今日の日曜日は劇場の仕事はないのですが、たまっているデスクワークなどを片付けるためにバリバリ働かねばなりません。でも天気が良いし、健登ともちゃんと遊べない日が多かったし、午前中は3人でサイクリング。昨日買って大当たりだったスイカをタッパーに詰めて、ゲラの北方向にあるバート・ケストリッツの方向に向かいました。
昨日も稽古はなかったので、僕は健登と少しサイクリングをしたんだけど、健登の今の「体を動かしたい」という衝動はすごくて、以前では考えられないような運動量を平気でこなすので、びっくりしてしまうことがあります。
健登においては、肉体、魂、霊のバランスでいうと、霊(ガイスト・・・この場合、知性といった方がわかりやすい)が先行していて、感情や体の発育がそれに対して若干遅れている、と思っています。これは僕らが信頼するオイリュトミストの見解でもあるのだけど、幼稚園の先生とも色々話して、このポイントがやはり大きくて、1年就学を遅らせました。
で、ここに来て意志の成長がすごいのです。前に吉良さんの本からの抜き出しで書いた のですが、この場合の意志、というのは考えた末の意見とか言う意味でなく、体を動かす衝動のようなことです。「おいしそうなおまんじゅうを見た子どもは、『おいしそうだな、食べて良いのかな』なんて考えない。まんじゅうを見た次の瞬間にはまんじゅうはもう口の中にある。これが『意志』の力です」という吉良さんの説明はすごくわかりやすい。
今日サイクリングでたどり着いた場所に以前行ったとき は、健登は普通の自転車にくっつけてはしるコバンザメ的な子供用のトレーラーというものに乗っていて自分ではこがなくて良かったんだけど、それでもちょっと疲れた風だった。今日は、自分の自転車で行ったんだけど「まだまだ行けるぞ」という感じでした。
さて、家に戻ってデスクワーク。やることいっぱいあります。
来期の最初の演目である、ショスタコーヴィッチのオペレッタ「モスクワ、チェルヨムシュキ」の譜読みと台詞の暗譜・・・台詞が結構多いんだ。
これのキャスティングとかもやっと発表になったんだから、これもHPにのせなくちゃね。
それから、8月11日のデュオ・リサイタルの字幕台本製作。4月に朗読台本は仕上げたのですが、今度は字幕です。ドイツ・リートを「敷居が高いなぁ」と思わないで楽しんでいただける様に頑張っております。デュオ・リサイタルのチケット発売は6月上旬になります。すいません、ほんと、遅くって。
それから前にもちょっと書いた、実現が危ぶまれている夏の仕事の譜読み。断らなくちゃならなくなる可能性があるというのに、難しい作品だから譜読みをやめるわけに行かない。やめたら間に合わないっすー。
と、仕事に励んでいましたら、ベルリンのマットゥスさんから電話がかかってきた。旦那さんのジークフリート・マットゥスさんはドイツの誇る作曲家の一人、最近ではミヒャエル・エンデの「果てしない物語」をオペラとして作曲して、大成功を収めました。同時にラインスベルク音楽祭の主宰者でもいらして、オペラ界の後進の指導にも情熱を燃やしていらっしゃいます。(以前の日記はこちら 2004.4.27 2004.4.29 )
実はこの間、「ヴァネッサ」の最終公演を奥さんが見に来てくださって、その後ずいぶん色々と話をしました。それでその時に最近の僕の舞台の録画や録音をお渡しして、意見を聞きたいと言ってあったのです。マットゥス夫人はご自身が歌い手で「さまよえるオランダ人」のゼンタなどを当たり役にした方で、僕にも常に的確なアドヴァイスを下さる方なのです。今回もとても価値のあるアドヴァイスを下さいました。去年の「フィレンツェの悲劇」やデュオ・リサイタルでの「詩人の恋」など、絶賛してくださって、今の僕の方向を理解してくださっているのも大変ありがたいです。そういえば「フィレンツェの悲劇」を演出したカロリーネ・グルーバーはマットゥスさんのオペラも演出しているので、仕事ぶりはよくご存じな様でした。
で、途中でご主人に電話を替わって、今作曲中のオペラ「Cosima」の話になりました。これは作曲家ヴァーグナーの妻、コジマにまつわるオペラで、来年4月にゲラとブラウンシュヴァイクの劇場で同時に初演されます。僕は主役陣の一角、哲学者ニーチェの役を歌うことになっています。まだ公式発表ではありませんが。これはかなり早い時点で僕の方にも情報が来ていて、楽しみにしていました。マットゥスさん自身も僕が歌うことを念頭に置いて作曲してくださったとのことです。今日の話では、フルスコアの作曲が終わって、これからピアノスコアの作成にはいるので、出来次第送って下さると。また譜読みするものが増えますが・・・これは楽しみです、ほんと。
来期のことをほとんど書けていないのですが、もう一つ書いておくと、来年の1月にあるプレミエ「トスカ」では僕はスカルピアを歌う予定です。カヴァラドッシはリッカルド・タムラというブラジル人テノール・・・日本人の血が入っているとどこかで読んだ気がしますが、トスカはイタリア人のソプラノです。主役陣は全員外国人という事ですね・・・。