今日は、BaP(Bühne am Park)で、ロルツィングのオペラ「ウンディーネ」のプレミエがあって、僕は稽古もないので聴きに行ってきました。
「聴きに」というのは、このプロダクションは演奏会形式なんですね。よく考えたら、僕が自分の参加していない劇場のプロダクションのプレミエを聴きに行くというのはかなり珍しい。何年かぶりです。
ウンディーネというのは、水の精のことですが、人魚と訳されていることも多いように思うな。よく取り上げられるテーマで、このロルツィングの作品以外にも、E.T.A. ホフマンの同名のオペラ、ドヴォルジャークの「ルサルカ」など、オペラとして作曲された作品が結構たくさんあります。水の精ウンディーネには魂が無く、人間の男性と結婚することで魂を得る、という事なんですな。
実は、この中のバリトンの役、主役のウンディーネの父で水の国の王キューレボルンと言う役は、僕が歌うはずだったらしいです。でも、プレミエの日程が色々な都合からこの日しかなくなって、そうしたらトスカのプレミエ2週間前で、当然僕は歌えない。今シーズンから入ったバリトンのセルシュ・ノヴィクくんが歌いました。ロシア人なんだけど、オランダ国籍で、声はロシアのバリトンだなぁと言う感じの押し出しの強いバリトンです。ダイナミックレンジも広くて、とても良かったです。
でも一番たくさん拍手をもらっていたのは、やはり主役のフランツィスカ。前記事で「ロルツィングのオペラ『ウンディーネ』で、またフランツィスカ・ラウホを聴くことが出来ます!」という見出しの記事が出ていました。もうすっかりゲラのスターになりましたね、彼女は。コジマも楽しみです。
全然関係ありませんが、また健登のチェロの話。
今日も起きたらすぐにチェロを取り出して、さらいまくり。すごい勤勉。
でも、明らかに昨日よりうまくなっているからすごい。嫁さんが言っていたけど、一緒にレッスンを受けているカール・クリスティアンと比べると、「弾きたい〜」という欲求を抑えきれないカールに比べて、健登は先生の言うことをわりときっちりやろうとするらしい。衝動みたいなのが弱いんじゃないか?と嫁さんは言うけど、僕はこれは健登の美点だと思っています。(単なる親ばか)
嫁さんがペンタトニック(五音音階)の歌を、幼稚園のままさんコーラスで積極的に取り上げている話を日記に書いたけれど、このチェロの開放弦の音程は、まさにその五音音階。構成音は、いわゆる五音音階とは違うんですが、弦と弦とが5度の音程になっているという点でね。
五度というのは、ヴァルドルフ教育では幼少時に大切な音程なんです。9歳以前の子供は、短調、長調の歌を歌ったりその雰囲気を感じたり歌ったりは出来るけれど、自分の中に本来の感情というものが大人ほど発達していないので、深くその音楽の本質と結びつくことはまだできない、という考え方で、だから長調でも短調でもないペンタトニックの歌を多く歌うべきだと。僕の理解では、ニセの長調、短調の雰囲気を自分の中に作ってしまうよりは、感情が体の中に根を下ろすまで待つ、という感じです。
ラの音を中心に、上下に5度がミとレ、更に五度上下に広がってシとミ。この五音がいわゆる五音音階です。
チェロの場合は、厳密には音の構成が違いますが、開放弦の音程はそれぞれ五度で、この五度という音程に存分に触れられると言う点で素晴らしい。
レッスンでやったことをおさらいして、まず最初に健登が僕に聴かせてくれたのは、上の弦から順にピチカートしながら「Ich bin Cello!」(僕はチェロだよ!)とその音程で歌う練習。
Ich(ラ) bin(レ) Cel-(ソ) lo(ド)という具合。こういう練習曲がたくさんあって、もう本当に飽きずにずっと練習していましたよ。
Teruさんおひさしぶりです。りょーこです。プレミエといえば、本日MetでFirst Emperor観てきました!始皇帝のお話です。Metの反則級の演出用機械たちに、ワダエミの派手やかな衣装、チャン・イーモウの絢爛豪華でシンボリックな演出、というわけで、素敵な舞台でした!!歌は、難しそうなわりに、あんまり華がないように思ったのですが。。。あくまで個人的な感想です。。。
しかし、京劇の本物の役者さんが出てきたり、ドミンゴが歌うだけでなく、打楽器まで演奏しちゃったり、オーケストラの皆さんも声を学期にする部分があったりと、エンターテイメントとしては本当に超弩級でした!!
プロダクション・スタッフ総アジアのプロダクションで、同じアジア出身の作曲家や、京劇の役者がものすごい賞賛を受けているのを観るのは素直に気持ちよかったです!!(日本からもワダエミが参加しているし。)
>りょーこさん
お久しぶりです!お元気そうで何よりです。
始皇帝はタン・ドゥンの新作ですね!タン・ドゥンは、僕が学んだベルリン芸術大学の作曲科の教授でした、たしか。もちろん僕はあまり関係なかったけどね。
本人が指揮したんですね。すごいなぁ。
そういえば、年末にメトで日本人ソプラノがデビューしましたよね?観ませんでしたか?
ロルツィングのオペラと言えば新国立劇場小劇場シリーズで「オペラの稽古」という作品を観ました。
義兄のバリトン歌手太田直樹が出演しているので、観に行った作品ですがなかなか魅力的な作品でした。
日本でロルツィングの作品が取り上げられる機会はとっても少ないと思うのですが、ドイツでは比較的頻繁に上演されるのでしょうか?
タン・ドゥンの「始皇帝」はNYまで行って観に行きたかった作品です。
サントリーホール委嘱作でタン・ドゥンが作曲した「TEA」は私的にはいまいちだったのですが、「始皇帝」は出演者、演出家、スタッフがとにかく豪華!!
当然(?)気がついた時には全席、全公演完売でした・・・。
NYのメトロポリタンオペラは1シーズンに1作品、委嘱作を初演されるのでしょうか?
TOBIAS PICKER作曲の「アメリカの悲劇(AN AMERICAN TRAGEDY」を一年前、NYのメトロポリタンオペラで観ました。
「暗い作品で2度と観たくない」と言っている人もいましたが、私は音楽的にも演出も出演者の歌唱も演技もかなり気に入った作品です。
Teruさん、確か、その方は森谷真理さんというかたではないでしょうか?1.5時間程度の短縮英語版魔笛という公演がクリスマスシーズンに3回あって、それでデビューされたと聞いています。その日、どうしても、どうしても都合がつかなくて見に行けなく、悔しい思いをしました。日本人5人目の快挙ですよー。
こちらの魔笛は今回新プロダクションなのですが、相当エンターテイメントです。たとえばタミーノがアリアを歌っているシーンの後ろにものすごくでかい熊のぬいぐるみがどんどん出てきてアリアにあわせてぴょんぴょん踊ったりするので、普通は笑いが出ないだろうーってところで、みんな笑ってみています。なかなか楽しいです。
>えーちゃんさん
ロルツィングのオペラとして有名なのは「皇帝と刀鍛冶(Zar und Zimmermann)」とか「密猟者(Wildschutz)」とかありますね。僕はこの両方のアリアだけは歌ったことはあります。
来シーズンの演目として、皇帝と刀鍛冶はクレジットされています。
現代オペラというと、暗い題材が多くなるように思いますが、この現代にあっては自然なことなんでしょうかね。音楽の中にあるべき「癒し」のあり方も変わってくるように思いますね。
>りょーこさん
そうだと思います。メトでデビューというのはすごいですよね。
前の四人は全て蝶々さんという記述をどこかで見ましたが、僕の記憶ではテノールの市原多朗さんはマクベスのマルコムかマクダフを歌っていらっしゃると思うんだけど・・・。勘違いかなぁ。
うちの劇場でもEine kleine Zauberflöteというプロダクションがありました。同じような感じだと思います。やはり子供が最後まで見られる長さと内容のプロダクションを積極的に制作するのは大事ですよね。
メト魔笛でデビューの方たまたま親友の同級生で話題になりました。すごいことですよね??私は直接知らない方だけど、すごくうれしい気持です。
>キヨミンさん
そうですか、お友達の同級生とは。本当にすごいですよね。アメリカで歌っている日本人というのはあまり知り合いがいないのだけれど、結構多いんでしょうか。