久しぶりに、R.シュトラウスの歌曲を歌いました。ほとんど夏のデュオ・リサイタルのプログラムと一緒なんですけども。あれより少ないけどね。7月にゲラでやったプロです。ライプツィヒ近郊のお城でやるんですが、それの合わせをしました。
ピアノはアルテンブルク在住のピアニスト、ドルシュ理子さん。7月も一緒にやりました。
今は僕は主にオペラのレパートリーの方に集中していて、特にヴォータンとテルラムントをさらっているところなので、重いものを歌うように体を作り替えているというか、まぁそういう調整をしているんですね。だから、リートを今歌うのは、ある意味では危険でもある。
かなり頭で整理して歌い分けないと、簡単に声を傷つけてしまう。特に高音でのピアニッシモなんて、ヴォータンじゃ必要ないですからね。でもシュトラウスの歌曲ではやたらと出てくる。でも、こういうケースはこれからもあるだろうし、そう言う意味では良いトレーニングになると思います。
でも、この歌い分けは、僕は以前はもうちょっと気軽に考えていたかも知れない。切り替えさえ出来れば可能なはずだと。
でも、6月のロンドンでのセッションで、Davidが、「レパートリーのウェイトによって声のウェイトを切り替えるのは、例えば映画俳優が役に合わせてダイエットしたり太ったりするようなものだから、かなり時間をかけてゆっくりやる必要がある」と言ったのを聞いて、そのセッションの中で現実に技術的な事を実践し、なるほど、と思っています。まぁレッスンの中でも前半にヴォータンをやって後半はR.シュトラウスの歌曲、という事はあったけど、やはりそれで音楽に没頭できるくらい無意識化、オートメーション化するには、時間をかけた方が良いですよね。
夜は劇場で、「Königskinder」というオペラのGPを見て来ました。劇場の演出助手とプロンプターをやっている友人のクリスティアーネが、演出を今回は担当しているのです。これは先シーズンから始まった「Oper am Klavier」(ピアノ伴奏でのオペラ)というシリーズで、先シーズンのロルツィング作曲「Undine」に続く第二段。譜面台を立てて演奏する、演奏会形式のオペラです。で、何で演出家って?やっぱり雰囲気をだすために、装置を一応作って衣装も着て、ある程度の所作はするわけです。
でもね、これ、場合によっては大変半端になるわけで、正直なところ、僕は去年のウンディーネは中途半端ですごく良くなかったと思ってます。みんな良い演奏をしていたけどね・・・例外もいたなぁ。あんなひどいテノール、誰が呼んできたんだろうってなテノールがいましたが・・・。
で、今回も期待してなかったんですが、クリスティアーネが一生懸命、限られた予算の中で戦って頑張ってるし、まぁ見に行こうと思って。
ところがどっこい。これがすごく良かった。やっぱり全部は暗譜してないから譜面台は立てて楽譜を見ながら歌っているんだけど、芝居をするところは決めてちゃんと暗譜してるし、もともとが童話から来る題材・・・フンパーディンクの作曲ですが彼は童話オペラが好きなんでしょうかね。ヘンゼルとグレーテルもそうだし・・・だったし、照明や映像を控えめに使ったのが功を奏して、大変雰囲気のある充実した舞台でした。
明日のプレミエ、成功は間違いないでしょう。