栗拾い


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昨日、マグデブルクの「フィガロの結婚」は、結局歌いませんでした。午前中に電話があり、「うちのバリトンがやはり歌うことになったので、来て頂かなくて結構です。準備してくれて感謝します」・・・
まぁこういうことはよくあるようです。でも、こっちはもう車で出るばかりになっていて、うちのドイツ語訳とマグデブルクで使っている役の違いがどこかとか、色々なことを考えて準備をしていたから、拍子抜けしたのも事実。



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今日は「椿姫」の本番でしたが、そこで楽屋が一緒のアルフレード役のマティアス・シュルツ君に聞いてみたら「僕はもうそういうの受け付けないことにしてる。代役の依頼が来た時点で、歌うのか歌わないのかはっきりしない依頼は引き受けない」とのこと。まぁ僕はまだ代役の経験がないから、その辺の事情もわからなかったので仕方ないですが、今度からはちょっと対応を考えねばね。
掲示板でぴかチュウままさんが書いてくれていたけど、もしこの代役をやっていたら多分乾燥機をすぐ買っただろうなぁ。残念。
今日の椿姫には嫁さんが来てくれました。さっき終わった後に色々話もしていたのだけど、今回のジェルモンは、今までゲラで歌った役柄の中で「完成度」という点では一番かもしれない。役がものすごく大きくないという事がもちろん関係しているけど、薄くなっているところがないというか、まんべんなく、バランスよくできていると思う。今日も気持ちよく務められました。
・・・最終的には気持ちよく務められたといえるけど、実は最初の登場の前はアクシデントがありまして。
舞台稽古の最後の方で、ジェルモンの最初の登場の時に手袋を使うことになって、演出家にとってはこの手袋での芝居が結構重要なのね。でも楽屋の担当者が今日、手袋を準備するのを忘れたらしい。僕はいつもチェックは早めにするんだけど、今日はどういう訳か手袋がないのに気がついたのが出番の数分前だったのです。で、探しまくって本当に出番の数秒前まで楽屋で探して「ええい、もういい!」と楽屋を走って飛び出して逆側の袖まで走っていったら、扉の前にあった黒い板に衝突。「どっかーん」という大音響を劇場中に響かせてしまった・・・。
「いててて」と思いながら、また「どうして手袋がないせいで俺がこんなにどたばたしなくちゃ行けないんだよ・・・」と思いながら、もう私は舞台の上におりました。それで集中力はもうどこかへ行ってしまって、二重唱の最後のあたりになるまでどう演じたか、どう歌ったか全然憶えておりません・・・。
でも嫁さんによれば、最初数分くらい、えらい不機嫌そうな顔をしていたらしいけど(まぁこれはジェルモンの芝居とも矛盾ないしね)あとは別に芝居的におかしいところはなかったらしい。
休憩中に演出家に食堂であったので、その大音響と手袋の言い訳はしておきました。
ところで今日は、掲示板にも登場してくれているある方の突然の訪問がありました。久しぶりの再会で、とても嬉しかった。よく考えてみたらこの人に聴いてもらったのは95年以来だわいな。夜行列車で無事に我が家に着いたかしら?
・・・あれ、タイトルが「栗拾い」だった・・・。そうか、本番前にこれを書き始めて、その時は午前中に健登と嫁さんと3人で栗拾いに行ったことを中心に書こうと思っていたんだっけ。今それに気がついて嫁さんと二人で爆笑してしまった。
そう、今日は天気のよい日曜日でした。3人で散歩して栗を拾って歩きました。写真の並木は、ずーっと栗の木の並木なんです。といっても食べられない栗なんだけど。この木はドイツ語ではKastanieで、僕らが考えるいわゆる栗の木はMaronieとか呼ぶのを聞いた様に思っていたけど、今調べたらそっちは Esskasitanieつまり食べられる栗、と言う意味ですね。Kastanieの方はイガイガの様子が全然違うんですね。Esskastanieの木もいくつかはあって、アップの写真はそっちの食べられる方の栗です。
もうここ2週間くらいでバケツ一杯くらいの栗は拾ったなぁ。
2004年10月3日(日) No.348

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