土曜日にゲラ、日曜日にアルテンブルクで、今シーズンの開幕を祝うオープニング・ガラ・コンサートが行われました。僕は「椿姫」からジェルモンのアリア「プロヴァンスの海と陸」を歌って参りました。
先シーズンの時点では、僕はルツィア・ザルジュツカと「ナブッコ」からナブッコとアピガイッレの二重唱を歌うことになっていたのだけれど、どうも全体のプログラムが長すぎると言うことでカットになったらしい。だって、オペラからだけじゃなくて、芝居、バレエ、ミュージカル、とかく部門が競って出演しますからね、すごい長いプログラムになるわけです。
で、僕の出番が無くなったことに上の人たちは気づいていなかったらしい。僕は3日のナブッコの本番の後続けて2回の本番が加わることになるので、出番が無くなって週末はオフだ!しめしめ。と思っていたのだけれど。
でも直前になって、ある演出助手が僕が出ないことに気づいてオペラ監督に進言したらしい。その日のうちにオペラ監督から僕に連絡があって「我が劇場の Leistungstraeger(まぁ看板歌手と訳して良いでしょう)であるあなたが出ないと言うわけには行かない」とか何とか言われて、ジェルモンのアリアを歌うことになりました。
僕は「自分では気がつかなかったくせに・・・」とか思ったんですけどね。これで週末はパァ。
でもナブッコを不調をおして歌った翌日だったので、まぁきつい。でもジェルモンのアリアは何度も歌っている曲だし何とかなると言うことでやはり不調にかかわらず歌うことにしました。
さすがにこういうガラ・コンサートとなると必ず売り切れになり、客席は本当に一杯でした。お客さんの反応も上々で土曜日は無事に終了。
日曜日の午前中に健登と散歩していたら、今シーズンからカペルマイスター(常任指揮者)として劇場のメンバーに加わったスロヴィンスキー氏と奥さんに公園で会いました。彼によると、「僕のすぐ後ろに座っていたお客さんが、あなたのジェルモンのアリアの後に拍手をしながら『彼は、言っていることがすべてわかる唯一の歌手だ!(Er ist der einzige Saenger, bei dem ich jedes Wort verstehe!)』と言ってましたよ」とのこと。こういうのはやっぱり嬉しいですね。
その散歩の後、まだしんどいので昼寝をして起きてみると、今度は喉が痛くなってきた。ふむ。どうするか。今日はアリア1曲だけど、月曜、火曜は「椿姫」の通し稽古で、水曜からはオケつき舞台稽古・・・。今無理をすると「椿姫」のプレミエに響くか・・・。
でも、とりあえずホメオパシーの薬で対処しておきました。夏前の経験で、どのレメディーが気管の炎症の始まりに効くか、喉の痛みの始まりに効くかは、はっきりわかってきているので、これで何とかなるかも、と。
しんどさが残る中でアルテンブルクへ出発。もう一度ジェルモンのアリアを歌って帰宅した頃には、ほとんど症状が消えていました。やっぱりホメオパシーは、自分のケースとレメディーの選択が厳密に出来る様になってくると効き目がずっと良くなります。いやぁ助かった。
このガラコンサートでアルフレードや、「ウエストサイド物語」のトニーを歌うためにデットモルトからゲストでテノールが来てくれていたのですが、日本語で挨拶されてびっくり。奥様が日本人だとか。当日に「椿姫」の乾杯の歌をドイツ語版で歌う様に変更されたりして気の毒だったけど、素敵な声を聴かせてくれました。「ウエストサイド物語」のマリアが良かったなぁ。僕このマリア、大好きでね。低い調に移調して良く歌ってました。
彼は年末の第九でまた共演する予定です。・・・そうそう、言っていなかった。年末の第九はまた歌わせて頂くことになりました。ゲラに来て4度目の第九だな。
彼のHP(http://www.hugomallet.de/)今見たんだけど、4カ国語で見られるんですよね。うーむ尊敬。
僕もドイツ語ページくらい作るべきかしら。どうでしょうね?
写真はGPで撮った演劇のシーンです。
2004年9月6日(月) No.338