アラベッラ1公演目を終了



ついに僕の夢が叶いました・・・とそればっかり書いているような気もしますが、誇張ではないのです。
こんなに「舞台に立つ」ということが幸せなことだと「体感」したことはありませんでした。まぁちょっといろいろな条件が重なっているからなぁ。
僕は...


もともと、悪条件の中でも舞台に立つ喜びを失ったことはないし、何かがうまく行っていないプロダクションでもいつもどこかで楽しめる部分はあったのですが、これほど「もう楽しくて楽しくて、歌っているうちににやにやして来ちゃう」ような楽しさは初めてです。

やっぱりこのR.シュトラウスの音楽を僕がどんなに愛しているかということだと思うのですが、もう楽しくて楽しくて仕方ありませんでした。



2/2に新国立劇場に来て下さった皆さんには、その僕の作品への愛情を感じていただけたのではないかと思っています。来て下さった皆さん、ありがとうございました。
もちろん作品に愛情を持っていればいいというわけではなくて、この作品を理解し咀嚼し、表現するというプロセスにはいろいろな問題があったのですが、ほとんどの問題は解決して本番に臨めたと思います。特にゲネプロでのオケとのずれは深刻だと思っていたのですが、本番は音を聞くより若杉先生とのアイコンタクトの方を重視して、結局はうまく行きました。
お客様も大変喜んで下さったように感じました。
シンシアも良かったなぁ。彼女の来日前はちょっとアラベラにぴったりの声じゃないような気がしていたけど(サロメの時の記憶から)、彼女は舞台で本当にかわいらしいんですよね。身長も僕と同じくらいあるし、声の迫力もあるんだけど、娘役の芝居が出来る人なんですよね。

2幕の後半で、取り乱すところが、芝居も音楽も複雑でとても難しいのですが、ここでまさに「髪を振り乱して」歌うため、舞台稽古ではかつらの乱れと戦うことになりました。HPではかつらとひげ、あわせて4回も取り替えたのです。ウィーンでは場違いの田舎者だけど、エレガントでなくてはいけないというわけで、かつら一つ、ひげ一つ、髪の振り乱し方一つとっても難しいわけです。ははは。



そしてやっぱり若杉先生は凄い人だと思いました。僕は若杉先生との出会いもアラベラでだったのです。オペラ研修所の研修生だったときに、若杉先生が特別講義をされて、そのときアラベラとの二重唱を聴いていただいたのです。
それにしてもあのパッションは本当にどこから来るんでしょう!?そして、いつも思うのだけれど、僕みたいな若造の歌をいつもピットでよーく聞いて下さっていて、伴奏というのはなんだけれども、僕の音楽が生きるようにオケをつけてきて下さるんです。指揮者というと独裁者的なイメージがあるかも知れませんが、若杉先生は全くちがいます。強烈なリーダーシップを持ちながらも、歌手とのバランスの調整、駆け引きを常にしてらっしゃるのです。本当に凄い人だと思います。若杉先生とこのアラベラを一緒に出来て本当に良かった。
このプロダクション自体、若杉先生のR.シュトラウス、アラベラへの愛情がなかったら発生していなかったんだと思います。


でもコップがちゃんと割れて良かった。割れなかった公演を見たことがあるので、それだけは避けたいと思っていて、でも稽古で割れなかったことがあるので、これはけっこう気にしていたのです。でも力一杯たたきつけすぎましたかね?うるさかったかしら?

写真は1幕と2幕からです。これ、ゲネプロで五十嵐喜芳オペラ芸術監督が撮って下さったものなんですよ!クリックすると大きい写真にジャンプします。

2003年2月4日(火)スクリプトで読み込み

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