ヴァネッサの本番二回目。そして新聞の批評など



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Vanessaは二度目の公演がありました。こういう珍しい演目の場合は、プレミエにはドイツの他の都市からわざわざ見に来るお客さんが多く、すごく盛り上がる割に二度目以降の公演はアルテンブルクのお客さんの比率がぐっと上がり、客席の反応が全然違ってしまうことになりがちです。
今回も、これだけ話題になってドイツ中から批評家が集まったプロダクションの割にはこの第二公演は客席に空席が目立ちました。


アルテンブルクはゲラにもまして若者の数が少ない街なので、スタンダードなオペラが好まれます。珍しい演目は必ずしも歓迎されないわけです。これは仕方ないことです。
ドイツではこういうお客さんの傾向とか嗜好を全く顧みない演目設定を行っている街も少なくなく、それによって劇場から客足が遠のくということが当然の結果として起こります。少し前のフランクフルトなんかはそれが顕著だったという話を聞きました。今はどうだかわからないけどね。
ゲラなんかにとっては、もちろんお客さんがちゃんと来てくださることは大事だから、そういうことは絶対に許されないですね。財政的にゲラ、アルテンブルク両市に大きく依存していますし。
でも、こういう珍しい演目を上演することで、普段ゲラに来ないオペラの批評家やオペラ・ファンがゲラの劇場に足を運んで、ゲラでよいプロダクションが行われているという事を外に知らしめるチャンスでもあるわけです。
事実、いままで「死の都市」「フィレンツェの悲劇」「ブロウチェク氏の旅」「第六の時」などでオペラ界に話題を提供してきたという実績もあります。
ここにあげたプロダクションはどれも演出的に大評判になり、音楽的には前GMDのガブリエルが指揮をして、大成功を収めています。


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さて、今回のヴァネッサ。批評がいくつか出ましたが、どれも大変好意的。僕が予想していたとおり、エリカ役のフランツィスカ・ラウホはセンセーションを巻き起こしたという感じです。27歳(だったと思う)の若さで、あれだけ伸びがある声があり、演技も自然で、このエリカのキャラクターにぴったりだった。本来メゾ・ソプラノの役だというのがちょっと変な感じがするんだけどね・・・。録音でのメゾは、とても良い声だけど、やっぱりフランツィスカのような若々しさ、瑞々しさが出ないんだよね・・・。


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実は彼女は、契約を延長されなかったのですね。秋に。これだけ実力がある若手なのに、と、劇場の同僚は皆憤っておりました。でも今回のエリカとしての成功もあり、オルダーグ氏からやはり契約を延長したいという申し出があったようです。こういうの、内部情報だけど、まぁ日本語のサイトだし特に問題ないんじゃないだろうか、と思って書いております。はい。
僕としては大変嬉しい。


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今はフランツィスカはフィオルディリージをやっています。これも彼女によくあっていると思う。若いけどかなり叙情的な表現が出来る人です。僕は彼女のアラベラ、かなり良いだろうなと思う。彼女と組んでマンドリカ、歌ってみたいですねぇ。でもエージェントなんかは「まだドラマティックなレパートリーには手を出すな」とうるさく言うみたいですね。今稽古しているフィオルディリージもあるエージェントから「まだ早すぎる。いったいあんた、何を考えているんだ」としかりとばされたらしいです。

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