五島記念リサイタルの批評

2004年7月に行った、五島記念文化財団オペラ新人賞記念リサイタルに対する、小山晃さんの批評が音楽のともしに掲載されました。


・小森輝彦Br
第11回五島記念文化賞オペラ新人賞を受けドイツへ留学、そのままアルテンブルク・ゲーラ市立劇場の舞台に立ち、既にリゴレットなど30をこす持ち役を演じている小森輝彦が、研修成果報告のリサイタルを行った。
彼はその以前から第二回藤沢オペラ・コンクール第二位、国内のオペラ公演でも諸役を歌い、早くから将来性を強く感じさせていただけに、ドイツで一層琢磨されたであろう歌唱には非常に期待を抱いていた。もちろんそれは裏切られなかった。前半にブラームス、ヴォルフ、R.シュトラウスのリートを、後半にモーツァルト、マスネ、ヴェルディなどのアリアを歌う構成は、現在の彼に大変順当と思え、よくコントロールされた明調のバリトンから繰り出される歌たちは、歌曲では内核を凝視し、アリアでは劇感情が当意即妙にうたわれた。ヴォルフ「春に」「散歩」シュトラウス「解き放たれて」など抜群。アリアではコルンゴルド「死の都市」〜「我が憧憬、我が幻想」にリアルな演唱とともに俳優的感性の閃きをみせ、「リゴレット」〜「悪魔め鬼め」では父性の悲哀がこちらの胸にもいたく響いた。ピアノがD・ハーパー。(7月31日・津田ホール)

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