ドイツは良い天気が続いています。毎日30度くらいまで気温も上がり、日差しが明るいので、とても気持ちが良いです。こういう天気ってずっとは続かないんだけど、今回は結構続いてますね。湿度は低いので僕ら日本人にとっては快適そのものですが、ドイツ人はみんな「暑い暑い」と大騒ぎしています。
今年も夏に東京で、「小森輝彦・服部容子デュオ・リサイタル」を行いますが、今月20日にチケットを発売することに決まりました。遅くなってますが、コンサートの情報ページもアップしてあります。字幕など、いろいろ準備を具体的に始めています。
予告していましたとおり、今回はとにかくジュゼッペ・ヴェルディです。アリアを歌いまくります。服部容子さんはショパン、リスト、ドビュッシーの作品を弾いてくれます。
歌いまくると言っても、まぁ8曲です。十分多いでしょうか。僕はとにかくプログラムを多く、長くしてしまう傾向があるので、いつもプログラムを組むときにブレーキをかけられます。僕はもうちょっと歌っても良いんじゃないかと思っていたんだけど・・・という感じ。羽交い締めにして止められた、という感じでもないですが、まぁブレーキはかかりました。(羽交い締めに近い感じで止められたのは何年か前のアンコールだったかな)
この曲も思い入れがある曲ばかりで・・・ここに無い曲でも思い入れのある曲はあるのですが・・・本当に楽しみです。
この間発行したニュースレターにも書いたのですが、僕は大学に入った頃からずっとエットーレ・バスティアニーニの大ファンです。彼ほど「ヴェルディ・バリトン」という肩書きが似合うバリトンは他にいないんじゃないでしょうか。今でも大好きで、YOUTUBEなんていう便利なものを知って、まず見たのはバスティアニーニの動画でしたね。多くはないけど、ありました。日本での伝説の舞台、NHKイタリア歌劇団でのルーナ伯爵のアリアもありましたよ。
大学2年の時に初めてレッスンにヴェルディのアリアを持って行ったときに、僕がこんなにバスティアニーニを好きだとは知らなかったはずの師匠が、「うん、バスティアニーニみたいになれるかも知れんな!」と言ってくれたのは本当にものすごく嬉しかったんですよね。この時の実力を考えればリップサービスであることは間違いないけど、ある意味で何かそういう風に思わせる要素が僕の当時の声の響きにあったとしたら、それはそれですごくありがたいというか、嬉しいことです。
バスティアニーニの声には品があり、深みがあり、輝きがあり、信仰があります。僕が初めて買ったバスティアニーニのレコードのライナーノーツに、如何に彼がヴェルディという作曲家を大切に思っていたかを示すエピソードが載っていたけれど、そういうヴェルディ作品に対する祈りのようなものを、僕はバスティアニーニの声にいつも感じていました。
その後、僕はドイツに渡ったりしたこともあって、どうもドイツのレパートリーをオファーされることが日本では多くて・・・ドイツでは逆にイタリアもののリクエストの方が多いんですよ・・・今回の「ヴェルディの夕べ」はそういう意味でも僕には特別な意味があります。
来年2月の東京二期会公演「ラ・トラヴィアータ」にジェルモン役で出演するので、来シーズンはこのヴェルディの夕べ、ゲラの劇場でのオテロ、二期会のラ・トラヴィアータと、ヴェルディが多いシーズンです。
ジェルモンは、僕にとって初めてのヴェルディのオペラだし、ヨーロッパデビューの役だし、何度も繰り返し歌っている役の一つです。多くのプロダクションで歌った役というと、「フィガロの結婚」のアルマヴィーヴァ伯爵(6プロダクション)、「ドン・ジョヴァンニ」のドン・ジョヴァンニ(5プロダクション)など、モーツァルトが多いんですが、ジェルモンもこれが四つ目のプロダクションで、なかなか多いんです。すごく楽しみにしています。
これから日記でも出来るだけ夏のデュオ・リサイタルの曲目解説などもしていきたいと思います。