NHK・FMの収録



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昨日は、NHKで「名曲リサイタル」の収録がありました。これはNHK・FMの番組なのですが、ライブ録音というかお客様の前でコンサート形式で録音する番組です。つまり、録り直しはなし。
二組のアーティストが出演する2時間の番組ですが、今回の収録では僕と、クラリネット奏者の山本正治さんで行われました。


日本でちゃんとした録音の仕事というのはやったことがなくて、今回が初めてでした。ベルリンの大学では、録音技師の科があったので、そこの学生に頼まれて彼らのカリキュラムの手伝いで録音で歌ったりしたこともあったし、大学の録音スタジオと技師に頼んで録音することが可能だったので、コンクールなどに提出するデモテープが必要なときは、良く録音していました。今考えると恵まれた環境だよなぁ。
そこでの経験から「自分は録音に向いていない」と強く思っているので、今回も相当身構えていました。というか、これは、半ばあきらめかな。録音で結果として残るものは、劇場で歌ったときに印象として残るものとはかなり違うことが多いのです。
だから、録音でよい歌手をライブで聴いてがっかりすることもありますよね。
さて、今回の録音でご一緒させて頂いた、山本正治さんは新日本フィルハーモニー交響楽団のトップ奏者でもあり、武蔵野音楽大学教授でもいらっしゃる、日本のトップ・クラリネット奏者です。僕はこの間初めて、「フィレンツェの悲劇」で新日本フィルとはご一緒させて頂いたんだけど、残念ながら山本さんはその時は降り番で、参加していらっしゃいませんでした。


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それから、当日NHKに行ってからわかったんだけど、山本さんが演奏されるのはJ.ブラームスのクラリネット三重奏曲で、共演はチェロの山崎伸子さん、ピアノの若林顕さんという、もの凄いメンバー!僕のためにピアノを弾いてくれる服部容子さんはかなりこの顔ぶれを見てびびっていました。僕は結構ミーハーなので喜んでいたのですが。
話を違う方向に引っ張ってしまうようですが、ピアノの若林顕さんには、最近「新選組!」のテーマ音楽ピアノ版というやつで泣かされているのです。スタジオパークからこんにちは(だったっけな)という番組のゲストが服部隆之さんだったときに、この曲を弾くために服部さんからお呼びがかかった様で、素晴らしい演奏を聴かせて下さって、僕の場合はこの「新選組!」をかなりの思い入れを持って見ていたので、これにはもの凄く感動してしまったのです。その若林さんとNHKでお会いするというのがなんだか嬉しかったりして。
さて、僕の方の演奏ですが、曲目は一応慣れた曲で組んでおきました。録音は得意じゃないから、新曲を持ってくる気はしなかった。8月10日にも歌ったリストの歌曲、ドイツもののアリアとして、「さまよえるオランダ人」と「死の都市」のアリア、イタリアオペラからはヴェルディのアリアを二つ。「椿姫」のジェルモンのアリアと、「リゴレット」のリゴレットのアリア。全部で38分のプログラムを用意する必要があったのですが、これで38分30秒のプログラムでした。


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この番組に出演した他の歌手などからも話は聞いていて、みんな口をそろえて言うのが「歌う間にしゃべるのが嫌なんだよねぇ」とのこと。確かに結構トークの時間が長いのですね。これは事前にどんな話をするのかテーマをこっちから提出する必要もあったりして、まぁ準備も手間がかかったんだけど、後から考えると、きっちり準備していればあわてないので良かったです。
歌うのとしゃべるのではモードが違うし、単純にしゃべりすぎれば喉が疲れるし。でももうこれはこういうものだとあきらめて、せいぜい歌う前には沢山水を飲もうと、水を準備してもらうことだけは前からお願いしておきました。
演奏は・・・まぁ万全であったとはいえないけど、録音が苦手なことを差し引けば、まぁまぁ良かったのではないかと思います。8月10日のコンサートも、すごく好評だったし、後から冷静に録音を聴ける様になってから、現時点の僕らの演奏としては充分良いコンサートに出来たと思っていますが、やっぱり終わった直後は、思い通りに行かなかった場所ばかりが気になってしまうもので、なかなか気分が悪かった。そういう事情を考えて、まぁよしとすることにします。
というか、今回はこれから放送があるわけで、皆さんに聴いて頂けますから、それで皆さんの感想を聴かせて頂きたいです。放送は10月8日土曜日の朝9時からです。
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山本さん達のブラームス。これが素晴らしかったんだけど、これは別エントリで書きます。
司会は曽田孝アナウンサーと加羽沢美濃さん。加羽沢さんはコンポーザー・ピアニストという肩書きですが、指揮者の飯森範親さんの奥様ですね。飯森さんには去年、東京交響楽団の演奏会で御世話になりました。加羽沢さんはトークコーナーの後に、僕らのトークの内容を題材に即興演奏をして下さいました。これまた素晴らしかった。僕は即興というものがとことん苦手なので(なんだか苦手なものばっかりみたいだな)、こういうのを聴くと本当に凄く感心してしまう。素敵な曲でしたよ。

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