学務局から警告

学務局(Schulamt)から、健登の就学に関する問い合わせの手紙が来ました。

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いやぁ、ある程度予測はしていたんですが、あまりに手紙の文体がアグレッシブなので、驚きました。「このまま規律を守ってもらえないと、市の公安当局に通報せざるを得ません」だとよ・・・。
これへの対応で、結構どたばたしておりました。一応、解決の兆しが見えたので、日記を書く余裕が出来ましたよ。ふう。


僕らは、健登を1年遅く小学校に入れる事にしています。これについては色々な人と話をしたし、僕ら自身もかなり考えた上での決断です。
ドイツでは9月から小学校が始まりますので、6歳になっている健登は本来この9月から小学校に通うべきなわけです。ヴァルドルフ教育においては、人間の成長は7年ごとに区分されており、最初の7年、つまり7歳までは体、意志を育てる事に集中すべき、と言う考え方です。ですから、知性を刺激する教育は7歳以降に行うべきだと言うことがまずこのヴァルドルフ教育の基本としてあります。
 
その上、健登はドイツに住む日本人で、ドイツ語も日本語も習得する必要があります。バイリンガルの子供で言葉の発達が遅い例が多いという報告もありますがもっともなことです。二倍やることがあるわけですから、時間がかかります。
そして、日本にいれば健登は2007年に小学校入りするはずなわけです。この辺がオフィシャルな理由。
 
でも、僕らが就学を遅らせることに決めた決め手は、僕らが絶対の信頼を置いているオイリュトミスト、パッソン・アーデン女史の助言でした。彼女の方から嫁さんに話があったのです。「健登は一年遅らせた方が良い」と。
健登は僕に似たところもあるのでしょうが、体、魂、ガイスト(霊・知性)の3要素でいうと、ガイストへの傾倒が強いのです。そして、この6年間でやるべき、体、意志の発達が十分に行われていない状態でガイストへの傾倒があり、しかも感情・魂の方の発達は飛び越されてしまっている。これらは、僕が親はもちろん感じていることです。でも、毎週オイリュトミーの時間を通して健登を見ているパッソン・アーデン女史は、ここに別の視点から着目したわけです。
 
健登は、文字への興味がすごく強いんですよね。でも本来は文字の勉強は第二7年期からはじめるべき。でも健登の興味を踏みつぶすわけには行かないので、フォルメンに近い形で何とか興味をスムーズに将来につなげたい。で、嫁さんが考えたのが習字です。幸い、漢字というのは模様、絵などの要素を文字に置き換えた部分がヨーロッパのアルファベットより強いわけです。そして、習字は手作業として、どんな強さでどのくらいの早さで筆を運ぶかによってその出来が変わってくる、いわば「美的感覚」が要求されるわけです。音楽もそうですが、ここで単なる覚えるお勉強になる危険のある「文字の勉強」が芸術的、感覚的要素をうまく含んでいけるわけですね。
 
話を戻すと、この手紙への対応をしていて、かなり色々と悩みました。とにかく一番避けたいのは今年の1年生に後からはいる羽目になること。しかし学務局からの手紙にはそれをしろとある。
だいたいね、この手紙をくれたケーラーさん。この人のところに僕は春に出向いているのです。そして、僕らの主義主張を話して、1年遅らせたいと話したのですが、その後に彼女が僕らにした話は「子どもを小学校に上げると早起きしなくちゃいけないから、それがイヤで一年遅らせようとする親御さんがいらっしゃるものですからね・・・」っての。
たしかに、ベルリンのトルコ人の小学生が全然ドイツ語がわからなくて授業が成立しない事が社会問題にもなっているし、外国人の子どもだから少し警戒したのかも知れないけど、僕らが如何に真剣に子どもの教育について考えていて、ヴァルドルフ教育の方針についても話した後にそれを言うのは、あまりに失礼でないかい、おぬし。
 
ヴァルドルフ小学校の経営者メラー氏と話して、この問題への対応をしてきたのですが、この経営者は元々イエナのヴァルドルフ小学校の経営者で、今はゲラの経営も担当している人。学務局がゲラよりずっと穏やかなイェナでやって来たので甘く見たのか、届け出はしないであちらからの連絡を待ちましょう、という方針を彼は打ち出したのですね。で、それに従っていたんだけど、それでこんな事になってしまった。さっき彼からメールが来たんですが、「こんな『爆弾』みたいな手紙をもらう羽目になって申し訳ない」と書いてありました。
彼がケーラーさんと話して、結局ケーラーさんが就学延期の書類を用意してくれることで落ち着きそうだそうです。よかった。
 
メラー氏は月曜・火曜と留守で連絡が取れなかったので、僕も出来るだけのことをしました。イェナの学校協会の理事に連絡を取って、イェナで今まで就学延期をした子どもの例について、具体的な話を聞いた。月曜の健登と登紀子のハイル・オイリュトミストであるケンペ氏と話して、ハイル・オイリュトミストとして、就学延期の必要性を説いた診断書を出してくれるように頼んだ。幼稚園の先生二人と、前出のオイリュトミスト、パッソン・アーデン女史にもそういう診断書を頼んだ。イェナのアントロポゾフィー医師のドーナトさんにも頼んだが、これは小児科じゃないと出来ない、と断られた。幼稚園の父兄に紹介された児童心理学者にも頼もうと予約を取ろうとしたら、もう新しい患者は取れないと断られた。ゲラ市の教育相談窓口に電話して、専門家の相談を申し込んだ。ふう。これだけドイツ語で電話しまくるとやっぱり疲れるね。
でも、これで診断書は必要なくなりそうで、良かった。出来ることなら日本に向かう10月半ばまでに片が付くと良いんですが。
 
ケンペ氏のハイル・オイリュトミーを見学もしたのですが、おもしろかった。彼の話では、健登が頭にばっかり汗をかくのも重心が上に上がってガイストの方に傾倒している証拠だとか。僕もそれをうけて、健登と出来るだけサッカーをしたり、絵を描いたりと、体・魂の方の作業に引っ張ろうとしているんですけどね、これは積み重ねですねー。時間がかかりそうです。

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昨日は健登が大好きな紙飛行機で遊ぼうと言うことになったんだけど、インターネットで見てみたら、色々型紙があるので「これは健登にて作業をさせるチャンスだ』と思い、僕がF-15を作っている横で、別の型紙を切らせました。丁寧に切るので驚きましたよ。でも、やっぱりすごく集中力を使うみたいで、疲れたようです。根気はあるとみんなに言われる方なんだけどね。「後はパパやって〜」と途中でリタイヤ。飛ばすのはもちろんその後喜んでやっていましたが。

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関係が全くありませんが、これ、シソです。オーケストラのヨハネス君がくれました。先シーズンから「にわでシソが育ってるから摘みにおいで」と言われていたのですが、時間が無く、この間持ってきてくれました。んまい!
久しぶりにシソ入りの青菜ジュースを飲みました!赤いシソでもおいしいね。

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