公園での大量虐殺



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タイトルを見て、なんだこりゃと思われる方もいらっしゃると思いますが、誇張ではありません。劇場のすぐ裏、我が家からも100mくらいの距離にあるキュッヘンガルテンという公園の木が、伐採されてなくなってしまったのです。それも樹齢100年を超える立派な木を多く含む、数十本の木が。




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今ゲラは、2007年に予定されているBUGA(Bundesgartenschauの略。全国規模の造園、園芸の展覧会)の準備を着々と進めています。道路もどんどんきれいになっているし、良いこともあります。BUGAを誘致したことで職を得た人も多いでしょうし、単純にでこぼこの道がきれいになるというのはありがたいです。道の舗装状況は僕が来たときはかなりひどかったですからね。
劇場の改修もこのBUGAに間に合うように計画されています。劇場の建物100周年という事もあったのですが。
でもね、BUGAのために公園をすっきりさせようと、かなりの木が切られてきました。健登とよく遊びに行く公園の一つで、徒歩5分くらいのところにあるビアマン・プラッツというところの木も結構切られてしまいました。市の説明は「病気の木は切り倒さないといきなり倒れてくる危険もあって危ない」というようなことでした。このビアマン・プラッツの次に、川沿いの栗の木の並木が標的になり、今回は一番近い公園のキュッヘンガルテン。キュッヘンガルテンでは古い、大きな木を切ったところに若い小さな木を植えて、景観をすっきりさせたいらしい。


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毎回、グリューネ(「緑」の意味)という、連立政権の一端を担う政党のメンバーが抗議行動を展開して、僕らもデモに顔を出したり(1枚目の写真)、署名したりということはしてきました。このキュッヘンガルテンの木は樹齢が古いものが多いからか、デモに集まった人数も多く、切られる予定の木に「私はBUGAのために死ぬ!」という張り紙(2枚目の写真)をして回るなどのデモ行動も盛んに行われて、僕は何となく市が計画を変更するような楽観をしていたんですが、ダメだったようです。
僕自身は木が切られているところには出くわさなかったのですが、嫁さんと息子がえらく悲しい顔というか憔悴した様子で帰ってきて「木がちょうど切られてた・・・」という事でした。僕らにとってはほんの数年だけど、毎年秋には栗やドングリを拾ってきては息子のおもちゃにしたり、散歩には本当に良く行ったし、何の木がどこにあるかもう憶えているくらいだったのです。これが、ずっとゲラに住んでいる人だったらどんな気持ちがするんだろう?と思ってしまいますが、市の判断はこうだったんですね。
健登は「警察を呼んだら良いんじゃない?!」と言うんだけどね・・・。


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人から聞いた話では、このデモ活動などが新聞などで手厳しく批判されたりしたことがあったようです。まぁいかにも緑の党(前出のグリューネ)のやりそうなことだ、とか思う人は多いかと思うけど。
でもね、本当に切られた木を見てみて下さい、と僕は言いたい。本当に大量虐殺ですよ。これをみて心が痛まなかったら、心のどこかが麻痺していると思う。苦渋の決断かも知れないし、大体僕ら、よそもんだからね。あんまり口を出すのも何かと思うけど、これはひどいですよ。
一緒にデモに来ていた、かつて劇場のソリストだった老紳士が言っていた言葉が印象的でした。「こんな事が本当に起こるとは想像出来なかったけど、やっぱり本当に起こってしまった。むちゃくちゃだ」


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今までにとったキュッヘンガルテンの写真を見返してみました。このページに載せようと思ったこともあってきちんと数えてみたらなんと400枚以上あるのです。多くは夏から秋にかけて、木々が美しい時期に撮っています。さっき、木が切り倒された後のキュッヘンガルテンの写真をいくつか撮ってきて、同じようなアングルのものを探したら、やっぱり結構ある。並べてみるとどんなことになっているかわかりますよね。切り株や切られた木や枝がまだそのまま倒れています。まだ残っている木もこの後切られるようです。写真を比べてみるとわかるのだけど、全部倒されていない今でさえ、もう全然景色が変わってしまっている。
キュッヘンガルテンの秋、本当に圧巻だったんですよ。こんな公園が街の真ん中、劇場の裏にあるなんて恵まれているなぁといつも思っていたのに、一体どうしてこういう事になってしまうんだろう。


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