ヴァルドルフ小学校の準備、ヴァイマール



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ヴァルドルフ小学校設立の動きがゲラであることは前にも書いたと思いますが、今日は一期生として入学する予定の親と関係者の集まりがありました。
その後、嫁さんは電車でヴァイマールへ行って、オイリュトミーの講習を受けるという予定だったのですが、集まりの方で熱心に話していたら電車の時間を過ぎてしまったし、もう今乗っているギャランでアウトバーンを走ることもないかもな、と思ったのもあり、健登も行きたいと言ったので、3人でヴァイマールまでドライブがてら行ってきました。3時間の講習なので、僕と健登はゲラに先に戻ろうと思ったら、何と偶然にも今日はヴァイマールのヴァルドルフ小学校の「Tag der offenen Tür」だというので、健登と二人で行ってきました。この「Tag der offenen Tür」は直訳すると「ドアを開いた日」、劇場の場合は「ファン感謝デー」と訳してきたけど、小学校の場合は・・・?


ヴァルドルフ教育に関するセミナーや集会には出来る範囲で積極的に参加してきたのですが、当然日本にいた3ヶ月は全く参加できなかったわけで、これからは少しその分を取り返さなくちゃみたいな気持ちもあって、健登が入学するまでは何とか無理をしてでも、時間をやりくりしようと思っています。
今日は、ヴァルドルフ小学校に子供を入れようと届け出をした人が多くいるにもかかわらず、こういう集まりに参加する親が少ないことが話題になったので、ちょっとその辺で色々言いたいことがあったこともあり、色々発言してきました。
実は水曜日に、校長先生的な役割になるGründungslehrerという立場のハースさんの講演があり、僕も行ってきました。テーマは「Mehr Demokratie durch selbstbestimmtes Schulewesen – Die Waldorfschule als Lernort für soziale Kompetenz」というもので、とても面白かった。これ、訳すの難しいなぁ。「自らの判断による学校の活動を通して、より民主主義を ー 社会的判断力を学ぶ場としてのヴァルドルフ小学校」・・・直訳だけど。
これにはかなり、親の参加があったんだけど、この後の質問コーナーでのやりとりに僕はかなり憤慨したんです。ヴァルドルフ教育が素晴らしいことには疑問はないんだけど、現場では色々問題があり得ますよね。詳しく書いているとこれだけになっちゃうのでやめます。成績表がないのはやっぱり問題じゃないのか?という、ある種典型的な質問だったので、変に盛り上がっちゃった事もあったんですが。


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この辺のことを直接ハースさんとも話したかったし、今日は意気込んでいったんだけど、時間も限られていて、他のテーマもあったし、この話には踏み込めなかった・・・また今度。
で、ヴァイマールのシュタイナーハウスに登紀子を降ろして帰ろうとしたら、ヴァイマールのヴァルドルフ小学校の「ドアの開いた日」だと聞いたら、健登の目が輝いちゃって。健登はヴァルドルフ幼稚園が大好きで「健登はヴァルドルフ幼稚園に行ってるから、ヴァルドルフ小学校に行きたいんだよ」なんてよく言ってます。
で、道を教えてもらってヴァルドルフ小学校へ。


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やっぱり良いなぁーと学校を見てすぐに思います。庭とかにある遊具も全部木で出来てるしなぁ。良い感じ。
まず、小さい子用のイベントへ。「Schiffchen blasen」船を吹いて動かす遊びですが、これがまたクルミの殻に小さなろうそくを立てたもので、これを水に浮かべて吹くんですね。やっているのを見てすぐわかるけど、吹くのが強すぎると火が消えちゃうし、弱すぎると動かない。


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うまく息が当たらないともちろん動かない。集中力と忍耐力を必要とする遊びです。一種にやっていたロシア人らしき子供はすぐに飽きて手で動かそうとするんだけど、健登は言われたことをきちんとやろうとするタイプだから(親ばか)しばらく遊んでいました。


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見事な絵が描かれている黒板がたくさんありました。シュタイナーが講義の時に黒板に描いた絵が「シュタイナー、残された黒板絵」という画集として出版されていますが、高くてちょっと手が出せなかった。でもシュタイナーの講義集などに入っている黒板絵を見ても、その色遣いなどの雄弁さに驚かされます。こんなに黒板って使えるもんなんですね。


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大人向けの講演などは健登と一緒では無理なので、にじみ絵のイベントに参加しました。
実は健登はもう幼稚園で毎週の様にやっていることだけど、僕は初めて。木の板に水に濡らした画用紙を置いて、間に入った空気をスポンジで押し出す作業からはじめます。
そこに、パレットを使わずに直接壺、つまりインクの瓶から色をとって描いていくのがポイント。シュタイナーの色彩論の講義は僕も読みましたが、まだよくわかっていないこともある。遠近法に関するシュタイナーの主張にははっとさせられましたが。


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今日使ったのは、下地が黄色、そして茶色を二種類と緑。この二種類の茶色がなかなか面白かった。オリーブ色っぽい茶色と赤っぽい茶色でした。先生が繰り返し行っていたのは、描く作業の中で色々とがどんな風な関係を持ってくるかを見つめるのが大事であることや、色が語りはじめるメッセージに耳を傾けると言うことでした。
同じ芸術方面の仕事をしているとはいえ、絵画に関しては経験がない。「色の声を聴け」と言われても(似た名前の小説がありましたね)、最初は「なんのこっちゃ」という感じでした。難しい。
でも、黙々と作業しているとなんだか色の「機嫌」みたいなものがあるのが何となくわかってきた。他の色が入ってきたときに、面白い動きをするのです。先生が指摘していてなるほどと思ったのは、すごく均等に地塗りをしてあっても、強い色が入ってくると、地塗りの黄色がその強い色のまわりに集まってきて、戦うというか自己主張するのです。面白い。


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同じ色の組み合わせで、小学校の生徒が描いた絵も見せてもらいましたが、きれいでした。小学生とはいえ、僕らよりは訓練されているわけです。
こういう作業を小学校からやっていったら、色に対する繊細な感覚というのはバリバリに育ちますよね。すごいなぁ。
僕なんか一応小学校の時は絵画教室みたいなところで絵は習っていたけど、言ってみればどうやって大人の絵を真似するか、みたいな会が教育だったからね。「なんのこっちゃ」となっちゃうわけです。
偶然に訪れたヴァイマールのヴァルドルフ小学校でしたが、実り多い一日でした。

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