権田治療院が大変なことになっているようです

昨日知ったのですが、僕らが東京に滞在しているときは家族みんなでお世話になっている鍼の権田治療院が大変なことになっているようです。権田先生ともう一人の先生が逮捕されてしまったようなのです。日本ではテレビのニュースでも流れたと聞いたので、ご存じの方も多いんでしょうね。
法に触れることをしていたのは事実な様(報道に「容疑を認めている」とあったので)ですが、僕は理不尽だと思わざるを得ません。


ネットで読んだ情報によると、「医師免許もないのに、診断書を作成したり、血を抜くなどの医療行為をした」という事らしいです。その記事の中に「二人は容疑を認めている」とあるので、多分これは事実だろうし、違法行為なんでしょう。捕まって罰せられるのは仕方ないというか、しかるべき事なんだと思います。


・・・ここまで書いて少し時間をおいて、その後またネットで検索してみたら、このエントリを書き始めた時点では1件しかニュースとしてヒットしなかったのに、もう何十件もうじゃうじゃでてきました。東京の家族から聞いた話だと、ワイドショーにも取り上げられて揶揄されているようですね。


さて、もう一度。
違法行為はもちろん反社会的行為だから罰せられても仕方ない。というか、罰せられるべきなのでしょう。でもね、権田先生が本当に誇張でなく寝る間も惜しんで、食事をする間も惜しんで、先生の治療を受けるために北は北海道、南は沖縄からやってくる患者さん達に献身的な治療をしていたという事実は、全くかわりません。
というか、治療をしていたというだけじゃなくてね、それがものすごい成果、結果を出していたんですよ、本当に!
うむ。思わず声を荒げてしまいそうになるな。


僕、日記に書きましたけど、2004年夏の東京でのリサイタル。五島記念財団の成果発表リサイタルでしたが、このリサイタルの6日前だったかな、突然高熱を出して鼻は出るは、喉は痛いわで、正直なところ「ああ、もう終わりだ」と思いました。でも次の瞬間「権田先生がいるじゃないか!」と思い直し、すぐに権田治療院に向かいました。詳しく病状と事情を話すと「後何日で演奏会?」「5日です」「うん、大丈夫だよ。何とかなる」・・・・で、本当に治してくれちゃったんです。熱は1日で下がって、最後まで残ったのが鼻水だったけど、鍼で、いつもより強い電気をかけて(と、僕には思われた)もらって、前日にはもうぴったり止まっていました。
あの津田ホールでのリサイタルは大成功だったと言っていいと思いますが、権田先生がいなかったら、僕はステージに立てなかったかもしれないんです。


それからね、僕の左肩。2000年夏の、「カルメン」の本番中に、決闘のシーンで変な転び方をして、激痛が走りました。全然左手が挙がらない。・・・よりによってその次の二重唱をはじめる指揮者への段取りが、僕が左手を挙げたら、という申し合わせだったので、これじゃオペラが先に進まない!まぁ火事場の馬鹿力で何とか左手あげました。
次の日に近くの医者に行ったら「折れてますよ」・・・ドイツへ向かう3日前でした。もう左手は全然挙がらないまま。トランクも運べません。鎖骨が折れているという診断でした。
とりあえずドイツに飛んで、その後、ドイツでも色々見てもらったんだけど、そのうち骨折じゃなくて関節カプセルの破裂だということがわかった。脱臼みたいなもんですかね。ドイツ語の医学用語がうまく訳せないんだけど、カプセルの破裂の結果不安定な状態だと言うことでした。治すには手術しかないというのが、かかった3人の医者共通の意見。考えた結果、僕はバイオリン弾きじゃないし、確かに左手を長く挙げていられないけど、手術で必ずしも飛躍的に良くならない可能性もあるとかで、しばらくは様子を見ることにしました。
それを権田先生のことを知ってから見てもらいましたら、「ふーん、はい」ってね。それだけ。で、鍼とバイブレーターでの治療を1ヶ月半くらい続けたら、はっきり飛び出していた肩の骨、はずれていた関節が元に戻ってきているんですよ。これは本当にたまげた。僕はまたドイツに戻らなくちゃならなかったので、「また治療を中断すると少し戻るけどね」というお話しでしたが。


そして何しろ、一番お世話になっているのは健登です。
我々が東京にいる間は、権田先生がいるので、熱を出しても怖くない。小さいうちは何度も熱性けいれんを起こしたので、熱がでると「またか?!」と、親はびくびくするのですが、東京にいる間は権田先生のところに連れて行けば耳への置き鍼で、100%熱を下げてくれましたから、まず安心だったのです。抗生物質なんて全然必要ないのです。
そして、健登はアレルギーがあるんだけど、これは僕ら親が二人ともアレルギー持ちなので、最初から疑っていたのですね。それで権田先生に見せると、「うん、あるよ」・・・ああ、やっぱりか・・とかなりがっかりはしたものの、治療を東京にいる間だけでも受けようということになりました。アトピーがまず疑われたのですが、結局今まではっきりしたアトピーの状態にまではなっていません。このときに的確な診断をしてくださったので、僕ら親がかなり厳しい食事制限をしようと決心をするに至ったのです。
つまり、健登は全く甘いものを食べません。ある時期からフルーツは食べるようにしたし、場合によっては蜂蜜などの、人智学で「良い甘み」とされているものは少量とりますが、基本的には全く甘いものは食べない。牛乳もなし。「ひどい親だ」という目で見る人もいるけど、これは絶対に正しかった。
幼稚園でも、健登が甘いものを食べられないのはみんな知っているから、子供の誕生パーティーでも、幼稚園の催しでも健登には特別にフルーツが用意されるようになっています。
権田先生の診断の正しさは、健登がちょっと多めにフルーツ食べたり、蜂蜜を使ったクッキーやヨーグルトを食べ過ぎたりするとはっきりわかります。膝の関節の裏とか横腹、ほっぺたとかがすぐかさかさしてくる。しばらくやめているとぴたっと止まります。


ちょっと横道にそれて親ばかすると、健登はこれをきちんとうけいれていて、どこかでチョコとかもらっても「食べられないから」と受け取らないんですよ。もう3歳くらいからそうだな。えらいと思う。最近は、他の子が食べているのをうらやましそうにしていることがないでもないけど、ちゃんとわかっている。


熱性けいれんの事でも、何度もドイツから日本に電話で助言を求めました。休日でも深夜でも、いつでも相談に応じてくれました。


今回のことは実は前段があって、捜査はすでに入っていたんですね。
権田先生は礼儀を重んじる人で、結構スパルタ医師なんです。こういうやり方を快く思わなかった患者さんがいることは、簡単に想像できます。その人達が「非合法の診療をしている」と訴えたのだと、僕は想像していますが。まぁ全然違うかもしれないけど。


権田先生がいなくちゃ、本当にすごく困っちゃう人がたくさんいるんです。常連の患者さん達は多くの奇跡を見ています。たとえば、生まれたすぐ後はどこが鼻でどこが目だかだかわからないくらいひどいアトピーだった赤ちゃんが、数年後にはつるつるの肌で治療院をすたすた歩いていたのです。そんな例が、ひとつやふたつじゃないんですよ。
僕のリサイタル直前の話や肩のことだって、奇跡に近いよ。


だから、今回のことを聞いて、プレスの「うその診断をしていた」とか「荒稼ぎ」とかそういう記述を見るとめちゃくちゃ腹が立ちます。年間8000万円の売り上げがあったというけど、この8割は新しい治療法の研究と投資に当てていたんですよ、権田先生は。(情報源は昔読んだ雑誌の記事)
僕が知る限りでも、どんどん新しい治療法を取り入れて、酵素風呂があって「くさいー」と思っていたら、パラフィンでの治療にかわり、そのあともどんどんかわるんです。あんなに忙しいのに、新しい治療法を聞きつけると研究せずにはいられないらしい。そして良いと見ると取り入れるわけです。


一つ思うのは、権田先生がいないとすごく困る人がたくさんいるのに、どうして違法行為をしてしまったんだろう、ということ。権田先生は捕まって治療を中断する羽目になるのを避けることは出来なかったんだろうか、ということ。違法に当たる行為をしなくても権田先生の治療は可能だったはずだと思うのです。とても残念です。
でも、違法行為でインチキの診療をしてものすごいぼろもうけしているかのようなプレスの語調は、全くお門違いです。記事を書く前に、あんたたち、一度でも診療風景見てみたのか!といいたい気持ちです。
一つ、記事を読んでいていて「さすが!」と思ったのは「治療法の効果には自信を持っている」と権田先生が言っていたと言うこと。事実です。でも、こういうシチュエーションでなかなかいえる事じゃないですよね。さすが!


とにかく、早く復帰してほしいです。僕の、全くエゴイスティックな願望として、権田先生にはやく治療を再開してほしい。

“権田治療院が大変なことになっているようです” への2件の返信

  1. 私も権田先生にお世話になったものです。
    小森さんのおっしゃる通り!
    悪い所を言わなくても体に触れただけで言い当てられたりした時はビックリどころの話ではなかったし、たった500円で一時間もかけて治療して下さった事を覚えています。
    権田先生はシャーマンだと思っています。
    私も今オーストラリアに住んでいますが、日本に帰ったらまた権田先生に見ていただきたいです。
    違法である事を自覚してやったのであればそれは罪を償ってそして今まで通りすばらしい鍼灸医として活躍してほしいですね。

  2. >mamiさん
     
    反応が遅くてすいません。mamiさんも権田先生のすごさを身をもって体験されたわけですね。
    実は僕はここのところご無沙汰してしまっているのですが、先生が存分にあの奇跡的な治療をできる環境が乱されない事を祈っています。

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