「第六の時」アルテンブルクのプレミエ

昨日、ドイツ中のオペラ批評家から絶賛を浴びたこの作品の、アルテンブルクへ場所を移してのプレミエがありました。火を使ったり、普段は上演中に使うものではない防火シャッターを下ろしたり、大きな台を宙づりにしたすぐ下に歌手がつられたりと、いろいろ仕掛けが多い舞台ですが、舞台の上は事故がなく行きました。ところが・・・。

この日は、ゲラのプレミエを振ったGMDフェルツがミュンヘンの仕事へ行っていて、どうしても振れない。作曲家ロートマンは指揮者でもあり、実際ゲラの劇場の常任指揮者のオーディションも受けた人です。通りませんでしたが。
でも、この作品は極端に降るのが難しい作品。...


ロートマン氏はゲラでの初演の「第六の時」に一度もオーケストラの稽古をしていないし、僕は結構危険を前から指摘していたんだけど、あまり真に受けてもらえず・・・。
GMDのガブリエル・フェルツ氏は、僕の主張をまじめに聞いてくれたんだけど、ガブリエル自身が他の劇場への客演のために振れず、ロートマン氏が振るという事情もあり、ガブリエルとしてはあまり動けないらしかった。でもロートマン氏の稽古のやり方に問題ありありで、いつもは冷静なガブリエルがロートマン氏をオケの前で大声で怒鳴りつけていました。まぁ気持ちはわかる。詳しくはちょっと書けないけど・・・。

で、本番。
予想はしていましたがゲラに比べてお客さんの入りはかなり少なめ。まぁもうこの演出自体は一度出てしまっているものだし、アルテンブルクでは総じてゲラよりもお客さんの入りが少なめなので、仕方がないとは思います。

何とか止まらないで終わってよかった・・・。というかんじ。当のロートマン氏はご満悦でしたが。オケピットから聞こえてきた音はいつもの三分の一くらいだったかなぁ。金曜日のGPでは半分くらいだったんだけど、さらに減ってしまった・・・。

で、今日、健登を幼稚園に連れて行ったときに、同じ幼稚園に子供を行かせている劇場の某オーケストラ奏者に会いました。で、「昨日、何とか止まらないで行ったよかったよねぇ」と僕が言ったら、「いや、舞台の上の君たちはやめないで歌い続けてえらいよ。ピットのオケはもう何度も途中で演奏やめちゃってたんだから」と彼。
「え”っ?」「ゲネラル・パウゼ(全員が休符の部分)が来ると、今どこを演奏しているのかわかってまた復帰する、と言う繰り返しだったよ。舞台の上で歌っている君らには悪いけど、だいたい俺なんかもう指揮と音楽の進行が全くかみ合ってないのがおかしくって吹き出しちゃって(楽器が)吹けないってかんじだったんだよなぁ」・・・がっくり。

止まらないでよかった、と思っていたのに、ちゃんと止まっていたのね、オーケストラの皆さん・・・。

写真は舞台のものです。僕が持っているカメラ5kg以上あるんですが、あれをずっと担いで、この写真のところなんか、ライブでプロジェクターに画像が映されているから、下の赤いツナギのベルンハルト君の顔をしっかりカメラがとらえるように持ちながら、しかも横の将校に脅されておびえている芝居をしながら、さらに歌わなくちゃ行けなくて、かなり大変な瞬間です。
2004年5月17日(月)スクリプトで読み込み

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