友達の結婚式、そしてロンドン

「コジマ」の3回目の本番は無事に終わり、やっと嫁さんにも聴いてもらえました。ベルリンから森川栄子さんも聴きに来てくれました。後でわかったんだけど、ケムニッツで歌っているかつての同僚バリトン、マティアス・ヴィンターも家族で来ていたらしく、後でメールをくれました。大絶賛してくれていたけど、歌い手の、しかも同じバリトンの同僚でこういう風に率直な感想をくれる人って貴重ですね。すごく嬉しかった。彼は親子でバリトン歌手なんだな。いつか書いたトレーケル親子みたいな感じですね。そして、その翌日にご近所さんの(うちの上に住んでいる)クリスティーンとライナーの結婚式があり、歌ってきました。


ご近所さんの結婚式に出る、と言うのがよく考えてみると不思議な気がしなくもないけど、お向かいの家族も全員で来てました。うちのアパートは本当にみんなが仲良くて良いです。トスカの最後の公演にもみんな出来てくれました。この写真の真ん中に写っている向かいの家のパパのミヒャエルはトラック運転手で、このトスカがオペラ初体験だったらしいけど、また見に行きたいと行っているそうです。へへへ。オペラファン増やしちゃったぜ。その日はもれなくその後、そのオペラに来たメンバーでグリルしてました。ミヒャの18番だもんね。グリル。みんなそれぞれ、自分の得意なものでご近所さんに奉仕していると言うことです。
僕が歌ったのは、フーゴー・ヴォルフの「祈り」と、フランクの「Panis Angelicus」、グノーの「Ave Maria」の三曲。最初の一曲は僕の提案で、後の二つは花婿のライナーのリクエスト。喜んでもらえたようで、良かったです。
ヴォルフの「祈り」は、僕らの結婚式の時に、同級生のバリトンがやはりオルガン伴奏で歌ってくれたのが心にしみたので強く印象に残っていたのです。良い曲ですよ。
ライナーは化学者なんだけど、音楽好きで、自分もギターを弾いたりオルガンを弾いたりするんですよ。今回の結婚式をした場所は、アルテンブルクのお城の中のバッハ・ザールというホールで、どうしてこの名前がついたかというと「バッハがこのホールを通ったから」だそうで・・・・。このホールの隣にある教会のオルガンはバッハが弾いたオルガンと言うことで有名なのですが、その時に通ったって事でしょうね。通るだけで名前がつくなんてすごいなぁ、バッハ。
これがその教会内部です。きれいな教会ですよね。僕はこの城の向かいの劇場でもう7年も歌っているのに、実はこのバッハ・ザールで歌ったのも、教会に入ったのも初めてでした。やはりゲラに住んでいるので、アルテンブルクで本番があったりしたときも出来るだけ早くうちに帰ろうってかんじになっちゃってね。
バッハ・ザールでの結婚式の後、別室に軽食が用意されていたのですが、その部屋の窓から劇場がよく見えて、思わず写真撮りました。この角度から見たのは初めてですが、きれいな劇場だなぁ。ゼンパー設計だけのことはある。美しい。
 
今回オルガンで伴奏してくれたのは、この教会のオルガニストのフリードリヒ氏。僕は初めてあったのだけど、フリードリヒさんはオペラを何度もみて下さっているそうで、「今度、このオルガンで一緒にコンサートをしませんか」と誘われました。
そういうの、経験無いけど面白そうです。リストだったかな。バリトンとオルガンのための歌曲を書いている作曲家がいたと思うんだけど。話をしていたら健登がよってきた。どうもオルガンに興味津々らしい。最近、チェロに加えてピアノも登紀子に習い始めているので、鍵盤楽器で、しかもペダルまでついているし、何しろサウンドとしてスケールが大きいですからね。
フリードリヒさんにどんどん自分で質問しているのがおかしかった。子供だから当たり前だけど、目上のフリードリヒさんにも「Du」で話すわけです。無理矢理訳すと「このオルガン、君の?」みたいな感じで、それも何だか面白くてよこでニマニマしてました。それとも敬称で話せよ、と教育的指導をするべきだったか?
記念写真待ちの時に、健登と一緒に。二人ともネクタイしてるからね。そんなの珍しいもんな。
 
さて、こんな事を書いていますが、僕は今ロンドンです。ぜいぜい。今回も車はライプツィヒの空港に置き去りにします。割安航空会社(?)のエア・ベルリンを今回も使いますが、4年前はベルリンからしか飛んでなかったロンドン便がライプツィヒからも飛ぶようになって、大変便利。エア・ベルリン、本当に飛ぶ鳥を落とす勢いだもんなぁ。ライアン・エアーとかイージー・ジェットに比べると高いですが、それでもルフトハンザとかに比べたら全然安いし、ちゃんと座席予約も出来るし(ライアン・エアーは自由席だもんね)ずっと快適です。
このDavidのスタジオにくるのも4年ぶりです。懐かしい。今でももちろん先生と生徒という関係ではあるんだけど、もう14年のつきあいだし、一つステージを一緒にやったというのがあるので、どちらかというと共演者みたいな関係になってきています。
最近、よりドラマティックな役柄を歌う機会が増えてきたので、そういうものを歌うときの技術をもう一度整理するのが第一目的。高い周波数の倍音を失うことなく低い周波数も安定させて、言い換えると強く、しかし同時に深い、ふくよかな響きを常に出せるように、という感じでしょうかね。それと、細い声を多用するドイツ・リートの超弱声のコントロールももう一度確認したいし。今日はとりあえずイタリアオペラを中心に聴いてもらいました。すごく濃い2時間でした。
内容が濃いレッスンだから、すごく集中力がいるのね。終わって出てくると、声は全然消耗していないんだけど神経の方がもうへとへとで、思わず近くのパブにはいって、ラガーを注文。ギネスです〜。んまい。
 
全然関係ないですけど、ロンドンの地下鉄も「スイカ」になってました。いや、もちろん名前は違うけど。やっぱりロンドンは大都市ですね。ベルリンとも規模が違う。東京と感じが似てますよね。
・・・夜のうちにアップするつもりだったんだけど、無線LANの調子が悪くなったので、寝てしまいました。

“友達の結婚式、そしてロンドン” への7件の返信

  1. ここがコーチの本家スタジオなんですね?
    レッスンの後に「ギネス」・・・私もレッスンの後は無性にあまーい物か脂っこい物、俗に言うところの「ジャンクフード」が無性に食べたくなります(笑)
    小森さんを目指し、自分の技量を磨いてコーチを10年師事できることを目標に励みます!

  2. >姉御さん
    Davidと姉御さんの話になりましたよ〜。とても褒めてましたよ!
    うん、そのジャンクフードの話、わかります。
    歌うという行為はもちろんすごく肉体の作業だけど、彼との場合は頭をすごく使うから、2時間のレッスンの後は、本当に頭がぐらぐらして来ちゃうんです。僕だけかな、こういうの。
    僕なんか目標にしないで良いですよ〜。
    今日もこれから行きます。今日は昨日に続いてWotanだ。昨日の録音も聴いたけど、本当に自分の体からこんな声が出てるのか!と毎回驚くのです。本当に値千金のセッションです。今日も頑張るぞ。

  3. お城のなかにあるバッハ・ザールというホールの結婚式、かわいらしいパイプオルガンの伴奏で、小森さんに歌ってもらえるなんて、幸せなカップル!! 日本の結婚式とは、一味違いますね。
    健登くんと、かっこいい2ショット! 成長が楽しみですね!

  4. 褒められる???小森さんは優しいお方ですね。
    >歌うという行為はもちろんすごく肉体の作業だけど、彼との場合は頭をすごく使うから、2時間のレッスンの後は、本当に頭がぐらぐらして来ちゃうんです。僕だけかな、こういうの。
    仰る意味がよく分かります。私の中でDAVIDは、細かく丁寧に指摘され、その改善法に熟知しておられるマジシャンのような方です。とは言うものの、私の場合は自分の不勉強を怒られないようにとドキドキしているので、終わるとぐったりなってしまうだけなのですが(笑)
    私も彼のレッスンを「本当の意味で理解できる」位の実力をつけたるため、小森さんを目指し精進致します。

  5. >匿名さん
    書き込みありがとうございます。
    本当に幸せそうでしたよ。良い結婚式でした。
     
    >姉御さん
    優しいって・・・?いや、ほんとだってば。まぁ詳しくはまた今度(?)
    マジシャンとは言い得て妙ですね。でも、そのマジックを実践するのは僕らの肉体と集中力なんだよね。それでぐったりしちゃうわけで。

  6. >ジョフィさん
    そうでしたか。
    「匿名さん」という呼びかけも変かなぁとは思ったんですけどね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です