オペラ「コジマ」のピアノHP

ひとつ前の日記に、多くのコメントをいただき、ありがとうございました。嬉しかったです。そのオペラ「コジマ」のピアノHP(ハウプト・プローベ)がありました。ここではじめて本番通りの衣装を着て演じるわけです。
今まであまり詳しく書いていませんでしたが、僕の演じるニーチェは、最後には狂気の中で踊ります。「裸足で踊る」と前の日記に書いたけど、正確には「裸足」じゃなくて「ハダカ」で踊るんですわ、これが。あーはずかしい。でも、フィナーレ部分のピアノスコアのト書きに「ニーチェは、裸のディオニュソスとして現れ、自身のオペラの楽譜片を両手に抱えている」とあったので、覚悟はしておりました。


でも、演出家に最初にあったときから「最悪の場合、布一枚で良いから残してください!」とお願いしておりました。で、最終的にどうなるのかな、と思っていたのだけど、結局はイエスが磔にされるときのようなイメージらしく、腰に布を巻き付けたような感じです。
ドイツじゃ、歌手が全裸で歌わされることが決してタブーじゃないですからね。演出家が強硬で、僕がどうしても脱ぎたくないと言い出したら、僕が降りるか演出家が降りるかって話になる訳なのです。
でももちろん、上半身は全部脱ぐわけだし、まぁパンツ一枚だからね。少しカラダを引き締めなくちゃ、と少し前からトレーニングをしておりましたが、まぁ一定の成果は上がって、トレーニング前に比べるとかなり引き締まっているんだけど、限界がありますわな・・・。大体、お客さんは前と比べてどうなってるかを見てくれる訳じゃないしね。とほほ。
美しくないものを舞台で見せるのは、僕は良くないと思っているのだけど、まぁここでニーチェが裸で踊る意味は理解しているので、仕方ないです。ニーチェは晩年、自分の書斎だったかな、本当に全裸で踊っていたというエピソードがあるのです。愛していた(とされる)ヴァーグナーの妻コジマを、テゼウスに捨てられたアリアドネと見て、そのアリアドネを救うのはディオニュソスである自分だ、という事になります。ニーチェの思想ではディオニュソスは、知性のアポロンの対比として、芸術、激情、エロスの神ですから、コジマを愛し、作曲をするニーチェはまさにディオニュソスなわけですね。
 
踊りは、一度だけ踊りの稽古があっただけで、この稽古では一応振りが付いているところは踊ったけど、僕が飛び乗るベンチを合唱の人たちが押さえておくべき、と言う指示がやっぱり合唱に届いていなくて、ベンチに飛び乗ったらベンチが動いてひっくり返りそうになった。やっぱり舞台スタッフの仕事ぶりに問題があると思うので、これは月曜日に言おうと思います。歌手の管理であるはずの稽古着もかってに持ち去られていたし。一言連絡すればそれで済むのになぁ。まぁいいや。
 
ところで写真は、ニーチェの僕ですが、すごいでしょ、このヒゲ。ニーチェのオリジナルのヒゲに近づけるために、メイクの人はずいぶん苦労したようです。僕も、異常に長いヒゲなので、慣れるために普通の立ち稽古の時もヒゲをつけて稽古していました。その成果があったのか、この日は特に歌いにくいとは思わなかったな。
衣装はどの人の衣装もとてもきれいです。衣装デザイナーのヘンリケ・ブロンバーは、二期会公演の「フィレンツェの悲劇」でも一緒に仕事をしました。
・・・よく考えたらあのときも脱がされたんだった。脱がされるのは結局ヘンリケのせいか?

“オペラ「コジマ」のピアノHP” への2件の返信

  1. 「フィレンツェの悲劇」の時、ドイツで仕事していらっしゃって、今まで脱いだことがないなんて考えられない、とお言われになったんでしたねー。
    たいへんそうですが、頑張って下さいませ。

  2. >一静庵さん
    こんにちは。
    そういえばそうでした。自分では忘れていました・・・。まぁでも、意味合いは理解しているつもりですので・・・頑張りますね。

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