月曜日にオペラ「トスカ」のコンセプト説明会があって、引き続き1幕から立ち稽古が始まりました。僕の出番は若干あとの方なので、月曜は立ち稽古には出番なし。コンセプト説明会だけ出席しました。
僕らが日本に行っている間にも劇場の改修工事を含む、町中のBUGA(連邦庭園見本市)の準備は着々と進んでいて、やっと町を縦断するトラムが開通したり、色々変化はありました。この写真は、劇場の搬入口で、二つ大きなエレベーター(じゃないか?)みたいなものがあるの見えますか?トラックがそのまま乗る大きさです。
このエレベーターの下の部分、僕らが日本に行く前に、ずいぶん丁寧にコンクリートの作業をしていたので「一体何がこの上に出来るんだろう?」と興味津々だったのですが、こういう事でしたか・・・。すごく重さがかかるし、しょっちゅう上げ下げするでしょうからね。
さて、トスカの話に戻りますが、コンセプト説明会で、いくつか面白い話が聞けました。
我が劇場のインテンダント(総裁)であるマティアス・オルダーグのインテンダント就任後初演出と言うことになりますから、注目も集まるプロダクションです。マティアスの意気込みもかなりのようです。
トスカは頻繁に上演されるから、みんな知ってると思いがちだが、意外に正しく理解されていない部分があるという話から始まって、色々時代考証などの話も出たのですが、僕がポイントだと思ったのは、スカルピアが警視総監に就任してこの日が8日目と言う事実です。
2幕のスカルピア殺害のあとでトスカが「この男の前でローマ中がおびえていた」ってな事を言う事もあるし、長くこのポストにいるような気がしてしまいますが、そうでないらしい。という事は彼の立場は安定したものと言うよりは、野望を持ってこれからローマを締め付けていこうと言うところだということですね。言ってみれば新米だから。そして、彼は同じファルネーゼ宮殿の一階下で行われているメラス王女の戦勝祝賀会には招かれていないわけです。
長く権力の座にいて腐ってきたのではなく、野望に満ちて、更にのし上がろうと、あるいは今のポスト、地盤を盤石なものにしようと、精力的に「捜査活動」を行うのがスカルピアなわけですね。ふむふむ。
僕の立ち稽古への参加は火曜日からのはずだったのですが、稽古の数時間前に電話があり「オルダーグ氏が病気で、立ち稽古は中止です」だと・・・。来週から再開するそうです。
全く別の話題。日曜日にAdventgärtleinに行ってきました。ゲラのキリスト者共同体の主催のイベントです。嫁さんと健登は4度目かな。でも僕は初めて。第一アドヴェントの時に行われます。
聖ニコラウスの日が近いのですが、このAdventgärtleinでは聖ニコラウスが子供達の前に現れて、子供達一人一人と話をします。行いがよい子はプレゼントをもらい、悪い子は木の枝を束ねたもので叩かれるというものです。
部屋にはいると、ほとんど真っ暗。一つだけろうそくがともされていて、事情を知らなかったらちょっと不審に思うほどの暗さです。
ニコラウスが長旅の途中に立ち寄ったという形で、準備された玉座にすわると、天使が子供達に台を付けたろうそくを渡し、渦巻き状になっている道を通って、真ん中にあるろうそくの火をもらい、リンゴのおいてあるところにろうそくをおいたかわりにそのリンゴをもらいます。来ている子供達がみんなこれをやったあとは、すっかり部屋が明るくなっています。この過程をずっと見ていると、色々なことに想いがおよびます。僕は一人一人の人間の善意がこうして集まって世界を照らしているんだなぁと思いました。
子供達がみんな自分のもらったろうそくに火をつけて置くと、今度は聖ニコラウスが「今、天から降りてきたときにすれ違った人のためにろうそくをともしてあげてください」と大人を名指ししてろうそくに火をつけるように促します。嫁さんも言われてつけに行きました。このキリスト者共同体に近い方で今年亡くなられた方なのだと想像します。
そのあと、子供達を聖ニコラウスが呼んで、一人一人に、この一年の成果などに言及して来年も頑張るように、とプレゼントを渡してくれました。健登が初めてこのAdventsgärtleinに行ったとき、健登が行くかどうかわからなかったのに、行ってみたらちゃんと健登の分も用意してあって健登のことも色々知っていて話しかけてくれたことに健登じゃなくて嫁さんがビックリしたそうです。すごく感激したと言っていました。
このキリスト者共同体というのはシュタイナーの提唱によって設立された人智学の考えを基盤にしたキリスト教団体なわけですが、OsterbergやこのAdventgärtlein、この間あった聖ミカエルの儀式など、独特のものが多く、いつも参加すると何だかわからないんだけど感激します。Osterbergの事は前にも日記に書いたので見てみてください。
11月28日に、メトロポリタンでトスカを観てきました。
天井から下がっていたシャンデリアがするするとあがり、開演。
CASTは次のようでしたが英語のプログラムでいまいちわかりません。
Andrea Gruber/Aprile Millo,
Jose Cura/Vincenzo La Scola/
Waiter Fraccaro,James Morris
トスカはビヤ樽のようなソプラノでテノールは素晴らしい声でしたが、もしかしてホセ・クーラ?
トスカは映画も入れて4回目ですが、素人の悲しさ・・楽しめましたが、感想は・・うまく書けません。今度はドイツで小森さんの舞台を観たいですね〜!
>ジョフィさん
こんにちは。メトでトスカですか!良いですね〜。ビデオでは見ましたが、その時はヒルデガルト・ベーレンス、ドミンゴ、コーネル・マクニールというキャスティングでした。指揮はシノーポリ。
サイトを見てみましたが、11月28日のキャストは、 Aprile Millo, Walter Fraccaro, James Morrisだったようですね。僕はこのテノールは知りませんが、モリスのスカルピアは見たかったです。彼のスカルピア、どうでしたか?
ミッロって、ビア樽みたいでしたか・・・。
テノールはカヴァラドッシでしたね。かっこよくって、声量のある良い声でした。ごめんなさい、素人の悲しさ、スカルピアももちろん素晴らしかったですが、敵意を持って聞いていましたので・・・。小森さんはもしかしてスカルピア?
トスカはホルスタインのような胸で、声量のあるソプラノでした。最後、うまく飛び降りられるか、ちょっと心配でした。素人のオペラの見方・・こんなものでごめんなさい。
娘はボエームも見まして、コーラスが100人位いたそうです。