休暇と言っても、僕にとっては全然休暇じゃないんですけどね。連休を含む5日間に4つの本番で、しかも違うオペラを2つ含む3演目。オペラのうちの一つ「ヴァネッサ」は4ヶ月ぶりで稽古無しです。これ、良くないサイクルだなぁ。この稽古無しの再演がいま劇場の中で専属歌手と首脳陣との問題になっているんですね。
そして今年のイースター休暇は・・・大雪です。本当にびっくりしました。今日はそしてOstersonntag。イースター休暇の中ほどにあり、キリスト者共同体の催しOsterbergがある日です。これは前に日記にも書いた通り、何度か参加しているのですが、このOstersonntagの早朝に行われる儀式には参加した事がなく、今回初めて参加しました。
これは、朝の6時15分に集合となっているのですが、ゲラでは動物園の入り口にある泉にあつまります。起きてから口をきかない約束で、ここで出あうキリスト者共同体の皆とも無言で握手を交わすだけ。言葉は交わしません。
・・・この日は同時に、Osterhase(復活祭のウサギ)が卵やプレゼントを隠しに来る日でもあるので、子供たちは目が覚めたらまずプレゼントを探し回ります。この写真の健登は、しゃべれないもんだから、ゼスチャーで「庭には何も見つからなかった!」と僕に報告してきたところ。
このあと皆で車に乗って動物園の前の泉へ。
僕らは洗礼を受けたわけでないし、基本的には門外漢なのですが、キリスト者共同体の催しには出来る限り参加しています。健登の為に宗教教育、道徳教育がとても重要だと思っていた事とか、このコミュニティを通じてゲラの人智学運動に関わろうとか、始まりはそんな感じでしたが、今はもっと深いところで納得して参加させていただいています。このスタンスとかの話になるとまた長くなるのでそれまた今度。
この催しの意味も、そういうわけで定義的に分かっているわけではないのですが、体験して見てわかることもあるしね。起きてから口をきかずにここに集まり、その泉の水で顔を洗って、その水を飲みます。集まった全員がその儀式を終えたところで牧師のWeber氏が歌を歌い始めて、皆も声を合わせます。そのあとWeber氏が全員と一人ずつ「Christ ist erstanden!(キリストは復活した!)」といいながら握手をする。ただこれだけです。起きてからの時間をしゃべらずに静かに過ごす事にまず意味があるんだなと思います。
このあと、キリスト者共同体の建物まで皆で歩いていって、朝食を共にします。その道々、子供たちは隠してある卵を探して歩きます。僕らも本当は一緒に朝ご飯食べたかったけど、僕は午後に本番があったし、あまりにも寒くて・・・マイナス2度ですよ・・・冷えきってしまいそうな事もあり、約半分の道のりを行ったところで失礼しました。
Weber夫人も言っていたけど、クリスマスに雪がないくらい暖かい冬だったのに、復活祭が真っ白とはね・・・。異常気象でしょうか。今ちょうど、またベルリンからソプラノの森川さんがゲラに来てくれているのですが、彼女に届いた復活祭のグリーティングカードの一つに「Osterhase(復活祭ウサギ)が雪の上に足跡を残さない事と(どこから来たかバレるとまずいから)、Ostereier(復活祭のお祭りのために染めてあちこちに隠してある卵)の着色料が耐水性である事を祈ります・・・」とかいてあったそうな。これは笑いました。
最後になっちゃいましたが、今日も本番でした。またヴェルディのアリアを歌って参りました。ヴェルディというのは最愛の作曲家の一人だけど、今まではやはり時期尚早の感があって、勉強はともかく前面に出すのを敬遠して来た感があるのですが、今の僕には「歌うべき作曲家」となってきました。もちろんそういうわけで夏のデュオ・リサイタルで取り上げるのですが、来年、日本でヴェルディのオペラも歌います。これはまだ発表できないんだけど、もう少しで正式発表して良いそうですので、もうちょっとお待ち下さい。
もともと僕のアイドルの一人はエットーレ・バスティアニーニだったんです。今でも大好きですけど、当時は本当に彼にめろめろって言う感じだった。アリア集のレコードを、それこそ擦り切れるほど聞きました。学部の3年生だったかな、初めてレッスンにヴェルディのアリアを持っていったら師匠に「バスティアニーニみたいになれるかも知れんぞ。」って言われて天にも昇るような気持ちになったのを良くおぼえてます。あれから20年経つんだな。声の成長には時間がかかりますね。今は自分でやっと納得してヴェルディを歌えます。今までもヴェルディは歌ってきているんですけどね。ヨーロッパ・デビューがプラハ国立歌劇場でのジェルモン(椿姫)だし、うちの劇場でのデビューもリゴレットだし、そのあとここでも日本でもジェルモンは歌い、「ナブッコ」も歌ってます。来年はヤーゴ(オテロ)がありますしね。
そう、大変お待たせしてしまったのですが、去年のデュオ・リサイタルのDVDが完成しました。こちらからご注文頂けます。かなり力を入れて字幕を入れました。高いソフトを買えばもうちょっと時間をかけずに出来たんですけどね。でも、手前味噌ですが、やっぱり演奏者が訳して映像や演奏とのタイミングを配慮して作業した字幕だから、精密さから言ったらかなりのもんだと思います。
ご存知の通り、コンディションはベストではなかったんですが、皆さんの暖かい応援のおかげで無事に歌い終える事が出来ました。冷静に後から見ると、やっぱり大好きなR.シュトラウスの歌曲ばっかり並べた演奏会、すごく楽しそうに歌ってますね。お越し頂けなかった皆さんにも是非聞いていただきたいです。枚数に限りがあるようなので、お早めにお申し込み下さいね。
デュオリサイタル、小森さんからは演奏終了後、「コンディションが決していいとは言えなかった」とコメントがありましたが、私はそんなことはまったく感じませんでしたよ!
力強い声と表現力見事でした。
なのでさっそくDVDを注文させていただきました?届くのが楽しみぃ?♪
ちなみにあの日、私も体調が悪くて東京に行こうかどうしようか迷ったのですが、伺ったんですよ。
東京はとても暑かった・・・。
演奏の最後の方は申し訳ないのですが体がきつくて目をつぶって聴いていました?決して眠っていたのではありませーーーん(笑)
>えーちゃんさん
DVD注文してくださってありがとうございました。もう既に何件もご注文を頂いています。
そう、すごく暑かったですよね。あれとエアコンの落差がきついです。