トスカのPremierenfieber(公開稽古)

水曜日の夜は、トスカのPremierenfieberでした。Premierenfieberというのは、直訳すると「プレミエの興奮」とでもなるでしょうか。まぁ「フィーバー」なわけです。プレミエの10日くらいに行われることが多いですが、演出家が作品と演出コンセプトについて解説して、公開稽古として一部を披露するという催しです。


今回は演目がトスカで、やはりメジャーなオペラだからか、お客さんはいつものPremierenfieberよりも多かったように思います。最初に演出家とドラマトゥルグが作品の成立やらを少し話して、そのあと2幕からトスカとスカルピアの場面をやりました。
カヴァラドッシが拷問の後に連れて行かれて、スカルピアがトスカに迫り、殺されるまでです。
 
上の写真は、2幕の舞台。真ん中にある緑色のものは水槽です。スカルピアは鯉を飼っています。
ドイツでも「ニシキゴイ」というのは一時期はやったんですね。今ではそうでもないみたいだけど、やはり贅沢なペットの代表みたいになっているところはいまだにあるようで。
スカルピアは、カヴァラドッシを拷問にかけている横で、トスカにこれ見よがしに鯉のえさをやっていたりするわけです。かなり嫌なやつです。
そう、このスカルピアというキャラクターは、あまりに僕の人格からかけ離れているので・・・いや、僕ももしかしたら嫌なやつかもしれないですけど、たぶん拷問とかそういうのはあまり好きではないので・・・僕としては逆に演じやすいところがあります。こういう風に思う人、多いと思うんですけどね。
まぁ言ってみれば、変身願望とか、変装好きとか、そういうのと似た部分があるのかもしれないけど、日常の自分から全く脱却してしまうわけで、別人格を演じるというのはある種の快感があるわけですね。
こちらは1幕の舞台。これは木曜日にあった舞台オーケストラ稽古(Bühnen-Orchester-Probe)の第一回目です。
床に散らばっているのはチラシ。幕が開いてまず、一人の男性がこの聖アンドレア教会に走り込んできてこのビラをばらまきます。あの派手な前奏にうまくあってますよ。これはブオナ・パルテ(ボナパルト?)つまりナポレオン軍側を応援するビラなわけです。
ナポレオン軍が敗走したという誤報を真に受けたスカルピアが、この教会でテ・デウムを演奏させるわけですが、僕は上手の前にある、カヴァラドッシの仕事机の前で歌います。それは良いんだけど、オケはものすごく厚いし、合唱も大人数だし、おまけに大砲の音までSEではいるから、いくら僕は前の方で歌っているとは言っても、ちょっときついなぁと思っていたんですよ。
そうしたらね、ひどいんですよ!なんと、合唱の声はマイクで拾って増幅しているんだって!どーして!?ソロの僕の声を生にしておいて、あの大人数の合唱をさらにPAで増幅するなんて・・・。演出のマティアスは「Teruの声は十分聞こえてるから大丈夫だよ」というのだが・・・。ちょっとこれは何とか変更してもらいたいものです。

木曜日は、ドイツは全土で大嵐だったのですが、結構大きな被害が出たようです。僕らもアルテンブルクとの車での往復ではかなり風が強くて、閉口しました。まっすぐ走れないんだもの。
高速道路ではトラックが横転したりして、アンジェロッティのバリトンは渋滞に巻き込まれて稽古に間に合わなかった。
ゲラに戻ってきたら、うちの向かいの幼稚園の木が折れていました。結構高い木でね。折れた部分だけで5mくらいありますよ。風のすごさを物語ってますね。

“トスカのPremierenfieber(公開稽古)” への3件の返信

  1. あれ〜!あの木が折れちゃったんだ?!
    ベルリンではオープンから8ヶ月しか経っていない中央駅の外壁装飾の鉄骨の梁が2本も落っこちてしまいました。
    これによる人的被害は幸いなことに出ませんでしたが、ワールドカップに間に合わせるため拙速で手抜き工事をしたんじゃないかしらなんて思ってます。

  2. トスカはかなり長丁場の公演のようですね。
    Teruさんのスカルピア是非聴いてみたいです。
    成功をお祈りしています。

  3. >ぴかままさん
    そうなんですよ。ぼっきり。でも大きな枝の一つが折れただけで、全部折れちゃったんじゃないですけど。
    ベルリンの中央駅の話、ホントにけが人とか出なくて良かったですね。
    >dra-kさん
    お久しぶりです!お元気ですか?
    是非聴いていただきたいですよ〜。プレミエ、頑張ります。

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