今日はアルテンブルクで、オペラ・ガラコンサート のGP(ゲネラル・プローベ)でした。
あ、サイトの情報ページ のプログラム、変更してなかった・・・。
メゾ・ソプラノのニコルが妊娠したことで、まずプログラムの変更があって、ファルスタッフ最後のフーガ、セヴィリアの理髪師の3重唱、カルメンの5重唱が無くなって、その代わりにボエームの2幕のフィナーレなどが入りました。
その上、今週になってから、バスバリトンのベルンハルトが高血圧とかでしばらく歌えないそうで、彼の歌うザックスのモノローグもなくなり、テノールのカーステンも扁桃腺を腫らしてアリアは歌えないという事で、レンスキーのアリアもカット・・・。
僕が歌うのは、ヴェルディを2曲と、ボエームの2幕フィナーレではマルチェロ。全部イタリアものだなぁ。
この劇場ではヴェルディをよく歌ったけど、オペラではいつもドイツ語訳だったから、原語で歌えるのはやっぱり嬉しい。
それとなんと言っても、この2曲は僕のリクエストでプログラムに入った曲なので、大変嬉しい。「ドン・カルロ」からポーザ侯爵のアリア「最後の日は来た」と「イル・トロヴァトーレ」からレオノーラとルーナ伯爵の二重唱です。
このトロヴァトーレの二重唱は、よくあるヴェルディの二重唱と違って、ゆっくりな部分がないのですね。早めのテンポでがんがん持って行くタイプの二重唱で、これはすごく盛り上がるのです。僕は何度もコンサートで歌ったけど、いつもすごく受ける。
レオノーラを歌うのはフランツィスカ。「ヴァネッサ」のエリカ役で批評家の讃辞を欲しいままにした彼女はまだ27歳。若いけど、なかなかリリックな声で、レオノーラはぴったり。僕がこの二重唱を一緒にやろうと持ちかけたんだけど、リクエストが通って本当に良かった。
写真はゲネプロでの「フィデリオ」からの4重唱。右からマルツェリーネのカテリーン、レオノーレのフランツィスカ、ジャッキーノのカーステン、ロッコのフーゴーです。
本当は嫁さんも合唱で参加するはずだったんだけど、昨日の夜から健登が急に高熱を出して、登紀子の参加は見送り・・・楽しみにしていただけに大変残念です。
今日のGPの休憩中にGMDのソレーン氏が「ちょっと渡したいものがあるから」というので行ってみると、「コシ・ファン・トゥッテ」の稽古期間中に僕がソレーン氏とソレーン夫人(デスピーナを歌った)をアルテンブルクまでちょくちょく車に乗せていってあげたお礼だと言ってプレゼントをもらってしまった。
家に帰って開けてみると、なんとトロヴァトーレのDVDで、ルーナ伯爵を歌っているのは、かのエットーレ・バスティアニーニ!!!
バスティアニーニは僕にとって最初のアイドルだったんですよね。彼の録音は本当に何度も何度も聞きました。ルーナ伯爵のアリアは絶品です。日本でも歌ってますね。それから仮面舞踏会もいいんだよなぁ。
早速一部ですがDVDも見ました。本当に美声中の美声ですね。それと品があるんですよね、この人には。美声と言うだけだとロバート・メリルなんかの方が美声かも知れない。僕はメリルも大好きだけど、バスティアニーニはアイドルなんですね。好きなだけじゃないんです。
僕が大学3年の時に、原田茂生先生のレッスンに初めてヴェルディのアリアを持って行ったときのこと。歌い終わったら先生は大変満足げに「バスティアニーニみたいになれるかも知れんな!」とおっしゃったんです。僕がバスティアニーニを好きなんて事は言ったこと無かったんだけど。
自分の生徒を励ましたかっただけかも知れないけど、これはもうめちゃくちゃ嬉しかったんですね。よく覚えています。
もちろん、そのまんま真に受けた訳ではないですが、すごく励みになりました。結局ドイツに来たけど、ドイツに来て歌った役のなかでヴェルディは重要なレパートリーになっていますし、ヴェルディ・バリトンのバスティアニーニのことを忘れたことはありませんでした。
それとね、よく見たらこのDVD、RAI(イタリアの国営放送局)のオーケストラの演奏なんですね。マンリーコはマリオ・デル・モナコ。
で、今度ザルツブルク音楽祭で共演するオーケストラがこのRAIのオーケストラなんです。
バスティアニーニやモナコとオペラの映像プロダクションを作ったオーケストラと今度共演するのかーなんて考えたら、なんだか嬉しくなっちゃいました。