「フィガロの結婚」GP終了

ずいぶん久しぶりの日記になってしまいました。ご勘弁下さいませ。殺人的なスケジュールだったのです。本当に時間がなかった。

今日の朝10時半からゲネプロがありました。あとは本番だけです。家に4時半頃に帰って来て気がついたのですが、昨日の夜は17時からハウプトプローベがありましたから、この24時...


間の間に2回この「フィガロの結婚」を通したことになります。正気の沙汰ではないですね。今日の夜「マイ・フェア・レディ」の本番があって、それにオケがとられるので午前中のGPになったわけですが、歌手の疲労を全く考慮していない。

まぁね、色々無茶苦茶があったので、どの無茶苦茶からお話しして良いか迷うくらいです。とりあえず、最新のむちゃくちゃは、昨日のハウプトプローベ。

小道具、大道具が大幅に変更されていて、しかも稽古開始前に歌手に通知されなかった。手をついて歌わなければいけないテーブルの高さも幅も違う。ケルビーノの辞令が書類でなくて、どういうわけか定期券くらいの大きさのパスポートになっている。フィガロとマルチェリーナの借金の証文がロール状の書類から封筒に入った四つ折りの書類になっている。テーブルの位置が変わって、僕らの動線にもろにかぶってくるのでいちいちよけて歩かなくちゃならない。などなど。

これにはね、キレました。ほんと。このほとんどが2幕で判明したので、2幕フィナーレの変ホ長調の和音が消えた次の瞬間に「Was soll diese Schei*** hier?!!!」(うーん。直訳したくない。「これは一体どういう事だ!」を下品にした感じね)と絶叫したのは僕です。はい。僕が従順な歌手だと思っている同僚達は、度肝を抜かれたらしい。僕だってたまには怒りますよ。

この稽古が足りていない状況で、ストレスはもう充分なくらいあるのに、どうして最後の最後にこうもたくさん変更がなくちゃいけないんですか。しかも、歌手には一言も説明がなかった。見たことない小道具が出てくるたびにどっきりしてこの通し稽古を歌い演じなくてはいけない。

伯爵夫人が盗み見なくては行けないケルビーノの辞令がそんなに小さかったら、僕は「どう演じたらこの小さなパスポートにハンコが押していないことを伯爵夫人が見たように見えるだろうか」とそればっかり考える羽目になる。

ただでさえ足りていない舞台稽古なのに、僕らの動線上にテーブルがいきなりおいてあったら、いちいち動線をどう変えるかばかりを考えて演じなくてはいけない。今回は特に稽古が足りてないわけですから、僕らが舞台上で考えなくてはいけないことはただでさえ沢山あるわけです。限りある集中力を、そんな小道具の変更への対応にとられていたら、うまく行くわけありません。
あとね、手をついて歌う段取りになっているテーブルの高さが低くなっていると、当然体の角度が変わるでしょ。顔を下に向けて歌うわけに行かないから、顔を前に向けると顎が上がっちゃって、発声上問題あるんです。で、立ち稽古の時にこのテーブルの高さに関しては綿密に打ち合わせてあったのに、それも全部なかったかのように、全く違う、より低いテーブルが突然おいてある。

どうして稽古してきたとおりにやらせてくれないんだと、演出家にもくってかかりました。「小道具が元に戻らないなら、僕はこの後3幕以降を歌いせんよ」とまで言った。演出家はすんなり謝ったけど、本当は舞台美術家が悪いんです。彼が勝手にどんどん変更を加えていたのは僕も知っているのです。もう彼とは口をきかんぞ。
後で聞いたけど、ケルビーノはGPの後に「衣装を変えたい」といわれたらしい。伯爵夫人とスザンナも4幕のマントが違うものになっていて怒っていた。
大体ね、そういう衣装とか装置とかの都合を見るために稽古がピアノ通し稽古なわけで、それは月曜日にあったわけですが、そこにその舞台美術家は来なかったんですよ。立ち稽古にもろくに来ていない。彼のための稽古には来ないで、どうして本番3日前にごちゃごちゃいじるんだ!

歌手の同僚達も楽屋ではぶつぶつ言うくせに、状況を打開しようと本当に動く人は少ないんだよね。まぁそういうもんか。でももう僕は限界でした。

でも一応僕の直訴は聞き入れられたし、まぁ大声出したらすっきりしたみたいなこともあって、今日のGPは気持ちよく演じられました。また細かいことは落ち着いたら書きますね。すっきりしたので衣装の写真も撮りました。上から1幕、2幕、3幕の僕の衣装の写真です。

明後日のプレミエは高校の同級生がデュッセルドルフから見に来てくれる予定。楽しみです。

そんなわけでとっちらかておりますが、早速リサイタルのチケットのお申し込みをいただいた皆さん、ありがとうございました!今のところニュースレターからの優先予約を開始した段階ですが、一般発売も近いです。またサイト上でもご案内します。皆さん、是非是非いらしてください。渾身のプログラムですから。
今からでもニュースレターをお申し込みいただければ、ニュースレターを読んで下さっている皆さん対象の優先予約をお受けできます。ニュースレターをお申し込みでない方は、この機会にニュースレターをお申し込みいただけると嬉しいです!
2004年3月26日(金)スクリプトで読み込み

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です