今年の夏に東京でJ.ブラームスの「美しいマゲローネ」という歌曲集を歌う のですが、今まで聞き慣れた録音だけでなくて、別の歌手の録音もきいてみたくなりました。それで情報を集めたんだけど、同じCDが買い方によってこんなにも値段が違うのかと、ちょっとびっくりした次第。ドイツのeBayというオークションサイトとアマゾンです。eBayは日本には一度進出してから撤退したんですよね、たしか。
僕はなんと言っても、歌曲歌手としてはフィッシャー=ディースカウがすばらしいと思っていて、この「美しいマゲローネ」に関しても彼の録音はもちろんきいています。二種類持っていて、1回ライブでも聴きました。ライブはサントリーホールでしたね。すばらしかった。
録音も両方ライブ録音で、リヒテルのピアノと、ムーアのピアノ。全然違う演奏なんだけど、両方ともそれぞれ味わい深い。サントリーホールではハルトムート・ヘル氏のピアノでした。
リヒテルのピアノが一番ブラームスの音楽に合っているように思うんだけど、何度も聞き込んでみると色々と面白い試みがきけるのはやはりムーアとの演奏。ザルツブルグのライブですが、それこそ僕が生まれた頃の演奏です。若いときから完成度が高い人ですねー。
僕がディースカウを好きなのは、レッスンを受けたからとかではなくて、もう芸大に入ったときから彼のCDはとことん聴きまくり、聴き倒しています。本当に何度も何度も隅々まで聴きました。無声子音にこんなに時間をかけて良いのか!?とか、語尾のtをこういう風に発音すると、半ば摩擦音みたいに扱えて、音の強さやタッチだけでなくて長さもコントロールできるのか!とか、聴く度にもう驚いたり圧倒されたりの連続です。
僕がドイツでリートを本格的に、継続的に師事したのは、ベルリン芸術大学の歌曲講座でディースカウのアシスタント的立場だった、ギゼラ・アンドレアス女史だけど、彼女が「ディースカウ氏ほど、言葉というものを意志的に意図的に使った歌手は他にいない」と言っていました。本当にその通りです。この意味では怪物ね。
話がそれた。よくそれます。まぁいいや。
で、ディースカウの演奏が良いからってディースカウばっかり聴いていないで他も聴こうキャンペーン実施中。プライのも持ってる。音程がちょっと不安定だけど男性的で素敵。アンドレアス・シュミット。若々しいけど全体的にはそれほど起伏があるとはいえない。中山悌一。当時の日本でこんな演奏を出来る人がいたというのは純粋に驚き。すごい演奏ですよ。ピアノは小林道夫さんかな。良い声だし。こういうのドイツでも売ったらいいのに。
で、他を探していたら、他の方の助言もいただいて、プレガルディアンのCDにたどり着いた。で検索したのです。で、元々このエントリのテーマ。
アマゾンで、イギリスからの輸入盤を買うと、どういうわけか43ユーロもする。これ、5000円以上ですね。で、オークションのeBayで同じものが、2.99ユーロであった。送料あわせても6ユーロ弱。800円くらい。どうなってんの?
このeBayのCDね、中古かと思ったんですよ、最初。でもね、新品。
市場経済というのはわからんわ。ここでも恩恵は被っていると思いますが。