小森輝彦の記事が「音楽の友」に掲載されました

掲示板でもえーちゃんさんから書込をして頂きましたが、音楽の友に小森輝彦と服部容子のデュオ・リサイタルの批評が掲載されました。


音楽の友10月号
小森輝彦(Br)服部容子(P)
 デュオ・リサイタルではあったが実質的には小森のバリトン・リサイタルの形だった。が、ピアノ・ソロはリスト《2つの伝説》(<小鳥に語るアッシジの聖フランチェスコ><波を渡る聖フランチェスコ>)を果敢に弾き上げた。リストの深いカトリック信仰から生まれた2曲と言われるが、信仰心のない私なんかには壮麗ヴィルトゥオーゾ作品であり、そうした耳で聴くと、服部の演奏は技を技としない絢爛の再現だった。
 小森は前半にシューマン《詩人の恋》、リスト《先祖の墓》他、後半ではワーグナー<夕星の歌>(《タンホイザー》)、ヴォータンの告別(《ワルキューレ》)などを歌った。小森の歌唱でとっさに感じたのは、ディクションが非常に円滑だったこと。ドイツで日常を過ごす自然さがあった。
《詩人の恋》では彼は抒情詩人を演じつつ、しだいに同化する。そして歌とともに、一喜一憂する。ドラマタイズの精妙さはオペラ人の面目でもあろう。<夕星の歌>も<ヴォータンの告別>も堪能させたが、ことに前者が優れ、ヴォルフラムの秘めた恋情が、そくそくと胸に迫った。(8月10日・東京文化会館(小))

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です