最近、毎日劇場に行っているわけでないのでよく掲示を見ていなかったのですが、3月の公演予定が張り出されていました。
3月の10日から3日間行われる第6回のフィルハーモニー・コンサートの曲目なども合わせて張り出されていました。
これは僕がずっと楽しみにしていたプログラムで、フェルツ指揮でR・ヴァーグナー作曲「ニーベルングの指輪」抜粋です。僕はこの中で「ヴァルキューレ」から「ヴォータンの別れ」を歌います。
ヴォータンという役は、ドイツオペラを歌うバス・バリトンにしてみたら究極の「夢の役」でしょうね。北欧の神話をヴァーグナーが4晩に渡る長大な音楽劇にした...
わけですが、その主神ヴォータン。魅力的な役です。もちろん歌うのも難しいわけですが。
僕の声にとってはちょっとこの役はウェイトが重すぎて、僕の本来のレパートリーには含まれるべき役ではありません。僕はバリトンの中でも音域的には高い方ですからね。
でもまぁコンサート形式でこの1シーンだけだから、まぁ良いでしょうと言うことでやることにしました。
・・・とは言っても、本来低いバリトンのレパートリーであるオランダ人なんかは歌っちゃっているわけですが・・・。この辺は中クラスの劇場であるゲラならではのことです。
この主神ヴォータンが「ニーベルングの指輪」2作目の「ヴァルキューレ」の最後に歌うのが、この有名な「ヴォータンの別れ」です。愛する娘ブリュンヒルデが自分の命令に背いたので、その罰として、ブリュンヒルデから神としての力を取り上げた上で岩の上で眠らせるのです。
しかしながら、このブリュンヒルデは、ヴォータンが主神としての義務のために仕方なく下した命令をに対して背き、ヴォータンの本当の願い、望みを知る最愛の娘としてヴォータンのためにしたことでもあり、ヴォータンはブリュンヒルデの望みを聞き入れ、臆病者がブリュンヒルデに近付かないように岩を炎で覆います。
感動的なシーンです。
主神なのに、なんだか中間管理職みたいなつらさがヴォータンにあるわけですね。まぁ上司じゃなくて奥さんである結婚の神フリッカに逆らえない感じなんですけど。
他のプログラムは、やはりヴァルキューレの1幕からジークムントとジークリンデの場面。ジークリンデを歌うのは「さまよえるオランダ人」のプロダクションでゼンタを歌っているバーバラ・シュピース。彼女の声にはぴったりでしょうね。ジークムントはゲストのテノールです。
神々の黄昏のブリュンヒルデのモノローグもあります。これを歌うのは「ナブッコ」のプロダクションでアビガイッレを歌っているルツィア・ザルジュツカ。
いやぁ。楽しみです。
2004年1月27日(火)スクリプトで読み込み