ドン・ジョヴァンニの立ち稽古

ドン・ジョヴァンニの立ち稽古もずいぶん進んで、今日の午前中の稽古では第1幕の通しがありました。僕は歌わなかったんですけどね。
ジョヴァンニとドンナ・エルヴィーラの二役だけがダブルキャストになっているので、どうしても稽古できる回数が、シングルキャストが組まれている役より少なくなります。この事ではずいぶん話し合い・・・というかほとんど喧嘩の時もあったけど・・・があって、僕はこの1幕の通し稽古をしない代わりに、今日の夜からしばらく集中して稽古をさせてもらうことになりました。やれやれ。
はじめの頃は、僕はこの劇場では新入りだし、まぁ先輩をたてるというかあまり何か要求をすること...


はしていなかったのです。でもやはりその辺は日本と違うなぁとすごく思うんだけど、何も言わないと特に問題がないと思われてしまうので、「うるさく言った者が勝ち」みたいになるわけで、こりゃ黙ってちゃだめだわ、と思って僕もいろいろ主張するようになりました。あんまりうるさくこういうことをいうの好きじゃないんだけど、誰と話しても「自分の身は自分で守らないと」と言うので・・・つまりこのまま行って稽古が足りなくて損をするのは自分であるわけで。
特に僕とダブルでジョヴァンニを歌っているバリトンが、結構切れやすいと言うか、比較的寛容でない人というか・・・で、僕が稽古しているときに見ているのが嫌みたいで、すぐに「主張」し始めるんですよね。だからそのままにしておくとどうしても僕が割を食うことになり、黙っているわけにも行かず・・・。もうちょっと演出サイドでうまくオーガナイズしてくれると良いんですけどねー。

まぁいいや。それで、今日の夜は僕の稽古で、有名なツェルリーナとの二重唱(新聞記事の写真の曲です)を少し集中してやったんだけど、演出家がえらい感激して、「こんな風にやってもらえるならもう僕は何も言うことはない」なんて言っちゃって。
この場面は、僕にとっては一番ジョヴァンニの中である意味で難しいところで、ジョヴァンニがその超一級の口説き術を観客に披露する場面ですから、ここでその面のジョヴァンニのキャラクターはきっちり決まる場面なわけです。
そう言う場面だし、演出家のProf.Blueherはリゴレットの時はこんな手放しの賛辞は全然口にしなかっし、えらい細かいことを言う人なので、今日の稽古はかなりうまく行っていたんでしょう。
「君と結婚する!」と腹這いになって言うんですよね。最初はどうしたもんかと思ったけど、今日の稽古ではわりとちゃんとキャラクターがはっきり理解できて稽古できたと思いますが。

そうそう、シャンパンの歌(ジョヴァンニのアリア)はやはりドイツ語になりました。
2001年8月30日(木)スクリプトで読み込み

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