ルチアの稽古

今日はオランダ人でなくて、ルチアの稽古がありました。
来週の水曜日にルチアの本番がゲラであるのですが、エドガルド役を歌うテノールは、まだこのプロダクションの本番を一度も歌っていない人なので、余計に多めに稽古が組まれています。
このウクライナ人のテノール、ユリ・スヴァテンコは、先シーズンの新演出の稽古にはずっと参加していたのですが、本番近くなって体調を崩して、結局本番はキャンセルしたのです。それで急遽ピンチヒッターを捜したもののドイツ語のこのヴァージョンでエドガルドを歌ったことのある人がつかまらず、そのルチアの本番はおかしな「イタリア語ドイツ語混合オペラ」になってしまっ...


たのです。この事は以前に日記でお伝えしました。
ユリは稽古が詰まってきて舞台でオーケストラとの稽古になってくると、一度も「フルヴォイス」で歌いませんでした。ずっと抜いてファルセットにしたりオクターブ下で歌っていた(声を抜く)のです。そのあげくに本番直前にキャンセルですから、僕たち周りの人間はかなりフラストレーションがたまっていました。

今回は本番の直前の通し稽古を、彼がフルヴォイスで歌うことが義務づけられているようです。そうでなければ僕らも安心して共演できませんからね。本番の2幕が終わったところでキャンセルされたりしたら大事ですし。
でも、もう一人のエドガルド、先シーズンのプレミエを歌ったイェンス・クラウス=ヴィルデも一応予定を開けてスタンバイしてくれているようです。どうなるのでしょうね。

こういう風にオランダ人の稽古期間中に、ふっとルチアの稽古と本番が入り、リゴレットの本番が入り、再来週はドン・ジョヴァンニの稽古と本番が入ってくる。こういうのは慣れないとかなりつらいですね。オランダ人に没頭できないし、入ってくる他の演目の本番は当然練習が少な目か全然練習無しで迎えることになるわけで、自己責任における準備とかなりの集中力が必要です。

僕の場合は今やっている演目で、小さい役での出番がなくて、稽古をしているオランダ人がタイトルロールな上に、ドン・ジョヴァンニ、リゴレット、両方タイトルロールにルチアのエンリーコも特にこの演出ではキーパーソンとして扱われているという具合で、こういう複数の演目が入り乱れるときはかなりエネルギーいりますねー。
2002年8月17日(土)スクリプトで読み込み

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