リゴレットのプレミエ(初日)、お陰様で無事に終えることが出来ました。
チケットの売れ行きは大変良いと聞いていましたが、やはり満員。プレミエというのは独特の盛り上がりがあるものですね。客席の盛り上がりもさることながら、舞台裏の盛り上がりも大変なものでした。
日本でもオペラの本番の日に、お世話になったスタッフや共演者の皆さんにプレゼントや差し入れをすることは良くありましたが、ドイツではプ...
レミエの日にプレゼントをすること(Premiengeschenk)がしきたりとなっているので、出演者がそのプレゼントの配達にあっちこっちに回っていたり、楽屋のアナウンスで演出家が今までのみんなの努力と苦労をねぎらったりと、開演前の舞台裏はとてもにぎやかでした。
僕のPremiengeschenkはチョコレートでした。すごく苦いやつ。Edelbitter、つまり気品のある苦さという感じでしょうか。
これにはちょっとわけがあって、まぁシャレみたいなもんですけど。
僕は立ち稽古の間中演出家から、「あなたのリゴレットは優しすぎる。もっと厳しく、もっと苦々しく」といわれ続けてきたのです。それでまぁその「苦々しさ」が足りなかった場合にこのチョコで補ってもらおうかと・・・。
HPの時に楽屋で撮った写真を使ってカードを作り、言葉を添えました。
「リゴレットの苦い人生を共感しようと思うとき、苦いものを食べるのは悪くない考えです。でもこのチョコは苦いだけでなく甘く美味しいのです。このプレミエがお客様と全ての共演者に『美味しく』ありますように!」ってね。
まぁこの僕の「優しすぎるリゴレット」というのは、演出家のリゴレット像が極端に抑圧された人物になっていることと関係があります。念のため。稽古中には「あんな父親の愛情をかけらも見せないリゴレットで良いのか?」と良く他の歌手からたずねられましたが、これはコンセプトの問題だから、全体のコンセプトに納得した以上は、その全体を俯瞰した上で演じないと、自分のイメージにあっているだけの自己満足のリゴレットになってしまいますからね。
舞台裏の盛り上がりもさることながら、演奏もうまく行き、客席も盛り上がりました。
終演後のカーテンコールでは何度も呼び出されて、ブラボーの嵐!最後はスタンディング・オヴェイションになりました。よかったよかった。客席で聞いていた同僚の話だと、カーテンコールでブラボーだけでなくて足踏みの歓迎を受けたのは僕だけだったという話。嬉しいですねぇ。
僕としてはまぁ問題がないわけじゃあなかったですが、あまり硬くならずに歌えたし、おおむね納得の行く出来でした。
2001年6月10日(日)スクリプトで読み込み