ヴァルドルフ小学校の入学式


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昨日9月1日は、我が息子、健登の小学校入学式でした。昨年ゲラに設立されたヴァルドルフ小学校に入学したのです。
僕がこのヴァルドルフ小学校の理事になってまでいろいろと戦ってきたりしたのも、つまりはこの今日の日を迎えるためと言うことも出来るわけで、感慨深い日でありました。



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天気予報が時々雨、と言う感じだったので、予定変更して体育館でセレモニーを行う事になり、前日は準備が出来ないので当日の朝8時から、舞台を作ったり、その周りを白樺の木で飾ったり。
 

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この作業が一段落したところで僕は健登と嫁さんを迎えに家に帰り、着替えて3人で出かけます。うちのご近所さんはみんな、今日が健登の入学式だとわかっているので、健登が出てきた途端に「来たぞ、来たぞ」って感じで盛り上がって送り出してくれました。ちなみに、この家の住人は全て、今日のお祝いに招待してあるので、NiebraのGötz家にHeinrich-Laber-Str.5の住人が全て集結する事になっております。

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そう、入学式の時に家族だけでなくて親戚まで呼び寄せて大々的にお祝いするのですが、これはある友人に聞いたところによると、旧西ドイツではあまり見られない事だったとか。どちらかというと盛大に祝うのは旧東ドイツでの習慣だと聞きました。今も旧東と西では雰囲気が違うんだろうか。
とにかく、体育館はゲストで一杯、用意したイスは全部うまってます。今日入学する生徒はたった10人なんだけどね・・・そう、直前になって13人から10人に減ったんですよ。
 

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チェロの二重奏で始まったセレモニーでは、挨拶の後に2・3年生のクラスの生徒による劇が披露されました。担任のガブリエレ・ポルシュさんがギターで伴奏しています。ヴァルドルフ学校の催しでは、マイクは使われる事がないのですが、この日はゲストの中に子供連れも多くて、挨拶の中で朗読された詩はあまり聞き取れなかった。残念。
 

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一昨日、盲腸で入院したティム以外の全員が舞台にそろいました。ティム、かわいそうになぁ・・・。幼稚園の卒園式の時もお母さんと療養に行っていて参加できなかったんだよな。
そう、この並んでいる9人の子供のうち、僕が知らないのは2人だけ。あとは皆ヴァルドルフ幼稚園から来た子供たちです。健登にとっては気心が知れた仲間達で、その皆と一緒に入学できたのはとても良かった。
健登が最後に呼ばれたのは、多分彼のキャラクターもあったとおもう。Götz家のソフィアが最初に呼ばれたのもね。健登の横にはお互いに「親友」と呼び合う中のミゲル(乱暴者なんだ、これが)、その隣の子は別の幼稚園から来た子で、その隣はヘレーネ、クレメンス、パウリーネ、一緒にチェロを習っているカール・クリスティアン、もう一人別の幼稚園からの子がいて、一番右がソフィア。ランドセルと体のバランスがなんとも不釣り合いで、先生に名前を呼ばれてひとりひとり門をくぐって行く時に、思わず笑いが起きます。
 

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これが担任のシュミット氏。若いです。まだハンブルクのヴァルドルフ教師の学校を完全に修了していないんだけど、学校との交渉で彼の就任が許可されました。やる気もあるし、若いのにどういうクラスを築こうかと言うイメージもはっきり持っているようで、何しろ彼が放っているオーラが魅力的で、僕は彼が着てくれて本当に嬉しい。理事として先生を選ぶ段階から一応関わっているわけですが、一度決まった先生が断ってきたり、そのあと例によって問題の経営者が口出しをしてきて、2年生のクラスとまとめて一人の先生が見るようにしようとしたり、紆余曲折がありましてね。シュミット氏に決まった時は本当にほっとしました。
2年生とまとめるなんて、とんでもない話ですよ。そりゃ経営者の方からしたらコストの大幅削減だけどね。初めて学校に来た子供たちだけで一つの輪を作って、一緒に歩み始めるのが大事なのに、そこに既に1年学校で過ごした子供たちがいたら、理想的な雰囲気が出来るわけがない。まったく。経営者の問題は前の日記(2006/9/292005/11/16など)でも書きましたけどね。ヴァルドルフ教育を深く理解しているような顔をしているけど、現実には全く子供の事を考えていない事をここでも証明している形ですよ。まぁネガティブな話は今日はいいや。
 

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ドイツでの小学校入学では、Zuckertüteというでっかいアイスクリームのコーンのような入れ物に入れたプレゼントを送ります。子供たちが、先生と一緒に教室に入って、最初の授業を受けている間に、親達がこの木の周りにZuckertüteを飾り付けます。

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これの準備に親達は頭を悩ませるわけですが、うちも例外でなく。しかも出来合いのアニメキャラクターなんかのZuckertüteにはしたくなかった嫁さんは、フェルトで作ってしまいました。もう何ヶ月も前から準備してましたね。健登の好きなティラノサウルス、プテラノドン等々をあしらって。ティラノサウルスはぬいぐるみにしちゃって、後で外して遊べるようになってます。これは健登もびっくりしたみたい。嫁さんの苦労は報われたと思います。

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みんなでZuckertüteを抱えて記念写真。あれ、シュミット氏もひとつもらってるね。
 

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今日は、お客さんが本当に一杯来てくれた。健登をハグしているのは、幼稚園で研修していたグートリント。彼女の両親はキリスト者共同体をずっとゲラで率いているWeber夫妻で、お母さんの方は僕と一緒に学校の理事をしています。グートリントは役者志望で・・・良く劇場にも通ってきてましたね・・・この後すぐに、ベルリンの俳優学校で勉強を始めます。
 

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これなんだかわかります?
親の参加が大切なヴァルドルフ教育ですが、こういう催しでも同様で、この日の食事を用意したのも生徒の親です。そう、健登の親友・・・っていう割に喧嘩もしてるけど・・のミゲルの親が担当。で、この機械は「グラーシュ・カノーネ」(グラーシュの大砲)っていうんですって。大砲みたいだよね、本当に。これでグラーシュ・スープ(ハンガリー風の肉入りスープ)を作るのです。グラーシュと、ベジタリアン向けに野菜スープも作っていた。
 

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食事の後、健登が自分の教室と自分の席を見せてくれました。席はソフィアのとなりだって。
 

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部屋では担任のシュミット氏がさっそく仕事をしている。何をしているかと思ったら、病院にいるティムにカードを書いてあげているとか。すでに綺麗な黒板絵がも書いてあって、良い雰囲気です。
 

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さて、片づけをしたあと、今度はGötz家に移動。15時ごろからだんだんお客さんが集まってきました。ここでもZuckertüte…もらうわけね。はい。ものすごい量のプレゼントだな・・・。
でも、健登のゲストは皆、健登が甘いお菓子を食べられないのを知っているので、Zuckertüte・・・直訳すると砂糖袋・・・とはいえ、砂糖入りのお菓子はほとんどなし。
 

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今はロストックの劇場で踊っている史ちゃんも、お祝いに駆けつけてくれた。健登は当然、大喜び。
 

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健登のチェロ、嫁さんの縦笛の伴奏で、Vogelhochzeit(鳥の結婚式)という、ポピュラーな童話を披露。大喝采をもらっていました。これ以外に、嫁さんは「Auf der Mauer auf der Lauer sitzt ‘ne kleine Wanze」(壁の上で小さな虫がじっと待ち伏せしている)という歌をつかってゲームをしました。Wanzeって虫の事なんだけど、このWanzeとかのキーワードから文字を一つずつ抜いて行って、繰り返すたびにWanzeがWanzに、Wan、Wa、Wとなって、最後はなくなっちゃう、と言うのを皆で歌ってね。言葉遊びみたいなもんだけど、結構皆大喜びしてました。幼稚園の先生も孫を連れてきていたんだけど、このお孫さんが顔を真っ赤にして遊んでいて、こういうの、子供は喜ぶんだなぁと。
でも、すごいと思いました。ドイツ語でというだけでなく、ドイツ語の言葉遊びでドイツ人を楽しませちゃうんだからね。幼稚園のママさんコーラス指導の経験も生きたのだと思いますが、史ちゃんなんか「登紀子さん、すごいね〜!」とすっかり感激してました。
 

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これ、入学式とは関係ないんですけど、あまりにかわいかったので・・・。
健登と一緒に入学したGötz家のソフィアの弟のヨハネス。何度か書いてますが僕らが洗礼立会人を務めた、僕らのPatenkindでもあります。もう一人は健登と仲良しのドラ・マリーの妹のダリア。ヴァルドルフ幼稚園でこの二人はクラスメート(?)なんだけど、ずっと二人で遊んでて、よく見てると、まだ喋り始めたばっかりなはずなのに、結構激しく討論(?)をしてるんですよ。この時も、ダリアが持っているZuckertüteが誰のものか、でもめてます。

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でも、そのあとまた仲直りして、庭の方へ二人で行ってた。かわいいでしょ〜。この写真は絵はがきにでもしたいです。
 

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この後もまた別のゲーム。これはGötz家のジャネットが見つけてきた。「マイヤー家の動物園訪問」8人がイスに座って、それぞれが一つの役をもらう。ジャネットがお話を読むのですが、自分の役が登場したら、すぐに立ち上がって、この列の周りを一回り走らなくちゃいけない。単純なゲームだけど、おおうけ。何度もアンコールしてました。
 

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さて、夕ご飯は、外においていあるオーブンでスープを煮て。うちもおにぎりを作って持ってきました。おにぎりって、見た事ない人は敬遠する事もあるけど、一度食べると大体の人が好きになるみたいです。Götz家のJörgはもう何度も食べているし、ノリや昆布が大好きなので、これを出したら、お盆ごとかっさらって座ってしまった。誰かがおにぎりに手を伸ばすと睨む。まぁ喜んでもらえて嬉しいですけどね。あんた、今日のホストでしょうに・・・。
 

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ここのところ、朝の気温が5度かと思うと15度あったりして、日中も35度まで上がった日の次に22度とかね、気温の変化が激しい。この日はすごく寒くはなかったけど、たき火は嬉しかった。
 

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この日はテントで眠りました。自分のうちの庭でテントはって寝られるってのはすごいよなぁ・・・。ついこの間東京から戻ったばっかりなので、ギャップが・・・。
ここ数年はドイツ生活が僕の感覚の中で中心だったので、こういうのも普通に受け止めていたんだけど、最近は日本でレッスンもし始めて、この間の日生劇場の「利口な女狐の物語」では「中堅扱い」された事とか、いろいろあって日本との結びつきが以前より強まって、ドイツに永住するわけじゃないし、といろいろ考え始めている時期で・・・こういうゲラでの生活が「夢」のように思えてしまった一瞬でありました。
 

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このぬいぐるみ、ビゴちゃんと言います。健登の親友はミゲルよりもビゴちゃんかも。生まれた時からずーっと一緒ですから。テントで寝る、なんて時は必ず持って行く。
日記に書けなかったんですけど、この間日本から帰った時、ライプツィヒに手荷物が一つ着かなかったんです。ウィーンからの飛行機はドレスデン経由でライプツィヒへ飛びました。で、この飛行機があまり大きくないので(ボンバルディアだった)搭乗の時に持ち込みの手荷物をあずけろと言われ、Macだけ出して預けたら、これがドレスデンで降りてしまった・・・。よく見たら引き換えの紙にドレスデンと書いてある。お姉さん!ちゃんと僕の行き先確認して書いてよ!
で、この手荷物にこのビゴちゃんが入っていて、それを知った健登は空港のバスの中でおいおい泣き出してね・・・大事なんだねぇ。でもこの荷物はこの日のうちに届けてもらいました。本来は次の日だったんだけど、完全にあっちのミスなので軽くクレーム入れて見たらOKでしたね。言って見るもんだ。
毎回一緒に日本に飛んでるからね。ビゴちゃんのマイレージカードも作っておけば、かなりのマイルがたまってるはずなんだけど。

“ヴァルドルフ小学校の入学式” への7件の返信

  1. けんと、入学おめでとう!
    あ〜〜〜〜〜〜でも駆けつけられなかったの残念〜〜〜〜!
    無理矢理駆けつければ、夜の部〜お泊まりだけでも参加できたなぁとは思うんだけど、稽古以外にも雑用が溜まっているのでちょっと無理でした・・・クスン。
    それにしてもヨハネスとダリアのツーショットは傑作!

  2. 健登くんのお入学おめでとうございます!
    こうしてたくさんのお写真と一緒に文章を読ませていただいて小森家の幸せを少しわけてもらえたような、そんな気がしています。
    Jörgさんのおにぎりたくさん抱えてほおばる姿には大笑いしてしまいました。

  3. 本当におめでとうございます.
    待ちに待ったこの日ですね。
    ちょっぴり緊張しながらも嬉しそうな健登くんの表情がなんともいえませんね.
    素敵な先生とどんな日々を送るのでしょう。
    日記の内容にしめる学校の話題の割合がドーンと増えそうですね。
    楽しみです.

  4. 健登君のお入学おめでとうございます。
    シドニーのシュタイナースクールとは若干雰囲気が異なるようで、楽しんで読ませてもらいました。私の頃は、生徒も落ち着いていていて、楽しい思い出ばかりが残る学校生活だったので、健登君にも是非楽しい学校生活を送って欲しいです!

  5. おめでとうございます。
    まちにまったこの良き日ですね。
    読んでいて、私までわくわくしてしまいました。
    これからのあたらしい日々が 健登くんにとってもTeruさんや奥様にとっても きらきらした一日がたっくさんありますように!
    これからの日記も楽しみです!

  6. ご入学おめでとうございます。
    たくさんのお写真を拝見して、わがことのように顔がほころんでしまいました。健登君もすっかり大きくなって、入学準備がすっかり整っている、という印象を受けました。それになんて誇らしげなご夫妻の笑顔! シュミット先生も、あの「入学の日の一番初めの授業」をなさったのかしら… 
    夢ではない、現実の学校生活がゆっくりゆっくりと実り豊かに広がっていくことを心からお祈りしています。
    小森さん、ますますお忙しいと思いますが これからも学校の様子、是非日記に織り込んでくださいね。心待ちにしています。

  7. >ぴかままさん
    ありがとう!でも残念でしたね。
    そう、あの二人カワイイでしょ。
     
    >えーちゃんさん
    ありがとうございます。Jörgは本当におかしいでしょ。でも半分はマジなんだよ。
     
    >あややさん
    ありがとうございます。
    そうですね、この先生とどんな風に歩んで行くのか、見守りたいと思います。シュミット氏もしっかりしているけど、ヴァルドルフに理解のある親だけではない感じだし、僕らの援護射撃は必要だと思ってます。
     
    >姉御さん
    ありがとうございます。
    シドニーの学校の写真も少し見せていただきましたけど、素敵な学校でしたね。
     
    >ソリタさん
    ありがとうございます。
    天気も良くて、きらきらした、と言う表現がぴったりの日でした。
     
    >Liuさん
    ありがとうございます。
    そんなに誇らしげでしょうか、僕ら・・
    そう、シュミット氏は授業をしました。セレモニーですね。健登も楽しんだようです。
    ・・・日記への期待が俄然高まっている感じですが・・・できる範囲で頑張りまーす

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