二期会の「ナクソス島のアリアドネ」

明日から、東京二期会の公演「ナクソス島のアリアドネ」が始まるようですね。ゲネプロの様子が紹介されていました。
このオペラは、ドイツでもなかなか取り上げられる機会が多いとは言えない作品だと思うのだけれど、日本では意外に多く上演されていますね。その恩恵か、僕も日本で二つのプロダクションで歌うことが出来ました。役は二回とも音楽教師でしたが、他にもいくつかバリトンの役があるんですよね。


最初にこの役を歌ったのは、東京オペラプロデュースと日本R.シュトラウス協会の合同公演ででした。若杉弘先生の指揮、平尾力哉先生の演出で。中野ゼロホールという、ちょっと横長のホールでした。このプロダクションは本当に良かったと思います。懐かしい。僕はまだ学生に毛が生えた感じで、周りのベテランの皆さんの歌と演技のすばらしさにひたすら感動しながら稽古に通っていました。
二回目は二期会と新国立劇場の共催公演でした。
このオペラに関するエントリはこちら。
 
とにかく語りが多くを占めるので、かなり達者にドイツ語を操れないと演奏は難しいですよね。思えば、最初のプロダクションでプリマ・ドンナを歌われた曽我栄子先生は、この間のワルキューレでは公演監督を務められていました。
この公演のあとにR.シュトラウス協会の例会にキャストが招かれたのですが、曽我先生がおっしゃっていたのが、「日本ではこれは公演がほとんど無い演目だけど、この公演のあとにウィーンに行ったら、着いたその日にウィーン国立歌劇場で「ナクソス島のアリアドネ」を上演していました・・・」というお話し。
ちなみに、曽我先生は日本での邦人初演でやはりプリマ・ドンナの役を歌われ、この公演では「邦人原語初演」というちょっと複雑な状況でもう一度歌われたのでした。それまでの二つのプロダクション、両方に出演されていて、その間に確か20年とかの歳月があったんじゃなかったかな。
 
ウィーンだったらレパートリーになっているのもわかりますが、ドイツの中規模の劇場でこの演目を頻繁にレパートリーにしているところはないでしょうね。内容が通好みだということもあるし。
でも、そう言うものをこうして2002年12月のプロダクションから6年経ってもう一度取り上げられるという意味では、日本のオペラ界の体力というのは確実についてきているんだな、と思いますね。キャスト表を見てイメージしても・・・僕は残念ながら本番を見ることが出来ないので・・・どの役も「この人ならばっちりだな」と思えるキャスティングがされているということも、日本人の、あるいは二期会の歌手のレベルがどんどん上がっていることを示しているように思います。
 
あーあ見たかったなぁ。どなたか、ご覧になった方がいらしたら、感想を聞かせてくださいね!

“二期会の「ナクソス島のアリアドネ」” への2件の返信

  1. 御無沙汰しています。
    自分の出番はいよいよ明日、金曜日です。
    今回の役は、自分が未だ大学生の頃、小森さんが出演された舞台原語初演を見に行って以来憧れの役でした。既述の通り、以前小森さんがおやりになられたし、更に遡ること1971年に師匠である原田茂生先生が務めた事もあって、しっかりやらねば、と思いを新たにしています。
    頑張ってきます。

  2. >Sachsさん
     
    GPの写真見ましたよ!風格があるというか、写真からも存在感が伝わってきました。本番、頑張ってください。
     
    そうですよね。我らが師匠が邦人初演した役なわけですよね。2002年のプロダクションでもう一人の音楽教師を歌われた黒田博さんも一時期原田クラスにいらしたし、原田クラス率がえらく高い役ですね!
     
    うかがえないのが残念ですが、応援してます。R.シュトラウスの素晴らしい音楽を楽しみつつ頑張ってください!

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