今日は、「椿姫」の立ち稽古が舞台でありましたが、それ以外に「プレミエーレン・フィーバー」という本番がありました。これについて書いたこと、以前にもあったかもしれませんがもう一度説明しておきます。
この「プレミエーレン・フィーバー」と言うタイトルは「プレミエ(初日)の熱気」みたいな意味ですが、僕らの劇場では新演出初日の10日ほど前に行われる、解説付きの公開立ち稽古をこう呼んでいます。
この「プレミエーレン・フィーバー」が18時からあるために夜の稽古が19時15分開始になっていたのに、のんきな僕は気づかず、「稽古の開始時間が今日は変だなぁ」なんて思っただけで、この本番のことはすっかり忘れていました。午前中の稽古で「今日のプレミエーレン・フィーバーでやるシーンは・・・」なんて話になってやっと思い出しました。
本番であることを当日まで気づかないと言うことは、日本ではまず起こり得ないですよね・・・。まぁ本番が日常化していることの現れのような気もするけど。
稽古着での稽古を見せるのですが、一応本番だから、きちんと稽古着とか小道具とか、稽古の時より気を使ってきちんとそろえなくてはいけないのですが、実は今シーズンになってからジェルモンの稽古着であるコートが見つからない。たぶん先シーズンでもう稽古は終わりだと早合点したスタッフがFundus(公演が終わったプロダクションの衣装や履き物、小道具を管理しているところ)に持って行ってしまったのでしょう。
見つけて取り返してきましたが、良く見ると、「グレートヒェン」と書いてある。「グレートヒェン」というタイトルの芝居で使ったのでしょう。
結構、時々面白い事もあります。
そう言えば先週のナブッコの公演の時のことですが、合唱団員の一人が、休憩中に僕が段取りの確認を舞台でしているときに僕のところにきました。自分の帽子を示しながら「この帽子をかぶれるという事は僕にとって名誉なことなんだ」と言うので、何のことかと思ったら、その帽には「Rigoletto KOMORI」と書いてあるのです。僕がリゴレットの時に使っていた帽子だったんですね。
彼は合唱ですが僕と同じバリトンで、僕のことはずいぶん気に入ってくれているみたいです。本番でも稽古でも僕のシーンはよく袖で聴いてくれているし、本番のあとなどによく声をかけてほめてくれます。嬉しいことです
いつかは、僕が明らかに不当に悪い批評を新聞でされたときに批評家を揶揄したカリカチュアのカードをくれて慰めてくれたこともありましたっけ。
リゴレットを歌ってからもう3年以上経っているわけでこの劇場での僕の時間もずいぶん積み重なってきてるんだなぁと言う実感を持った次第です。
2004年9月7日(火) No.339