ポーニッツでの古城コンサート



image


いやいや、怒濤の忙しさでサイトの更新どころか、日常的なことまでかなり滞っておりますが、昨日のコンサートが終わって、気持ち的には一段落しました。
実はまだゆっくり日記など書いている場合ではないのですが、簡単にコンサートの報告をすることにします。プログラム自体は去年の夏に東京の津田ホールで歌ったものとほとんど同じだったのですが、やはりホールの大きさもお客様も(特に国籍、年齢層など)違うので、雰囲気というのはまた新しく、とても新鮮な気持ちになりました。


サイトの更新をしていないと書きましたが、コンサート情報に至ってはかなり長い間更新していなくて、誠に申し訳ないです。ちょっとページの構成を見直そうと管理人さんと東京で話したところです。時間が出来たら(いつ?)取り組みますので。とりあえず今年の情報くらいは今の構成のまま近日中に補足します。


image


さて、オペラを4本、並行して稽古が進んでいる中でのリサイタル。はっきり言って無茶です。誰が企画した?もちろん僕ですが、こんな稽古日程になるとは思っていなかったのです。
そして、この日、午前中に「椿姫」のGPがありました。オペラのGPを午前中に歌った同じ日の夜に、リサイタルは普通しませんよね・・・。でも、このGPのことは前からはっきりしていて、僕も了承した上で計画を組んでいました。他の3本のオペラの稽古のことは予定外だったのですが。このGPでもハプニングがありましたが、これは別エントリで書くことにします。急遽ジェルモンを歌うことになっちゃったのです。
さて、お城とは言っても、そんなに大きなお城ではありません。建設の経緯とかそういうのはちょっと不勉強でわかっていないのですが、とても美しいお城です。


image


管理をしているドクター・メーリッヒという方が、一人一人玄関で訪問者を迎え入れているのが、まずとても好ましい感じがしました。僕も今日が初対面だったのですが、ライオンの様な(失礼)ひげをたくわえた紳士です。
ホールの隣の部屋はテーブルが並んでいて飲み物を飲んでくつろげる様になっています。
この辺は僕はいつもドイツで感心することなんだけど、古いものを活かしながら新しいものを入れていくのが本当にうまいと思う。スマートというか。


image


僕は東京生まれだけど、東京の町並みがゴチャゴチャしている部分はあんまり好きじゃありません。土地自体が十分あるとかかないとか、そういう事情もあると思うけど、やっぱり大事にしているポイントが違うんだと思う。
ドイツでは、古い建物を守る法律ががっちりあるという事情もあるけど、古い建物が多く残っていて、町並みの眺めにハーモニーがある感じがする。古い建物を活かしながら新しい建築が入ってきている。新しい建築物が入ってくるときも、既存の伝統ある建築との調和を考えた上で計画されている感じがするのです。無責任に印象を述べてしまうとそういう感じがするのです。
こういう古いお城の中でも照明とかそういうものはとても上手にアレンジされていて、使われている技術とか機材はかなり新しいものなんですよね。間接照明が好きな僕はこう言うところでも唸ってしまう。
逆にドイツ人が東京に行くと「未来都市」みたいな印象を受けるようですね。
さて、コンサートですが、当日売りだけだったにもかかわらずほとんど満員になりました。一応この地方では僕の名前でも人が集まる部分はあるらしい。アルテンブルクの近くですからね。
ブラームスの「四つの厳粛な歌」もこれで歌うのは4回目だし、かなり自分のナチュラルなところで歌える様になりました。こういう聖書からテキストをとった様なものではお客様の顔もなんだかまじめな顔なんだけど、4曲目の有名な愛を讃える節になると少し皆さんの表情もくだけてくる。
H.ヴォルフはかなり難易度が高い曲ばかりなのですが、やっぱりこっちも何度か歌ってくるうちに声楽的な精度も上がってきました。特に二曲目の「春に」が難しいんですよね・・・。


image


休憩でドクター・メーリッヒが楽屋にいらして言うには「この小さい部屋ではちょっと声が響きすぎるので、後ろのドアを開けても良いか」と。ドアを開けて響きが減るかどうかは確信がありませんでしたが、そうしてもらって、後半のアリアの部にはいると、1曲目を終わったところで、お二人隣の部屋に避難(?)された方がいらした。部屋が小さいからと言って「フィガロの結婚」の伯爵のアリアを小さい声で歌うわけには行きませんもんね。うるさかったのかなぁ。ごめんなさい。歌手としてはお客様に非難されちゃうと気持ちとしては複雑・・・。
でもリゴレットのアリアも終わって全プログラムが終わるとやんやの大喝采になって、アンコールも二曲歌いました。
何人かお客様が楽屋に来て下さったけど、やっぱりリートでのドイツ語を褒めてくれる人が多い。あとR.シュトラウスの歌曲。これは嬉しいですね。R.シュトラウスの歌曲は、僕は本当に何も考えなくても体が勝手に歌ってしまう感じなんですね。右脳で歌っているという感じかなぁ。解釈がどうとか、考えるまでもないという感じなのです。相性が良いんでしょうね。


image

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です