帰国しました。今回は朝の7時50分に着く便だったのですが、到着した日に出来るだけ動いて横になる暇を体に与えず、疲れ切って夜バッタリ寝る、といういつもの時差ぼけ対策を今回も実行しました。そしてその上、その日の夜に新宿コマ劇場での劇団新感線公演の「五右衛門ロック」に行って参りました。
大変面白かった。というか、素晴らしかったです。やっぱり舞台は良いなぁ。
そして、その翌日は朝6時に起きて、日帰りでびわ湖ホールに行ってきました。ドイツ語指導を頼まれたのですが、ここで思わぬ人にあったりして。
劇団新感線の舞台はDVDを通じていくつかは見ていましたが、ライブで見たのは初めてです。すごい迫力でした。友人に頼んで取ってもらった席が何と前から3列目!映像でしか見たことがない人を沢山間近で見られて大変興奮しました。(ミーハー)
坂本龍馬とか、広岡子之次郎とか、有馬様とか、ヒュースケンとか。(何が何だかわからない方、すいません。NHKの新選組のキャストを参照してくださいまし)あと、この間入手した古いテレビ番組の録画で大石内蔵助をみて激しく感動させてくださった万俵大介さん(北大路欣也さん)の生舞台も初めてだったし。
これらの方々はみんな本当に素晴らしかったんだけど、僕がほとんど初めて接した方々もすごい人がたくさんいました。例えば森山未來さん。僕は昔の宮本亜門さん演出のミュージカル「ボーイズタイム」でちょっと見たくらいだと思うのだけれど、この五右衛門ロックでは要になる大役を演じていて、踊りだけじゃなくて歌もすごく良かった。聞いた話では森山さんの歌唱は進境著しいと言うことだけど、僕には「習って上手になった歌」には聞こえなかった。最初から歌がうまい人みたいに聞こえた。僕はこれは本当にすごいことだと思う。大体において、訓練を通じて熟練したものは秀才的になってしまって天才的にはなりにくい。彼の歌ははじめから感性で歌を歌える人の歌みたいに聞こえた。つまり秀才的じゃなくて天才的な歌なわけです。この方はまだすごく若いと思うのだけれど、踊れて芝居も出来て歌もうまくて、また表情に色気があるのですごいです。また舞台を見せていただきたいと思いました。憎んでいた父を守ると決めたあたりの芝居は、もう号泣でありました。エンターテイメント性が高い舞台だけどちゃんと感動もある。すごいです。尊敬します、こういう舞台。テーマも結構深いと思う。
余談ですが・・・このボーイズタイムというミュージカルは、山本耕史さんが出ていたのでDVDを見たんですが、ここで彼がソロで歌っているナンバー、空前絶後に素晴らしいですよ。山本耕史さんの歌唱力はご存じのように定評があって、うまいことはもう当然なんだけど、この歌はなんだかそう言うんじゃなくてすごい。何か彼の姿から立ち上っているんですな。技術とかを超えたものがドカーンと来るのです。「あの娘に〜会いたい〜」というサビの部分はしばらくその後頭から離れなかったですね。この男性の心情が山本耕史さんの肉体を通して直接語りかけてくる感じです。劇場の神様が降りてきてるな〜と感じる瞬間ですね。これに似た感動はミュージカル「リンダリンダ」でも時々あるけど、一曲通じてガーンと来る迫力ではこのナンバーが空前絶後です。はい。猛烈感動。
話がそれましたね。
あと、高田聖子さんという方、僕は存じ上げなかったんだけど、素晴らしかった。歌のうまさがまず抜群だったけど、それもいろいろな声の音色と歌のスタイルを持っていてその切り替えがすごいです。芝居もうまいとか言う表現が適さないくらい素敵でした。
あと、松雪泰子さんという方は前に劇団新感線の公演に出たときのパンフレットは見ていたんだけど、舞台は初めて見ました。その時はマドンナ風のキャラクターだったとのことですが、今回は二の線あり三の線ありで、ものすごいインパクト。舞台姿も美しいけど歌もうまい踊りもうまいで、圧倒的でした。大きい役ではなかったかも知れないけど、劇団新感線に良く出られていて今回はヒュースケン、いや川平慈英さんの相棒だった右近健一さんも良かったです。
批評家ぶってあれこれ書くのはあまり好きではないのですが、面白かったので面白かったと書くのは良いかなぁと思ったりして書いておりますが、とにかくエンターテイメント性が高い舞台のスタイルを、この劇団新感線は確立していますね。すごいと思います。そして、何しろすごく緻密に稽古されている。というか稽古され抜いている。本当に頭が下がる想いというか、素晴らしい舞台です。
僕がすごいと思ったことは沢山あるけど、一つはアンサンブルの方達の芝居の密度の高さです。振り付け師が振り付けた動きが、群舞として「型」になっているところが一つもなくて、一人一人が完全に自分のものとして消化しきったところで舞台にのせている。「どうしてそう言う動きをしているの?」という疑問が起こるような振りが一つもない。これは本当に奇跡的にすごいことだと思います。こういうディテールに結構感動します。まぁ僕自身が身体表現者だからということがあると思いますけど。
有馬様、いや、古田新太さんは僕は最初に知ったのは、三谷さんの「HR」という作品だけど、その時ゲストで出ていた古田さんを見たのが初めてでしたが、これは本当にすごかった。役者というのはこういうものなのだ、というものを体現している方ですね。今回もタイトルロールの五右衛門さん、すごく格好良く、またかっこ悪く、素晴らしかった。こう書くのはちょっとためらいもあるのですが、有無を言わせない表現力とかっこよさ、三の線をやるともう腹筋が引きつるまで笑わせるというあの感じが、僕の師匠の一人である勝部太先生を彷彿とさせるのであります。勝部先生は日本一のドン・ジョヴァンニです!
坂本、いや、江口洋介さんは舞台をやられるのは最近だと言うことですが、やっぱり超かっこいいですね。ギターを持って弾き語りもありました。途中で音響のアクシデントがあり、台詞を手持ちのマイクでやっていましたが、広岡子之次郎、いや、橋本じゅんさんにアドリブでちゃかされてました。「マイクを持ったギター侍」ってのはよかった。
ヒュースケンでないところの川平慈英さん、歌唱力と踊りとぶっちぎれたセンスがすごいです。僕は元々兄上の慈恩さんのファンでありましたが、今ではすっかり慈英さんのファンでもあります。
・・・あーきりないですね。まだ当日券もあるにはあるようだし、興味のある方は是非見てください!小劇場的テイストがあんなにでかい劇場でばりばりに機能しているところがすごいです。
まだ書きたいこともあるけど、この辺にしておいて、次の日の話。日帰りでびわ湖はきつかったけど、やはり昼に寝ないようにするために強制的に働くことが必要だし、その意味では良かった。・・・今気がついたら劇団新感線と新幹線のはしごじゃないかい・・・。この写真は健登に頼まれてN700系を撮りました。ええい、鼻の長いやっちゃ。
今回はオペラ「サロメ」の言語指導と言うことだったんですが、実るある時間を過ごせたと思います。そして休憩中にラウンジに行ってみたら、今「フィガロの結婚」のGPをやっているという。チラシを見てみたら・・・演出、岩田達宗!そのGPも休憩に入ったので脅かしてやろうと思っていってみたら、本当に驚いて岩田さんは10メートルくらい吹っ飛んで「おっおまえ、なんでここに居るんじゃ!?」と言っておられましたわ。
衣装の前田文子さんも一緒にいて、前田さんも驚いていたのに全然動きがないのが対照的でおもろかった。「いやー、もう10年ですよね〜」といわれて考えたら、本当に10年だった。なにかって、このメンバーでベルリンでつるんでいた頃から10年なのです。前田文子さんは僕が今度ご一緒する宮本亜門さんのお気に入りの衣装家だったと思うけど、今や日本を代表する舞台衣装家として大活躍されていますよね。ベルリンでつるんでいたのもそうだけど、2000年のオルフェオはこのメンバーでやったんだよなぁ。またあの顔ぶれでオペラがやりたい。
GP中の演出家と衣装家が、単に言語指導をしに来た僕を「じゃあそこまで送りましょう」と見送ってくれた姿があまりに愛らしかったのでそれも写真に撮ってしまった。HPに載せるってその時宣言したから載せて良いよね?岩田さん、前田さん?
こんなに長い日記を書くつもりはなくて、明日も朝が早いからすぐ寝ようと思ったんだけどどんどん長くなる・・・。短い文を書く才能がないのです。劇団新感線のこと、かなりはしょってこれだもの。
お帰りなさい。ごくごく私的なことで、すっごく忙しくしているため、奥様から丁寧なメールをいただいているにも関わらず、本当にご無沙汰しています。そして、申し訳ありません。m(_ _)m
新感線、いいですねえ!私は、大学時代(ちょうど、小劇場のころ)から見ていました。子どもができて、すっかり観劇からは遠ざかったために10年近く見てないですね。う?ん、お金と時間に余裕ができたら、また見たいです。
それから、急なお知らせで申し訳ないのですが、今晩、横浜で京田辺の高等部の学生の卒業演劇があります。まさかこの事をお伝えできるとは思っていなかったので、驚いているのと同時に嬉しく思います。もちろん、お忙しいとは存じておりますので、”もしも”お時間がとれるようでしたらご観覧ください。
横浜・蒔田・南公会堂:午後6時開演です。
ご家族みなさんでの帰国でしょうか。奥様にもよろしくお伝えください。遅くなっていますが、メールのお返事、必ず書きます。
ではでは、いつの日か、Teruさんともお会いできる日を願っております。
>Hira@さん
お久しぶりです!コメントをありがとうございました。Hiraさんは大学時代小劇場にはまっていたのですか!?
京田辺高等部の卒業演劇のお知らせ、ありがとうございました。残念ながらアポイントがあってうかがえませんでしたが、盛況でしたでしょうか?
お忙しいのはお互い様です。お気になさらずに!本当にいつか僕も京田辺の学校を訪れたいです。皆様によろしくお伝えください。