昨日、藤原歌劇団公演の「椿姫」に行ってきました。友人からチケットをもらったのです。
この藤原の年始の「椿姫」はもう恒例になっているんですね。日本で「椿姫」は、これはとにかくチケットがよく売れるんだそうです。他のオペラとは全然売れ行きが違うという話ですから、この毎年恒例の行事としてこの「椿姫」に目を付けたのは、大当たりだったわけですね。
レナート・ブルゾンがジェルモンを歌うと言うことで、それを楽しみにしていったのですが、ブルゾンももちろん良かったですが、ヴィオレッタを歌ったボンファデッリというソプラノがとても良かったです。
まず美貌で、しかも声がしっかりし...
ているし、芝居も良かった。今はウィーンで活躍しているそうですね。
あのヴィオレッタという役は、大変な難役ですが、何が難しいかというと、一つは幕を追うごとに要求される声が変わっていくことだと思います。1幕ではご存じの通り、コロラトゥーラの大アリアがありますから、コロラトゥーラのテクニックと安定した高音が要求されます。しかしそれが2幕ではかなり叙情的な表現が中心になり、中音域でも厚みのある声を出さなくてはなりません。3幕にいたっては、音域的にはかなり低くなり、表現もドラマティックだし、3幕冒頭のアリアでは、弱声中心の繊細なカンタービレが要求されます。
つまり幕を追うごとにどんどんドラマティックになっていくのです。普通に考えると一人の歌手が一晩で歌うべきキャラクターではないくらいです。
でもこのボンファデッリはそれをとてもうまくこなしていました。
この人は高音域も充分持っているけれど、中音域でかなり深みというか、厚い響きを出せるテクニックを持っているようです。不安定な感じが全然しなかった。
ブルゾンも良かったです。ちょっと自分のテンポで歌いすぎるなぁと思ったところもあったけど。
アリア「プロヴァンスの海と陸」のあとのところで、父親の方が涙ぐむところはぐっときましたね。
でも2幕のヴィオレッタの屋敷は、どっちが出口でどっちが家の奥なのかわからなかった。というか、人の出入りが論理的に考えるとちょっとおかしかったと思うのです。あの演出だとジェルモンが二重唱のあと、アリアで再登場するまでの時間を家の中のどこかで過ごした事になってしまうし、アルフレードは家の外へ飛び出していったはずだったのに家の中から出てくるし、アンニーナを追いやったのは家の中の方なのに彼女はでて行くはずだし・・・。まぁ上手も下手も家の外へ出られる経路があると考えるべきなんだろうけど、それだったら最初にジュゼッペが郵便物をとりに行くときに上手から下手に舞台を横切るのが意味ないし。腑に落ちないなぁ。
2003年1月19日(日)スクリプトで読み込み