシ・ファン・トゥッテをキャンセルしてきました。立ち稽古開始10日前と言うところです。
それも、彼女が自主的に告げてきたのではなく、演出助手がウィーンまで行って打ち合わせをしようとしたら「あたし、やりません」という事になったらしくてね。どうなんでしょうね、こういうの。まぁ仕方ない。
ズュンダーマン女史は、ウィーン州立歌劇場でヤナーチェクの「ブロウチェク氏の旅」を演出したところで、その稽古中だったようです。
さて、うちの劇場はおおあわて。でも、うちの専属歌手に一人、演出家としてもずいぶん仕事をしている人がいるのです。フーゴー・ヴィーク氏。バス歌手なんだけど、ハレの大学では演出の授業をしているはず。
実は彼、このコシ・ファン・トゥッテの演出にも応募していたんです。ズュンダーマン女史との交渉が始まった後らしくて、実現しませんでしたが。彼はアルフォンゾとしてこのオペラを何度もやっているし、ブリューアー教授と同様、ハリー・クプファーの弟子なんですよ。ブリューアー教授よりも先にクプファーに支持していたんじゃないかな。
僕はフーゴーを友人としても芸術家としても大好きだから、かえってこの変更はありがたいくらいです。立ち稽古が大変楽しみになりました。
じつは、このズュンダーマン女史から提示された、ずいぶん細かなカットが施されていたんだけど、これも部分的に見直されました。
作品を切り刻む演出家が多い昨今、フーゴーはまずは音楽家だから、作品を尊重するのが第一の姿勢で、これも僕にはありがたい。1幕のアルフォンゾのオケ付きレチタティーヴォもカットされていたんだけど「ここはアルフォンゾが本心を述べる唯一の箇所だから」と、カットしないように強く頼んでおきました。
さっき午前中にGMDのソレーン氏との音楽稽古があったんだけど、彼にきいたら、この箇所は復活することに最終決定したようです。フーゴーの話だと、この間に転換できるかどうかがネックだったらしいけど、この問題はクリアされたのでしょう。
さあ、あさってから立ち稽古だ。がんばるぞ。