今度はTheaterfrühstückでTosca

このTheaterfrühstückというのもPremierenfieberと同様に、プレミエが近づくと行われる催しで、意訳すると「ブランチを劇場で」とでもなるんでしょうか・・・。今回の会場はアルテンブルク市内のとても素敵な美術館の中で行われました。日曜の午前中を、このプレミエの作品、演出などの紹介で楽しんでもらおうというものです。


歌手はスカルピアの僕とカヴァラドッシのリカルドが参加しました。
あとは演出家でインテンダントのマティアス・オルダーグ、衣装家のタマラ・オスヴァティッチュが参加し、ドラマトゥルグ主任のトビアス・ヴォルフが司会をしました。演奏ももまじえて進んだ今日のTheaterfrühstück、とても喜ばれたようです。歌ったのは、2幕の冒頭の僕のモノローグの部分、カヴァラドッシとのやりとりの一部、3幕のカヴァラドッシのアリア「星は光ぬ」。スポレッタもシャルローネも今回は客演歌手で、都合がつかなかったので、カヴァラドッシと二人で演奏したのですが、トスカに「カヴァラドッシとスカルピアの二重唱」というのがあるとは思わなかった・・・ははは。まぁ二重唱とはいえないですけどね、もちろん。
写真は、今日紹介された衣装スケッチ。カヴァラドッシ、トスカ(3幕)、スカルピア(2幕)です。

途中、話題がテューリンゲン州の文化予算削減の話になりました。
衣装デザイナーのオスヴァティッチュさんが、話したことがきっかけでした。「こんなにモチベーションの高い衣装スタッフのいる劇場は初めてだ。私はドイツ中のあらゆる規模の劇場で仕事をしてきているけど、残念だが旧西ドイツではこういう事はもはや起こりえない。組合が強いし、針子さん達は1秒たりとも残業をしようとはせず、私たちデザイナー側がひざまずいて無理をお願いしながらやっているようなことも多い。でもこのゲラ・アルテンブルクの衣装スタッフは本当に素晴らしい。でも、これもこれ以上人員削減が進んだら、トスカのような規模の作品はもう上演不可能だと思う」・・・と。
マティアス・オルダーグがこれにつなげてしばらく話したんですが、結局は、われわれがどんどん減らされていく予算にもめげずに頑張っているのが仇になる、という状況になりつつあるのですね。
つまり、政治家は予算を減らす。われわれは労働状況が悪くなっても何とかしようと努力する。で政治家は「なんだ、予算減らしても大丈夫じゃないか。ちゃんと公演をしているしレベルも下がっていない。じゃあもうちょっと減らしても大丈夫だろう」というのが現状。
旧西ドイツではこの努力がないわけで、クオリティが予算削減に応じて下がっている・・・大雑把すぎますがわりと当たっていると思う。僕がベルリンにいる間や留学時代にドイツで見た、聞いたものはこれを裏付けているように思います。

たとえば、今、毎日のように通っているこのアルテンブルクとの往復。明日なんかは舞台オケ稽古が午前中にあり、夜にピアノHP(Hauptprobe・・・本番通りの状況での稽古)が、火曜日は舞台オケ稽古が二回あるので、二日ともアルテンブルクとの間を2往復する。35kmあるから、1日に140km走るわけです。もちろんガソリン代は自分持ち。
でも、僕がこの劇場に来たときは劇場のバスが出ていた。これ、まずソリストが使えなくなり、合唱も使えなくなり、オケのメンバーも今では自分で車を出さなければならなくなった。もちろん手当なんか出ません。個人負担が経済的にも体力的にもどんどん増えているわけですよ。
リストラの方も進んでいて、ちなみに、僕が来たときには600人従業員がいたそうですが、今は300人。半分にされているそうです。
 
今回、わがテューリンゲン州で2008年以降に予定されている文化予算の削減。現状の6分の5にされようとしているそうですが、この現状での総額、テューリンゲン州の劇場全体の文化予算は、フランクフルトの劇場一つの総予算と同額だそうです。ひっくり返りますね、この話。
今は知らないけど、数年前のフランクフルトの劇場の運営はひどくて、演目選びが聴衆の希望からかけ離れてしまって、毎日がらがらだったそうですよ。それでもテューリンゲン州の劇場全体の予算はきっちり持って行くわけです。これが理不尽でなくてなんだ!
 
と、ちょっと怒ってみました。
 
さて、午前中で終わって、また車を飛ばして我が家へ。
今日はひさしぶりにうどんを打ちましたよー。嫁さんが天ぷらを揚げてくれて、打ち立てのうどん、揚げたての天ぷら。昨日、郊外のモールでオーガニック椎茸を見つけたんですよ。これも天ぷらにしてもらったけど、うまかった!!!

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