いやー、また間が開いちゃいましたね。すいません。稽古がない分、他の事をやっとりますが、なかなか忙しいんであります。1月と2月が丸々日本ですから、その分、先にやっておく事とかもあって。例えば、遅れに遅れている2006年の税金申告とかね。ぎゃー。何度も延長を申請して、2月末が最後の期限だけど、その頃は日本なので、何が何でも今年中にやっとかないと。などなど。あれ、タイトルと関係ないな、これ。健登がシュタイナー小学校のエポック授業で今はロシア語やってるんだけど、結構これが面白いみたいでね。うーん。語学ではヤツには早々に歯が立たなくなりそうだな。
エポック授業というのは、ヴァルドルフ教育の特徴の一つですが、一つの科目を一定の期間・・・数週間ですかね・・・継続してやります。算数なら算数ばっかり数週間、そして次はドイツ語を数週間。「勉強して忘れる事に意味がある」ってな記述もどこかにありました。まぁこの辺のヴァルドルフ概念を定義するのはやめとこう。こちらにくわしい体験談なども交えた説明がありますので、興味のある方は是非どうぞ!
旧東ドイツ地域という事もあり、外国語は英語以外にロシア語、という事が多いみたいです。フランス語というパターンもあるようですけどね。
僕もロシア語は一応勉強して(この間は日生劇場の訳詩もやりましたね、そういえば)、ネイティブスピーカーに発音は一応○をもらっておりますが、やっぱり授業で習ったりはしていない。
健登は結構楽しんでるみたいです。うちでロシア語の歌歌ったりしてますよ、もう。ロシア語教師のピラコーヴァさんによると、今年の一年生はみな良くできるが健登は特に全くアクセント(訛り・・ていうのかな。発音の癖みたいなこと)がないきれいな発音で話すと言うことらしい。
健登にとっての学校がスタートして3ヶ月になろうとしてますが、本当にこの学校が出来て、健登がいけるようになって良かった。手作業の授業で羊の毛を洗うところから始めて人形を作るとか、やっぱり普通の学校じゃできんもんね。
心配がないわけじゃなくて、テューリンゲン州では教育への補助を変える法案が出ていて来年1月あたりに決議される・・・劇場への2008年以降の援助もこの頃に議会を通りますが・・・のですが、他の私立学校への補助が増えるのに対してヴァルドルフ学校(シュタイナー学校)に対しては20%以上の減額になる法案で、今各都市のヴァルドルフ学校の理事会で対応を協議しています。僕がこの間出た理事会でもその話題で紛糾しました。
紛糾したといえば、今日は劇場で、オペラ部門のソリストの集会があって、いろいろと今の劇場運営での問題が出て、これまた喧々諤々。
高い集客率を保つために、今の劇場首脳陣は、同じ演目を続けて上演しない方針。でも、僕らにすると、例えばトスカを一度やって次はまた1ヶ月後、その次はまた3週間後、しかもその都度稽古は無し・・・となりますとね、大変なわけです。しかも例えば今週末は土曜がウィーン気質19時半開演、日曜がカルメル修道女の会話14時半開演。この両方に出る人にとっては24時間以内に違うオペラを二つ歌う事になる。しかも土曜の午前中までは別の演目マリッツァ伯爵夫人の立ち稽古が進んでいる。それにも乗っている人は三つのオペラが同時に頭にあるわけで。こりゃかわいそうです。僕も似たような目に何度も合っているけど、今は比較的楽。
大道具スタッフなどは7年前に大リストラがあったので、彼らのシフトをどうやりくりしてもなかなか「いつでも転換、いつでも舞台組みが出来ます」という状況にはならない。だから、稽古も大道具スタッフのシフト待ちで組まれたりする。場所もあって、ソリストの都合もあいているのに、舞台を組むスタッフがいないために舞台稽古が出来ないとか、そう言う事が多いんですね。
一人一人のソリストが大変だというだけでなく、これは上演のクオリティを下げます。
どんなに優秀な歌手でも、まじめでも、楽譜に書き込んだ動線や芝居の段取り、あるいはGPの録画を見るだけで1ヶ月ぶりの演目を完全に思い出すのは無理。頭が何とか思い出しても、体に入っていくまでに至らない。結果、本番の舞台で、音楽的にアンサンブルが難しいところにかなり気を回さなくちゃいけなかったり、芝居の約束事に集中力のかなりの部分を割かなくてはいけない。そうなると「役になり切る」なんてのは全く無理で。
でも、インテンダントは「これしかあり得ない。客足が遠のいたらこの劇場は生き延びられない」と説得にかかる。現実に、良い実績を出して自治体からの援助をキープしなければ、存続自体が危険視されている状況ですから。前に2008年以降の予算削減の事は日記に書きました。
でもさ、歌手にとってみれば劇場が生き残ってもやってる仕事のクオリティーが落ちたら本末転倒というところがある。紛糾して他の話題に行けなくなってしまったので、俺もなんか言った方が良いかな、と思ってしゃべったら、「うん、そうだな。その通りだ」なんてインテンダントのマティアスが言った後何だかシーンとしちゃって、他の話題に移ったんだけどね。なんか気味悪いね。そんなにまじめに受け止めてくれると、まぁ嬉しいんですけど・・・。去年の女狐以来の「中堅扱い」がゲラでも定着してきたのかなぁ。まぁいいけど。
僕が言ったのは、今のプランニングが、集客のため、劇場が生き残るために、劇場の能力の限界に挑んでいる事と、我々歌手がそれに対しては理解をしている事。しかし例えばゲラ以外のところから来たお客さんが皆口をそろえてレベルが高い、素晴らしい、洗練されている、と褒め称える現状の芸術的レベルとキープしないと、結局客足は離れる、という事。稽古無しでも何とかどうにか本番は務められるがクオリティーが伴わないと結局は結果をもたらさないと。
そう思いません?