びわ湖ホールの事、近況

友人で演出家である岩田達宗さんから「緊急のお願い」というメールが届いて、何かと思ったら、びわ湖ホールが存続の危機に瀕していると言う事でした。
僕自身も、去年の夏にツェムリンスキー作曲のオペラ「こびと」のドイツ語指導という形でびわ湖ホールとは関わらせていただいたし、なにしろこれまで意欲的で素晴らしい活動を繰り広げてきたこのびわ湖ホール、ぼくに出来る事はさせていただきたいと思って、サイト上にも署名活動の紹介をさせていただきました。


実はゲラに戻ってきてから忙しい上に体調が思わしくなく、結構大変な毎日です。疲れが取れていないのかな。でもびわ湖ホールのピンチと聞いて、出来る事はしようと、滞っている日記も書いたりしております・・・。
 
近況としては、まず3月1日に「カルメル修道女の会話」の本番があり、この日はなんとオペラの本番終了後に別のオペラの稽古もありました。3月8日の日曜にアルテンブルク市立歌劇場でのプレミエを迎える「コジマ」の稽古です。
日本だとオペラの本番の後に稽古があるなんて、ちょっと想像つかないですよね。うちの劇場では時々あります。他の日に人が集まらない時ですね。本番の前4時間は稽古してはいけないと言う規則があるのですが、本番の後、というのはないので、まぁ抜け穴とでも言いましょうか。
翌日の日曜は休めるかと思ったら、コジマのアルテンブルクでのプレミエに向けて「Theaterfruehstueck」(劇場での朝食・・・ブランチみたいな感じかな)というのに出演せねばならず・・・。コジマの一場面を歌い、また作品に関するインタビューも受けてきました。しばらく日本語だったからドイツ語モードに戻れるか心配でしたが、これは何とか。
 
その次の月曜日3月3日から「ローエングリン」の立ち稽古が始まっています。ぼくはテルラムントで1幕はずっと舞台にいるので、もう毎日ローエングリンの稽古なんですが、今回は暗譜が遅れて苦労しました。ヴォータンを歌いながらも時々譜面は見ていたんですが、何とかぎりぎり間に合った感じです。暗譜が遅れると精神的にすり減りますね・・・。
当然ですが、ローエングリンと並行してコジマの立ち稽古もあります。踊りも思い出さなくちゃいけないし、結構大変。
ローエングリンは27歳の演出家フロリアン・ルッツの演出になります。ゲストの演出家で、コンセプトはかなり極端です。また日記に書きますが。この人、演出家としての稽古の進め方とか僕はすごく好きなんだけど早口でね・・・。インタビューでは大丈夫だったけど彼とのコミュニケーションで、しばらく日本語に漬かっていてドイツ語の頭がちょっと後退してるな・・・と感じました。早くもどさにゃ。
 
9日の「コジマ」プレミエの翌日はまたハーゲン市立歌劇場での「トスカ」でスカルピアを歌います。あと15日も。またハーゲンでのトスカ演出を思い出さなくちゃいけない。今回は稽古なしだし。
15日歌ったら翌16日はまたコジマ。本番が続きます。
その次の週は、「Konzert für Sie」が2回あるのとその間にまた「カルメル修道女の会話」がある。Konzert für Sieはヴェルディのオペラアリア2曲とポップの曲を一曲だから、まぁ比較的楽だけど、本番には違いない。
その後、なんと27日にまた「ヴァネッサ」がある・・・。こんな難しいものをまたずいぶん時間を置いてから入れますよね・・・これが今の劇場の中での問題なんですけどね。一つの演目の本番の間を開けないと集客率が落ちる。でも演奏者の方はその度間が開くと大変なわけです。でも稽古が入らない。他の演目の稽古もあるし、稽古にかかるコストを劇場がカバーできない。2009年以降の予算が確保されていない事もあり、ここで良い成績を出さないと劇場自体の存続が危ないから、こういう無理なプランになる。歌手はインテンダントに抗議しているけど話し合いは進展していないみたい。無理な仕事が重なるからモチベーションも落ちてるし、いま、実は劇場の中の雰囲気は相当悪いです。日本から戻ってきたから余計に目に付くのかも知れないけど、ちょっとびっくりしました。こういう時こそ踏ん張り時であるわけですが。・・・
びわ湖の心配してる場合じゃないって?いやいや、そうじゃなくて困っている時こそ力を合わせなくちゃいけないんです。
 
僕の3月は31日の「カルメル修道女の会話」で一応終わり、オペラ5本を含む6プロダクションの稽古と本番にまみれる一ヶ月です。そして4月2〜4日はプッチーニのミサのソロを歌います。これも稽古になくちゃね。多分今まで一番大変なピリオドですね。頑張って切り抜けないと。この後日記がしばらく書けなかったらごめんなさい。

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