先週の金曜日に日本に来ました。そして明日はまたドイツに飛びます。とほほ。せっかく時差がなおったところで、また時差を作りに行くわけです・・・。まぁこれはもちろん仕方のないことで、最初から計画されていたことでもあるのですが。今週の金曜と日曜にブロウチェクの本番がアルテンブルクであり、これにはどうしても僕は出演しなくてはいけません。換えがきく役柄じゃないですからね。
アルテンブルクでのブロウチェクの本番、3回目と4回目の間が8日間あくので、その間に東京で「フィレンツェの悲劇」の立ち稽古を集中的にやろうと言うことで、この8日間に一往復することにしたのです。
かなり長い間、日記を書けなかったわけですが、これには色々ありました。帰国一週間前に書いたのが最後でしたね。で、色々と3ヶ月家を空ける準備があったのですが、その大詰めの21日、出発二日前に突然健登が高熱を出しました。ありゃりゃ、と思っていたら、吐くし、熱も下がらないしで、本当に嫁さんは今回の帰国を取りやめて、僕の二回目の帰国(7/5)の時に一緒に飛ぶ方が良いと言うし、でもキャンセルも難しそうだし、と色々迷いながら最後の掃除とか片づけ、鍵を人に預けたり、とやっておりました。
同じ日から幼稚園を休みはじめた子供が10人いたそうです。その日、急に暑くなったんですね。暑気あたりというんでしょうか。健登の場合は日本人だし、ドイツ人の子供ほど暑さに弱いとは思えないんだけど、汗をかいて、それから冷やしてしまったこともあるみたい。
ホメオパシー医師に2日間で6回くらい電話をして、指示をもらってレメディーをあげながら準備をしていました。嫁さんはやっぱり12時間のフライトが心配で(当たり前ですけど)、僕は、飛ばなかった場合に病気の健登と登紀子が二人でゲラに残り、一度留守にするつもりにした家に残ることや、キャンセルのこととか総合的に考えて飛んだ方が良いと主張し、ホメオパシー医師のヴェッカーさんは絶対に飛んでも大丈夫と太鼓判を押し、結局飛んだわけです。
でも、吐き気が止まらず、飛行機の中でも何度も吐きました。
しかも今回、まずかったのは、飛行機の予約が予約内容の変更があったせいで並びの咳を押さえていなかったのです。旅行会社の話では、ANAは真ん中4列は予約で押さえられないから、当日早く行けばそこが取れるはずで、かえって4席を3人で取れるかも知れない、とのこと。で、ライプツィヒに早めに行く。
しかし、この23日という日は、料金が変わる境目の日で、少し休めに飛ぼうという人が集中してオーバーブッキング。なんと正真正銘の満席でした。こんなのはじめて。前日のコンフェデレーションズカップのブラジル戦を見に来た日本人のツーリストも多かったのかも知れません。
そんな事情で、やっぱり3人続きが取れない。色々交渉したけど、替えるための空席が一つもないと。で、仕方がないので搭乗してから、2席と1席に分かれた2席の方の隣の席の方に、事情を説明して変わってもらえないか頼んでみました。
その方は快く替わって下さって、僕らは大変助かりました。通路側の席を意識して取られた方なのに、真ん中の窮屈な席と替わって下さって、申し訳ないと思いながらも大変ありがたかったです。飛行機の中でも何度も吐いたし、やっぱり両親が一緒じゃないと不安だったと思います。
あと、ライプツィヒの空港まで友人のイェルクが車で送ってくれて、本当は娘のソフィアが空港を見たいといっていたんだけど、健登と同じ日に熱を出してダウン。これも本当にありがたかった。
で、何とか成田到着。登紀子のお母さんが迎えに来てくれていて、さぁどうやって帰ろうか、と思案する。健登は丸3日くらい何も食べていない上に高熱ですごく衰弱しているから、ここからさらに電車はきついだろう。もう本当に、飲んだ水まで吐いちゃうのです。でも僕なりにレメディーの選択をアレンジして、腹痛と嘔吐はこの日で止まったんですけどね。一応オシッコはでていたし、肌の感じからしても脱水症状まで入っていなかった。
で、レンタカー。いや、僕の免許は失効している。だめ。タクシー?高そうだなーと思いつつ、この際仕方あるまい!と行ってみると、料金均一制のタクシーがあるんですね。で、成田から亀戸まで高速料金込みで約1万6千円。意外に安かった。荷物を宅急便にするつもりもあったから、もし預けて成田エクスプレスなら4人と宅急便代で多分15000円くらい。あまり変わりませんでした。意外。
これが24日ですね。
そして僕はその日の夜にもう「フィレンツェの悲劇」の音楽稽古のために千駄ヶ谷の二期会へ。2時間きっちりフル・ヴォイスで歌いました。時差をなおすためにも体を働かせた方が良い。
25日から今日28日まで集中的に立ち稽古。細かくは書きませんが、すごい激しい演出です。こんな感じだろうと思ってはいましたが、それにしても・・・。数年前の僕だったら「ちょっとそれは勘弁して下さい」と言うであろう箇所がいくつもあります。
今日までの立ち稽古、計4回で全体の8割近くまで立ちがつきました。あと一回で全部ついただろうけど、もう明日はドイツへ飛ばにゃ。
演出の内容には、後の日記で若干触れることも出来るかと思います。全部種明かしは出来ないですけどね。カロリーネ・グルーバーはドイツのオペラ演出の最先端を担う一人ですから、そういう意味ではヨーロッパのオペラ演出のトレンドを東京の聴衆の前で披露する、という事ですね。
カロリーネとはDu(親称)で話せているんだけど、僕にとってはこれはすごくありがたいです。やっぱり「あなた」という言い方だと、仕事の内容自体もあまりつっこまない感じになると思う。「きみ」で呼び合うと、共同作業がぐっと深まる感じがします。事実、すごく稽古はうまく行っていて、彼女は僕の芝居にとても満足してくれているようです。乗ってきたところで僕がドイツに戻ってしまうのをとても残念がっていました。そう、ドイツの週刊誌を買ってきてくれと頼まれたな。
では、いざ、ゲラへ。そうそう、東京は最高の暑さで36.2度だったそうですが、ゲラは今日、雹(ひょう)が降ったそうです。勘弁して欲しいわ。