前回に続いて新選組!の音楽について


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前回、「山南さんの怒りのテーマ」(ミファソドシー)についてお話ししましたが、また新選組の音楽について思ったことがあったので書いてみます。
とあるテレビ雑誌にこの第40回では「最初から見ている視聴者にしかわからないぐっと来るシーンがある」というようなことが書いてあったそうですね。うちの嫁さんが、新選組!に途中乗車してきた妹と国際電話で話していたときに、その40話の話をしている途中で嫁さんが「平助と沖田が話してるところで多摩時代の音楽が流れて来ちゃってさぁ。これがまた泣けるんだ・・・」といったところで、妹は「それだったのか・・・・」と唸っておりました。
まぁ多摩時代というのは実は違って試衛館時代、という事になりましょうが。


確かに後半、音楽も結構重々しいものが中心だから、昔の試衛館時代の音楽を知らなくても、全然雰囲気の違う音楽がかかったこと自体は効果があると思うんですけどね。
でも、「あっ、これは試衛館の頃の音楽だ」と気がつく視聴者はどのくらいいるんだろう・・・と、少し考えてしまいました。音楽は基本的に無意識に訴えかけるべきものだから(僕はそう信じている)これが彼らののどかな青春時代を象徴する音楽だと腹でわかっている超熱心な視聴者と、そうでも無い人ではずいぶんこの音楽の効果というのは違うでしょうね。
それとね、ここ二日くらいブロウチェクの稽古がなかったこともあり、蜷川演出のハムレットを見る時間が出来ました。すばらしいですね。いやぁ藤原君。すごい。でもびっくりしたのは、レアティーズを演じている井上さんという役者さんは芸大の声楽科の学生さんなんですって?声楽やっている人でこんなに容姿端麗で芝居もうまかったら引く手あまたでしょうね。でもオペラより芝居の方が面白いかなぁ。
若い人が多いキャスティングで、ことのほか、はかなさ、せつなさを観客に印象づける舞台ですね。装置も衣装も素晴らしかった。
で、ちょっとまた考えちゃったのは、この最後のシーン。瀕死のハムレットとレアティーズが語り合うシーンですが、僕の間違いでなければバックにかかっていた音楽はビゼーの「真珠取り」というオペラのテノールとバリトンの二重唱のメロディーだったのではないかと思います。このハムレットの最後のシーンと真珠取りはどう関係あるんだっけ?と自然に考えてしまうのですね。それが舞台への集中力をある程度割り引かせるので、これは残念な感じがしました。メロディーとしてはきれいだし、凄くこのシーンにあっている様にも感じるんだけど、その反面、ね。
僕は残念ながらこのオペラの全容を知らないので、もしかしたらオーケストラだけの部分でこのメロディーが演奏される部分があるのかも知れないけど、あの2重唱は有名だし、2重唱を知る人にはやっぱりその印象が強いでしょう。
となるとね、いくらインストゥルメンタルとはいえ、その音楽の元になっている文学の状況やドラマ性が無意識のうちにも呼び起こされるのですね。
深読みをすれば、このテノールとバリトンの間柄を、オフェーリアを間に挟んだ二人の男性としてのハムレットとレアティーズに置き換えての、この音楽の採用、という事もあるかも知れない。でもさっき書いたとおり、僕の考えでは音楽は無意識に作用するべきなので、こういう知的な思考をその音楽によって強要する時点でもういかんのではないかと思ったりもします。
むずかしいですね。
あまり関係ありませんが、とある友人が嫁さんに教えてくれた情報。ドイツのeBayというオークションサイトで新選組人形が出品されているようです。なんのこっちゃ。写真はそれ。
2004年10月22日(金) No.351

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