昨日はアルテンブルクでの「フィレンツェの悲劇」本番でした。これでこの演目はアルテンブルクでの3公演目ですが、お客さんの入りはかなり悪かったですね・・・。最近の傾向として、ゲラではお客さんの入りは年々よくなっていますが、アルテンブルクは年々悪くなって行っています。
ゲラの場合は、近郊の小都市からのバスがたくさん来ているので、その市だけではなく近郊都市へのマーケティングをもっと積極的にやらなくてはいけないのかも知れません。
昨日の本番では、下手側の階段が大きく上手側にずれて取り付けられているというミスがあり、ソプラノは危うく1m下まで後ろ向きに落っこちるところだっ...
たようです。テノールは直前に気付いて飛び降りました。僕は階段に踏み込む前に確認したので「あれ位置が違うような・・・」で済んだんですが。
怖い話です。打ち所が悪かったら大けがでは済みません。
ヨーロッパで働くにあたって、こう言うことはちょっと気になっていました。名歌手で舞台上の事故で死んだ人が何人もいるからです。公演数が日本に比べて多いドイツでは、特にその危険は増します。
日本の舞台スタッフというのは、僕は本当に、日本が世界に誇れるもののひとつだと思っているのですが、とにかくモチベーション、技術、チームワークどれをとってもピカ一だと思います。プロフェッショナル精神とかね。
日本のオペラの稽古(舞台稽古じゃなくて稽古場のね)で、道具の出し入れを手伝おうとしたら怒られますもの。「それは歌手の仕事じゃない!」とね。
うちの劇場では手伝ったら「ありがとう」です。まぁ当たり前だ。
でも、身体表現に責任を持つ分、他のことに携わるべきではない、という意識は、今は僕は強く持っています。
はい、以前は持っていませんでした。だからオペラのグループなんか主宰してたんですね。
もっとも今のゲラの劇場の舞台スタッフ不足は近年のリストラによって顕著で、稽古場にスタッフが来られないのです。もはや2シフトに分けられないくらいの人数しかいないので、今稽古している「フィガロの結婚」では、毎公演の舞台セットを組む人出が見込めないことで、八百屋(傾斜舞台)をあきらめざるを得なかったという悲惨な状況です。
だからこそ板にのる人間が頑張って盛り上げなくちゃね。
2004年2月15日(日)スクリプトで読み込み