昨日で5回のレッスンが終わりました。1時間ずつとはいえ、レッスンが毎日あるというのはなかなか大変なものです。特に彼の場合要求するものが多いというか大きいというか、妥協をしない人なので、よりよい結果を出すためには、レッスン中の集中力はもちろんですが、レッスンのあとに録音を聴いて次の日のレッスンを準備するというプロセスが非常に重要になってきます。
今回はオペラもミュージカルも観ないで1週間が終わってしまった。
まぁ録音をしなくたってもちろんレッスンは成立するわけですが、僕の場合は前のレッスンから1年半たってやっとまたロンドンに来ることが出来て、しかもここロンドンに...
住んでいるわけではないわけですから、あとで好きなときにレッスンに来られるわけではないわけです。「ああ、このことも聞いておけば良かった」とか「この曲のここの部分もやっておけば良かった」となるのは嫌ですから、たまっている疑問などは全部答えを得て帰らなければなりません。
レッスンの中で明らかになってきたことを次のレッスンで前提として先に進めるか、それとも同じ注意を繰り返し受けるかでは1週間の成果に雲泥の差があります。
今回はまずリゴレットを全体的に見てもらいました。ドイツ語で。ドイツ語でイタリアのカンタービレを歌う場合に、子音、特に無声子音がどんなバランスで使われるべきか、が主なポイントでしたが、それも含めて全ての疑問にはっきりとした答えがもらえました。
僕はこのDavid Harperに94年から師事しているのですが、彼に会った当時は発声に問題があって非常に行き詰まっていたときでした。そんなときにまさにそんな泥沼から僕を救い出してくれたのが彼だったのです。
いつも僕が「すごい」と思うのは、Davidが、僕のどんな疑問にも必ず明確な答えを持っていることで、しかも、その答えを説明だけでなく、僕の肉体において実施することで答えを見せてくれることなのです。「理論的にはこうなるが君にはまだできないようだから練習しておきなさい」という事は絶対になくて、そのレッスンの中で、僕の求めていた声がちゃんと出るところに持っていってくれるのです。だから彼のレッスン室には、僕の目の鱗がぼろぼろ落ちるわけです。
・・・うーん、長くなりそうだ。彼とのことはエッセイにいつか書きます。
写真は金曜のレッスンのあとに撮ったレッスン室でのものです。どういう訳かストロボがおかしくなったので暗い写真ですけど。
2001年10月20日(土)スクリプトで読み込み