昨日、ドイツに一度戻ってきました。明日と2月3日のトスカ公演でスカルピアを歌うためです。
昨日は飛行機が遅れて、家に着くのも結構遅くなってしまいましたが、西向きに飛ぶ時は時差ボケは起こりにくいし、かえって疲れてぐっすり寝た方がいいので、まぁいいかな。風が強すぎてなかなか離陸できなかったんですよ。飛行機に乗るためにタラップの下で待っている時なんか、風でまっすぐ立っていられないくらいでした。
東京をでる直前に、僕の出る場面を全て網羅するような稽古日程になっていたので、最後の方はものすごく稽古が詰まってきて、日記も書けませんでしたが、ちょっと稽古の風景をもう一度。
写真はブリュンヒルデの横山恵子さんとの2幕の稽古風景です。この2幕のモノローグでは、ラインゴルトから始まったヴォータンの苦悩と神々の終末を避けるための孤独な努力について長々と語られるわけですが、音楽的にはすごく盛りだくさんな内容だし、声楽的な要求からするとすごく難しくて・・・とくにバスでない僕にとっては低音での表現での幅が要求される点で大変です。低音だけじゃなくて高音も沢山出てくるから、コントロールを少しでも失うと致命傷になるんですね。
写真はないんですが、3幕の稽古でのこと。有名な「ヴォータンの別れ」がありますが、その中でヴォータンは最愛の娘ブリュンヒルデと別れなければなりません。このワルキューレ全曲の中でもっとも感動的な場面の一つだと思いますが、もちろん僕にはすごくプレッシャーがかかっています。この長い作品の最後に来るこの場面ですから感動的な場面にしなくちゃいけないし、でも最後の最後ですから声はもちろん一番疲れているわけですね。とほほ。
まぁそれは置いておいて演出ですが、ブリュンヒルデとの別れの瞬間は、僕が今まで一度も見た事のないニュアンスがありました。中身をバラしちゃうとつまらないと思うのでそれは書きませんが。
この場面の立ちを付けた時、二期会の事務局の方が稽古を見にいらしていて、休憩でお話ししたんですが、涙を目に溜めていらして・・・。
ぼくの方は段取りが着いた段階だったから、それを追う方に頭が行っていてそれどころじゃなかったんですが、この場面の二度目の稽古で助演の方も交えてその辺りを通してみたら、演じている僕自身がもう耐えられなくなって涙をボロボロ流しながら歌う羽目になりました・・・。まぁ舞台に立っている人間が感情に溺れるのはよろしくないんですが、これは我慢ができなかった。
演出家のジョエルも、事務局の方が一度目の稽古の時にこのシーンを見て泣いていたという話を知っていたから、僕のところに来て「お前も泣いてんのかよ!」なんて笑ってたんですが、その後もう一度やったあとは、彼も泣いてたんですよ!しょうがないなぁ。(意味不明)
お客様に公演で泣いていただけるかどうかは、僕も含めて出演者が表現をどこまで研ぎ澄ませるかにかかっていると思います。そうなるように頑張ります。
とにかく、作品が素晴らしい事は間違いなく、稽古の度にそれをひしひしと感じて、これは喜びでもあるわけですが、その作品に対する責任という意味では稽古毎に肩にかかってくる重量がましてきますね・・・。精進あるのみかな。
お稽古のお忙しい中、ゲラでの公演もお疲れさまです!
2月に入り、「いよいよワルキューレだっ!」って感じがしています。
川口のわぐねりあんさん同様、いろいろなリングを聴いて気分を高めています。
昨日聴いていたのは【篠の風】さんの劇場のメータ指揮、マイアー、シュナウト、藤村実穂子、ザイフェルト、トムリンソン、りドルの「ワルキューレ」(2002)です。
小森さんがヴォータンを歌われることが正式に決まってから涙腺がゆるみっぱなしの私、、、、ああ、絶対泣くと思います。
ご本人にお会いしたら抱きついて号泣しそうで怖いです(*^_^*)
がんばってくださーーーーい!
いよいよワルキューレが近づいてきました。ブリュンヒルデとの別れの場面をハンカチを握りしめて待つことにいたします。でも、私にとって、ヴォータン否ワルキューレの頂点は2幕のモノローグ、そして何といってもGeh!Geh! ホッターの深く沈んだGeh! 渋さ極まるアダムのGeh! トムリンソンの剛毅なGeh! さて小森さんのGeh!はどんな表現になるのかしらん。ワクワクしてまいりました。20日は4階から客観的に、23日はかぶりつきで熱狂的に鑑賞する予定です。
昨年11月の日記をただいま拝見。我が青春のトンネルリングの折にマッキンタイヤーの公開レッスンを受けられていたんですね。あの時は、ロペス・コボス=ヘイルで、ホルライザー=マッキンタイヤー。両方聴きましたが、当然ながら後者が前者を圧倒していました。東京リングのフンディングも崩した歌唱ながら物凄い存在感。シェローのリング(LD)でのGジョーンズとのやり取りにも圧倒的な感銘を受けました。勝部太・池田直樹・木村利光・福島明也・・・日本のヴォータン達も懐かしく思い出されますが、いまや時代は小森さんと私は確信しています。大役の重み、低音の問題なんて軽く蹴飛ばして(テオ・アダムだってバスじゃない)、自然体で臨んでくだされば、小森さんらしい端正で格調高いヴォータンがきっと現出します! 小山さんのフリッカに承知の上なれど苦しく敗れる場面も想像するだけで心躍ります!! お風邪など召されぬようお祈り申し上げます。
>えーちゃんさん
超亀レスですいません。
今日は最後の通し稽古でした。後はオケ合わせ、そして小屋にはいっての稽古です。結構良い感じになっていると思いますよ。
>亀戸のTさん
ははは。さすがにツボをご存知ですね・・・。僕は2幕最後のGehに関しては最終的な決断をしていません。結構演出家は任せてくれているので。一昨日と今日の通し稽古でも変えてみました。今日のバージョンの方が良いかなぁと思っていますが、まぁいろいろなやり方がありますよね。
ロバート・ヘイルはミュンヘンでオランダ人を見た時は素晴らしいと思ったんですが、ヴォータンとしては完全には納得いきませんでした。そのトンネルリングをベルリンで見たのと、ミュンヘンのプロダクションの録画を見ました。
そう、フリッカとのシーン、ある意味でキモですからね。これもここ数回でかなり変えてます。今日の通しで大体大筋は決まったわけですが、後は劇場にはいって、空間的な事情が変わってどうなるか、ですね。