終わりました。今回は舞台稽古からプレミエまでの稽古の様子などを報告する事が出来ませんでした〜。すいません。少し写真など載せましょうか。オケ合わせは日記に書いたんですけどね。
過激というか、ある種凄惨な作品ですから、ゲラのような刺激を求めている人が多いとは言えない街でどういう反応になるのか、実は僕は心配していたんだけど、とてもカーテンコールも長くて、しっかり受け止められた感じがします。
追記あり
作品の説明は敢えて避けましょう。インターネットでも情報があるようですから、参考にしていただけると思います。
ClassicAir〜クラシック音楽とアンドレア・ロストファンのページ
さて、僕の役はド・ラ・フォルス侯爵。主役ブランシュの父親役です。
第1幕の第1場だけでる役なのですが、これが約15分。僕が歌った役柄の中で間違いなく「一番短い役」です。もっとも、歌っているあいだは結構歌いっぱなしだし、かなり声楽的に激しいので、簡単な役ではありません。役としてもFachpartieとして定義されている役です。
僕が持っているケント・ナガノ指揮の録音ではホセ・ファン・ダムが歌っているので、バスも歌う役かなぁ。いや、彼はバス・バリトンですね。結構高い音もあるしね、この役。
このFachpartieというのは、どう訳したら良いんだろう。「主役級の役」というかんじですかね。どこだったかな、オペラ百科事典みたいなやつで定義されているのにしたがっているみたいですけど、調べておきます。
この演出では、特に、僕の息子役でブランシュの兄であるシェヴァリエとの親子のコンフリクト、娘のブランシュへのいらだち、というのが大切な第一場のテーマで、息子にイライラしながらも、実は愛していて、でもそれを表現できない、っていうキャラクターです。
ブランシュが生まれた時、フランス革命前夜の不安定な情勢の中で暴動にでくわして妻を亡くしたという忌まわしい経験から立ち直れずにここまで来てしまっている、という感じです。ブランシュが「不安」にさいなまれて、そこから抜け出したくてカルメル修道院に行く事を決意するわけですが、これはブランシュが生まれた時に母が死に、しかもそう言うショックで亡くなったという事と関係がありますね。
このオペラ、最後が凄惨です。処刑の場面なのですが、修道女たちが神を讃えて歌う「サルヴェ・レジーナ」が、修道女が処刑されて行くたびにその合唱の声が細くなって行って、最後に群衆の中から進み出たブランシュが処刑されると沈黙するというもので、壮絶です。ギロチンのSEも入るので、生々しくて、気軽に見られるオペラじゃないです。楽譜には15ヶ所、ギロチンの音が入るところが指示されています。ちなみにこれは実話で、現実にカルメル修道女たちはギロチンにかけられたそうです。
僕の今回の役は大きくなかったので、舞台稽古と平行してローエングリンの音楽芸子も始めています。テルラムント、悪役ですがやりがいがあります。ヴォータンを東京で歌ってすぐにローエングリンの立ち稽古が始まるというタイミングなので、ワーグナーの大役が二つ続くわけですが、この二つは音域的にも音楽のキャラクターとしてもかなり違う役で、歌い分けを意識の中できちんとやらないと危険ですね。頑張ります。
追記
一つ書き忘れた事が。
上から二番目のの右の写真は、いつもの通り、プレミエ・プレゼントです。一点豪華主義でわりあい高級なチョコレートの専門店に行っているんですが、そこの店のひとも何となくわかっていて、今回は買いに行ったら「プレミエのプレゼントでしょ」と言われました。
「新聞見たのよ。もうすぐオペラのプレミエがあるから来ると思ってましたよ」だって。まぁ東京のようなところでは起きにくい事ですね。今回買ったのは、Marc de Champagneってやつ。Edelvollmilch-Schokolade mit Marc de Champagne-Trüffelと書いてあります。これ、おいしくて好評なんです。
さらなるご成功おめでとうございます。
素敵なカードに何が書かれていたのか・・・あ?ドイツ語を勉強しなければ!(思わずチョコレートに気を取られてしまいました。失礼致しました)同じ作曲家だったか曖昧なのですが、あのラストシーンは鮮明に覚えています。
>姉御さん
カードのドイツ語、今まではこのプレミエ・プレゼントのカードに、ドイツ語でギャグを入れるというのを自分に課していたんですが、今回は初めて見送ってしまいました。作品が重過ぎるのと、僕の役がその物語の根幹に関わっていない感じがしたので、変にギャグをやるのが不謹慎な気がしちゃってね。
「今日の『カルメル修道女の会話』プレミエを楽しめるように、パパは力強いトイ・トイ・トイ(成功のためのおまじない)を唱えます」という感じでしょうか。